電卓(卓上電子計算機)の発明というのは画期的で、それまでソロバンで計算をしていた人類が、特殊な能力を必要とせずに物の勘定ができるようになった。そして文明が発達し、今や電卓は100均ショップでも購入できるほど身近な存在となった。
そんな時代に、実売価格で3万円近い『カシオプレミアム電卓 S100』が、老舗メーカーのCASIO(カシオ計算機)から登場すると聞き、ちょっとした驚きとともに「電卓にそんな値段を出す人がいるのだろうか」と疑問に思った。そこで、さっそくこの『カシオプレミアム電卓 S100』の魅力を探るべく試用してみた。
■プレミア感を演出する黒のハードボックスからのぞく精悍な面構え
カメラ業界では、コンパクトデジカメの売上げが軒並み落ちており、その原因はスマートフォンだという。そこでメーカーは、プレミア感を付加価値とした「高級コンデジ」路線へ舵を切り、それが好調だ。記者もiPhone 6ユーザーであるが、実売5万円弱の高級コンデジを利用している。その理由は”スマホでは得られない所有する喜びと、ハイクオリティな品質“があるからだ。
つまり同じ波が電卓にも訪れたということなのだろうか。『カシオプレミアム電卓 S100』(市場想定価格 27,000円・2015年9月30日発売)は、そんな所有する喜びを得ることのできるプレミアム電卓だ。

S100を箱から取り出してみる。ブラックのスタイリッシュなハードボックスに、しっかりと収まる緩衝材。ガンメタリックのシルバープレートに「CASIO CALCULATOR S100」の文字。すべてがプレミア感を演出しており、心が高揚するのを否めない。
そして、S100を手に取ると、ずっしりとした質感に改めてワクワクさせられる。

S100のボディ背面を見てみると、エラストマー樹脂製ストッパーの幾何学的な模様が目に入る。これにより、操作時の安定性を高めているという。ただ、記者の自宅デスクでは片手で操作したら多少滑ってしまった。滑り止めの性能としては決して高めなほうではないかもしれない。

ボディはずっしりとした重さを感じるが、ボディの厚さは17.8mmと薄型。硬質感のある切削アルミニウムボディが、見た目以上の重厚さを生み出しているようだ。なお、サイズは幅110.5×奥行き183mmと電卓としては大きからず小さすぎずの程よいサイズ感だ。電源はソーラー電池とCR2025(1個)の2ウェイ式。1日1時間の使用でも約7年も持つという。
それでは噂の極上キータッチを確認すべく、試してみる。
■噂のPC並み極上キータッチの実力はいかに!?

さて、気になるのはキータッチの心地よさだろう。
押して戻るときの圧力方向がブレない「V字ギアリンク構造」を採用しており、これがキー自体の高さを抑えてある。これによって、スタイリッシュな薄型のデザインが実現できたのだろう。実際にキー操作してみると、隣り合うキーとキーの間が適度に開いており、誤って別のキーを押してしまうということがなかった。感覚としては、ノートPCのキーボードのようなイメージを持った。

電卓機能としては「税計算」「マルチ演算」「四則演算」など、基本的な機能は当然ながら搭載されている。数字が表示される液晶もバックライトはないものの、少し青みがかったブラックの文字が見やすく、しかも両面ARコートのディスプレイウィンドウとFSTN液晶を採用しており、光源が映り込むことによる反射を抑えているので、非常に見やすくストレスを感じることがなかった。

■まとめ:持つ喜びを実感できる高級志向の人にならオススメ
このように、『カシオプレミアム電卓 S100』は「所有欲を刺激する電卓」としての価値は非常に高い。ただ、電卓にこの価格を支払うことに抵抗があるといった人も少なくないだろうし、そういう人にはS100の価値は理解し難いかもしれない。ちなみに購入者に多いのは銀行マンなのだとか。記者が考えるに、そうした電卓ヘヴィユーザーの他には、この『カシオプレミアム電卓 S100』は高級感を演出する必要がある「高額所得者を相手にする税理士事務所」や「輸入車など高級車を扱うカーディーラー」などのオフィスに、さりげなく置かれていると顧客への印象がアップするのではないかと思った。

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