
セルフケア市場の拡大を背景に、食材の持つ力で心身をいたわる知恵(薬膳)を活用した飲料を逐次発売して薬膳飲料市場の創造に挑む。
ターゲットは、日々忙しく本質的な健康や美容を志向する層。“いい素材で、好い日になる”をキャッチコピーに掲げる。
ブランド立ち上げの背景について、8月26日、発表したSBFジャパンブランドマーケティング本部の矢野揺子さんは「昔はオンとオフの差が非常にはっきりしていたが、今は男女問わず365日何かしらで忙しい状態が続いており、人々が本質的・根本的にずっと元気でいたいと思うようになってきた」と語る。
サントリー食品インターナショナルの矢野揺子さん(右)とインフルエンサーの石井里奈さん こうした背景に着目して、ペットボトル飲料を通じて手軽に楽しめる“ゆる薬膳”を提案していく。
台湾で薬膳の魅力に触れ薬膳コーディネーターの取得するまで薬膳にのめり込む矢野さんは、日本でも薬膳を広めたいと考える。社内公募から薬膳のアイディアが誕生した。
「本質的に健康でありたい、そういった欲に食で応えるのが薬膳。薬膳というと、漢方薬のような薬効の強い食材が入った料理と思われがちだが、実はそうではなく、古くからある食材の持つ力で心身をいたわる知恵を指す」と力を込める。
商品開発のポイントは、おいしくて手軽であるのに本格的な点。
おいしさを担保するために、有糖で商品展開して“甘いものも飲みたいが健康が気になる層”に向けて訴求していく。有糖炭酸・果汁・紅茶・機能性など飲料カテゴリ横断の展開を可能とする。
本格的な中味については、薬膳の理論に則り酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ:塩辛い味)の五味を素材由来で配合して担保している。
熱性・温性・寒性・涼性・平性の五性にも着目する。
「夏は身体の熱を取りやすい涼性の食材、風邪を引きそうなときは身体を温める食材をとることで実践できる。夏野菜はトマトなど涼性の食材が物凄く多く、実は旬の食材を食べているだけ薬膳が実践できている」と説明する。

「パッケージ裏面に飲料に入れている素材を記している。このようなものを見ながら、薬膳を身近に感じていただき、素材が体に染みわたるのを実感していただきたい」と述べる。
9月2日に期間限定で発売開始された第1弾商品の「薬膳好日 ジンジャー&ソーダ」は、リンゴ・レモン(酸味)、高麗人参(苦味)、ハチミツ(甘味)、ショウガ(辛味)、塩(鹹味)を配合した炭酸飲料。
ショウガをエキス化することで自然な辛みと風味を引き出し、薬膳らしさを感じられる味わいに仕立てられている。
「一般的なジンジャーエールにはショウガは入っておらず香料によってショウガ風味が出されているが、『薬膳好日』にはショウガが入っており、そのため泡立ちしないようにするなど1000回もの検証を経て作られたものとなる」と胸を張る。
デザインは、薬膳の健康感とおいしそうの両立を目指し「本格的なのにオープンな老舗薬膳屋のカフェをイメージした」。
10月7日には、第2弾商品としてホット飲料の「薬膳好日 ジンジャー&アップル」を期間限定発売する。
中期的に200万ケースの販売規模を目指す。
「2品を皮切りにどんどん商品展開していく予定。ブランドを育てていくと同時に、薬膳カテゴリを育てていきたい」と意欲をのぞかせる。
コミュニケーションは、店頭施策とSNSを中心とした施策を計画。「インフルエンサーの石井里奈さんにもご紹介いただく予定」という。