三井物産流通グループは「明日(みらい)の流通をつくる」をミッションに掲げ、サステナビリティ経営の取り組みを加速させている。物流分野では、深刻化する人手不足と物流コスト上昇に直面するなか、最新鋭のマテハン設備の導入やAIを活用した物流最適化を図り、人と環境にやさしく、持続可能な物流の構築を目指している。


 三井物産流通グループ(MRG)は、旧三井食品や旧物産ロジスティクスソリューションズ(BLS)など5社統合から約2年を経て、全国179拠点、日々の配送車両は約6000台を擁する大規模な物流ネットワークを形成している。

 物流ユニットは配送事業、幹線物流、広域物流、セブン-イレブン向け共配など6本部体制で事業を展開。北海道から沖縄までのドミナント配送と、東西のマザーセンターを基点とした幹線物流を組み合わせることで、全国規模の物流網を構築している。

 近年、物流業界では2024年問題に象徴されるドライバー不足や労働時間規制、燃料高騰など、構造的な課題が顕在化している。

 MRG物流ユニット物流企画本部の奥州大輔本部長は「単なる労働時間の規制だけでなく、エネルギー高騰や慢性的な人手不足により、現状の物流インフラを維持することが難しくなる時代が目の前に来ている」と危機感を示す。

 MRGでは、こうした構造的な物流課題に対して、人手不足を補うための自動化投資と、働く人に優しい環境整備の両面から対策を進めている。首都圏の旗艦拠点である流山センターでは、自動倉庫、GTP(Goods to Person)型の仕分けステーション、ロボットアームによる自動積み付けなど先進的なマテハンを導入。作業者の移動や重量物運搬の負荷を大幅に軽減している。

 荷待ち時間削減についても、入荷予約システムやバース管理システムを導入し、法制化以前から数値管理を徹底。現在では極端な荷待ちはほぼ発生しておらず、繁忙期の一時的な混雑にも注意喚起を行うなど、安定した運用が実現している。

 「統合によってヒト・モノ・カネの最適配置ができる体制になった。物流環境が厳しさを増すなかで、AIを活用した最適化の取り組みをさらに進めていく」(奥州本部長)。


 大阪交野・千葉流山の大型拠点で導入した先進的なマテハン設備の成果は今後、各拠点に横展開し、効率的な物流体制の維持と強靭化につなげていく。

 物流センターにおける休憩室の刷新やWi-Fi整備、トイレ改修など、従業員の働きやすさを高める投資も積極的に推進。人に優しく働きやすい環境づくりを進めている。

 環境負荷低減の取り組みでは、大阪・関西万博の未来型店舗向け配送で、水素トラックやB100(廃食油由来バイオ燃料100%)車両を試験導入した。CO2排出削減に加え、災害時の電力供給などBCP面での価値も期待されており、今後もメーカーや車両会社と連携しながら実証を進めていく方針だ。

 納品回数削減やメーカーからの入荷頻度見直しなど、サプライチェーン全体でのCO2削減にも取り組んでいる。自社単独での取り組みだけでなく、同業卸との協業や雑貨卸など異業種との連携も視野に、サプライチェーン全体で持続可能な物流の構築に努めていく方針だ。

 来期は統合から3年目を迎え、MRGとして新たな中期経営計画がスタートする。グループの機能と価値を最大化し、さらなる成長を加速させる。
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