
島民が参加する収穫祭は今回が初となる。
開催には、同プロジェクト参画企業の味の素AGF社が音頭を取った。
「まずは島の人たちが徳之島コーヒーに親しみを持ってもらいたい。収穫祭が開催できるレベルにまで漕ぎつけた徳之島コーヒー生産者会の皆様の頑張りを伝えることで、もっと盛り上げていきたい」と語るのは収穫祭に携わったAGFの手嶋めいさん。
味の素AGFファンマーケティング推進部コーポレートコミュニケーショングループの手嶋めいさん 開催場所は、鹿児島県大島郡伊仙町にあるAGF第二実証農場。伊仙町からだけではなく、徳之島町、天城町 の“オール徳之島”から60人以上の島民が参加した。
冒頭、AGFの竹内秀樹社長が挨拶し収穫祭の開催を祝福。収穫体験では、赤い実のコーヒーチェリーと黄色い実のイエローブルボンがそれぞれコンテナ1杯分ずつ収穫された。
収穫体験に留まらず、AGFが予め用意した生豆でコーヒー豆の焙煎が体験できるワークショップも行われた。
「親子の参加が多く、“初めてコーヒーチェリーの収穫体験ができてとても楽しかった”」“うまく焙煎できてよかった”などの感想もいただき、徳之島コーヒーをさらに身近に感じてもらえるイベントになった」と振り返る。
収穫祭を契機に長きにわたり関心を持ち続けてもらう取り組みとして、コーヒーノキに立てかける看板製作も実施した。

現在、コーヒー畑が多くある伊仙町には苗木・幼木を含め約1万本 のコーヒーノキがある。

「自分の畑だけではなくメンバーの畑にも同行してしっかりメモをとりながらアドバイスを受けていた。農業エンジニアからは全般的に、カポックや千年木(センネンボク)などの防風林で対策を講じている点が評価された一方、水やりや土壌の管理が課題とのご指摘をいただいた」という。
防風林は台風対策になりうるが、新規参入者にとって防風林づくりを伴う参入は重荷になるとの見立てから、新規参入の間口を広げるべく「平張りハウス」の実証実験を推し進めている。

2023年度のコーヒー豆の収穫量は、台風などの被害が少なく天候にも恵まれた結果、コーヒー豆の育ちが良く、22年度よりも増加を見込む。
この見立てを受け、今秋をめどに島内中心でテスト販売を計画する。「販売時期は9月か10月頃にを予定しているが、まだ販売場所は定まっていない。当社は加工やパッケージングなどで協力していく」と述べる。

丸紅は種の提供や世界の産地の技術情報提供をし、味の素AGFは防風対策の支援や肥料などの提供を行う。
伊仙町役場はそれらの橋渡しやPR活動を行い、徳之島コーヒー生産者会が実際にコーヒーを栽培している。2024年3月現在、徳之島コーヒー生産者会の会員は30人前後にのぼる。
「生産者会の皆様が主体となるプロジェクトで、我々はサポート役でしかない。今回の収穫体験や今後のテスト販売などを通じて機運がさらに醸成され、生産者会の活性化にもつながってほしい」と期待を寄せる。