周囲の人間を睡眠不足に叩きこむ、いびき。それを電動エアバッグを使用して見事に退治するのがバランスボディ研究所のいびき防止枕『いびきバスター』(1.8kg・希望小売価格 税抜18,333円・発売中)である。
この『いびきバスター』は本人よりも周囲にとっての救いの神。不快で耐え難い睡眠時の騒音を、隣に眠っている人間に代わって何とかしてくれるというのだから、無意識の本人よりも、騒音に悩まされている周囲の人が一刻も早く買い与えたくなる、そうした製品なのかもしれない。

通常いびきのかき手は睡眠時に不自然な首の角度になり気道を狭めてしまい、そのせいで気道の内壁が震えて騒音を出してしまう。これがいびきの原理。仰向けに寝ると人間は舌根が下に落ちてノド周囲の筋肉が緩んで気道が狭くなりいびきをかく。原因は口呼吸、肥満、鼻疾患、飲酒、ストレスなどいろいろあるが、どれも即効性の治療が望めないものばかり。
ただ実際にやったことがある人もいるだろうが、いびきをかいている人間を少し押して動かすことでピタッと止まる。つまりちょっとでも体勢が変わると気道確保ができて、いびきが解消されるのだ。

しかし隣に寝ている人間がこれをやるとなると、夜中に何度も手を施さなければならない。当然そのたび目をさますので、とても安眠とはいかないのが実情だ。そして翌日に仕事や大事な用事がある場合にはそうした安眠妨害はとくに巨大なストレスとなる。
たちが悪いのは、そうした騒音を奏でていた本人は目覚めた時に何の記憶もないところ。朝起きた時に被害者はいるけれど、加害者は何の罪悪感もない。その後の人間関係が悪化するのも当然のことだ。
ではそうしたいびきをどうやって解消するのか。その構造の核は電動エアバッグである。何とこの枕には特許申請中のダブルエアバッグが枕の中心に仕込まれており、音感センサーがいびきを感知して自動的にエアバッグをふくらませ、狭まった気道を確保させるという仕組み。つまりいびきのかき手のカラダを突っつく作業を、まくらのエアバッグが代わりに行ってくれるというわけだ。
まさにいびき被害者にとっては夢の道具。
さっそく使ってみた。
とは言え電動なので、パッケージを開けてすぐ使用というわけにはいかない。枕だけど充電式なのである。だいたい4時間くらいの充電で一週間近く使えるという。
操作は両サイドにあるスイッチで行う。右側面に主電源があり、そこをオンしてから左側の副電源をさらにスイッチオン。面白いのはそこにMと書かれたモードボタンがあるのだが、2回押すとすぐに起動、1度押しだと30分後から起動という2パターンをセレクトできる。

何のための機能かと思ったが、なるほど、すぐに起動だと寝しなに少しでもしゃべるとエアバッグが反応していちいち膨らみ始めてしまうのである。眠りに落ちる瞬間にスイッチを入れるのは難しいので、この機能は地味にうれしい。
またサイドスイッチでは感度調整も出来る。最高感度にすると寝返りを打つだけで反応してしまい、そのためにいちいち目が覚めてしまうので安眠が阻害される。しかし最低感度にすると今度はなかなかエアバッグが作動せず、周囲に騒音をまき散らしてしまう。使用感としては、ここのさじ加減を発見するのが一番手間のかかるところだと感じた。

わが家の騒音主に使用させ、就寝していびきをかき出すまでの様子を観察してみたが、「ぐー」音には反応せず、「ごー」になってもまだ無反応、しかし「グオーッ」と盛り上がったところでセンサーが稼働、エアバッグが盛り上がって首の角度を強制変更させて、見事にいびきを退治する瞬間が見られた! なるほど、周囲の人間が目を覚ます音量あたりで自動的に作動するのだ、これは面白い。いびきを退治された本人は完全に無意識。これなら騒音主も安眠可能。
そもそも、たかがいびきとなめてはいけない。重大な健康被害をもたらす睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症であるケースも多く、けっこう真面目に対策すべきもの。いびきは病気の入り口なのだ。SASの治療法となると、空気を送り込む機器を使って鼻マスクを装着するCPAP(シーパップ)療法など大事になることが多い。
なのでSASの傾向がある人は、呼吸停止前の高いびきの段階で『いびきバスター』を用いて気道を確保するというのも大いにアリだと感じた。もちろん製品の特記事項に「本製品は医療機器ではありません。効果については個人差があります」とあるので、あくまで自己責任での使用が原則となるが。
とにかくいびき撃退効果は確実にある。
ただ実際に使用する(させる)と、『いびきバスター』が起動時にブーンというモーター音がそこそこするのは気になった。隣に眠る人間が目を覚ましてしまう恐れもあるのではないか。もちろん深い眠りなら気づかない程度の騒音ではあるが。

また付属のパイル素材の枕カバーを装着してしまうと、スイッチが隠れてしまうのも残念。
形状的には低反発枕の標準サイズで、使用感も似ている。若干低めのフォルムはエアバッグが膨らんだ時に高くなり過ぎないためか。
とにかく枕としては値の張る18,333円(税抜)だが、睡眠不足のストレスを一気に解消できるのならば決して高くはないと思った。もちろん人間関係的な面においても。いびきで悩んでいる周囲の人々にとってはまさに救いの神といえる発明品である!


【スペック】
商品内容:本体、専用カバー、ACアダプター、取扱説明書
材質:カバー/本体表面・ベロア調パイル地(ポリエステル100%)、低反発ウレタン いびきセンサー部・ABS樹脂、IC回路
本体サイズ:横54cm×縦36cm×高さ8cm、可動部分高さ8cm~12cm
本体重量:1.8kg
本体駆動:4時間の充電で約1週間使用可能(※一晩約8時間使用)