梅生産1位、2位の和歌山と群馬で2年連続不作が不可避となった。

4月6~15日にかけて和歌山県南部を襲った3度の降雹により、全国一の生産量を誇る紀州産梅に深刻な被害が広がった。
強風も影響し、落果や雹傷などの被害が発生。県やJAわかやまによると、半数以上の果実に傷がついたとみられる。昨年度の大凶作で原料在庫は枯渇状態にあるため、例年通りの等級や品質での出荷が極めて困難な状況だ。

県発表では、主要産地の田辺市やみなべ町を含む9市町村で、4300ha、47億7832万9000円の被害が報告された。今後の気象や病害虫の発生状況によってはさらに被害が拡大する可能性もある。現地関係者は「紀州の歴史上最悪の事態」と述べる。

「白加賀」を主力品種とする群馬県も、和歌山県と同様の経過をたどった。JA全農ぐんまなどが4月下旬に調査した梅の着果状況は、昨年比1.3倍で平年並みだったが、4月11日とその前後に3度、主要産地の高崎市・安中市などに降雹。地元JAや梅加工業者によると、地域間の状況に差異はあるものの小梅は6~8割程度、「南高」などの中梅は半数ほどに傷が見られた。「白加賀」は結実が遅いため3割強にとどまったが、最終的には生産量の4割~半数が傷果となる予測もされている。

産地の著しい被害により、今季の加工用原料梅については傷果の使用を余儀なくされるケースが多くなると予想され、メーカーにとっては消費者へのていねいな説明と理解の醸成が不可欠である。

また、最も懸念されるのは原料不足の長期化による相場上昇だ。
今後の商品価格に転嫁せざるを得ない状況が高まっているが、度重なる値上げに対する流通や消費者の反応が懸念される。

だが、もはや躊躇している状況ではない。産地の実情や背景に対する十分な情報発信とともに、品質面での懸念については、傷果であっても大切に育てられ、厳しい選別基準をクリアしており、味や安全性には何ら問題がないことを明確に伝え、消費者の不安を和らげることが重要だ。

気候変動が進む中、雹害は今後も増加することを見込んで、これまで格安で販売されてきた傷果の価格適正化を図る動きも現れている。業界内では原料確保の見通しを立てるとともに、「傷果利用の意義」や「価格改定の背景」を可視化することで価値向上を促し、持続的な供給体制の維持を模索する動きが始まっている。

(詳細は5月21日付「つけもの版」に)
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