頭の動きだけでPCを自在に操れるマウスいらずの便利デバイス(...の画像はこちら >>

「JINS ASSIST」を実際に使って検証!

マウスに代わる次世代ツールが誕生? メガネメーカーのJINSが、頭を動かしてPCを操作するデバイスを発表し、話題を呼んでいる。これでマウス操作による肩凝りともおさらば!? 触って検証した!

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■操作はシンプルですぐ覚えられる

メガネメーカーのJINSが今年2月、頭の動きだけでカーソルを操れる小型デバイス「JINS ASSIST」(1万5000円〈税込〉)を発売した。メガネに取りつけられ、本体の重さはわずか4g。

手や腕が不自由な人をターゲットにしているそうだが、2日で初回入荷分が完売し、広く注目を集めている。

デスクワークのせいで肩凝りに悩まされている人は多いだろう。その一因はPCのマウスの操作で、手を同じ位置に固定することが原因で手首や肩、首などに痛みが生じる「マウス症候群」なる現象もあるほど。そこでJINS ASSISTがマウスの代わりにならないか、実際に使って検証した!

頭の動きだけでPCを自在に操れるマウスいらずの便利デバイス(1万5000円)。初回入荷分は即完売! 「JINS ASSIST」試してわかった本当の実力

注文してから2日ほどして届いた本製品は、思っていたより小さい。メガネに装着するのも簡単で、メガネのつるに磁石のついたゴム製のアタッチメントを取りつけた後、本体を磁石でくっつける。

なお、メガネはJINS製品以外でも、つるの厚さが0.8~4㎜以内、つるの高さが2㎜以上、そしてつるの断面形状が円形でなく平面部分があれば装着可能だ。

本体のUSB Type-CケーブルをPCに接続し、専用の補助アプリをインストールしたら、操作説明を兼ねたチュートリアルがスタート。画面上に表示されたタイルにカーソルを合わせるゲームなどを通じて、普段マウスでしている操作を習得していく。

まずはうなずくとカーソルが操作モードになる。頭を動かすとデバイスが感知し、それに沿ってカーソルも動く。視線の先にカーソルがあるイメージだが、マウス同様、頭の動きの速さに応じてカーソルも激しく動く。

最初は狙った位置を指すのが難しいが、それは初めてマウスやトラックボール(親指などでボールを回してカーソルを移動させるデバイス)を使ったときも同じ。

慣れれば徐々にスムーズに動かせるようになる。

クリックの類いは、したい場所で1秒静止した後に、任意の方向を向くとできる(なお、設定で自由にカスタマイズできる)。覚えるべき操作は基本的にこれだけで、非常にシンプルだと感じた。

頭の動きだけでPCを自在に操れるマウスいらずの便利デバイス(1万5000円)。初回入荷分は即完売! 「JINS ASSIST」試してわかった本当の実力
装着方法 メガネのつるにコの字形アタッチメントをひっかける。くぼみがあるので、つるの太さが一定範囲内であればぴったりフィットする

装着方法 メガネのつるにコの字形アタッチメントをひっかける。くぼみがあるので、つるの太さが一定範囲内であればぴったりフィットする

頭の動きだけでPCを自在に操れるマウスいらずの便利デバイス(1万5000円)。初回入荷分は即完売! 「JINS ASSIST」試してわかった本当の実力
アタッチメントと本体を磁石でくっつける。本体からUSB Type-Cケーブルが延びており、PCと接続すれば準備は完了。充電は不要だ

アタッチメントと本体を磁石でくっつける。本体からUSB Type-Cケーブルが延びており、PCと接続すれば準備は完了。充電は不要だ

頭の動きだけでPCを自在に操れるマウスいらずの便利デバイス(1万5000円)。初回入荷分は即完売! 「JINS ASSIST」試してわかった本当の実力

■クリックのたびに1秒静止

チュートリアルがゲームみたいで楽しかったこともあって、10分ほどかけて終わらせた後はそれなりに操作ができるようになっていた。

なお、チュートリアルでは教えてもらえなかったのだが、首を右に傾けることで下方向に、左に傾けることで上方向にスクロールも可能。習った操作を駆使して、ネットサーフィンやメール返信などは(通常の2倍以上時間がかかったが)達成できた。

ただ、手を動かせる人にとってマウスに代わるデバイスになりうるかと問われると、厳しいというのが本音だ。

最大のポイントは、クリック類の操作をするたびに1秒間静止しなければならないこと。この1秒が意外と長いのだ。

その待ち時間の間にうっかり頭をかいてカーソルがずれ、仕切り直しになることが何度かあった。

その上、細かくクリックを要する作業をしていると、動かしては静止、下を向いてはまた動かし......といった動作を繰り返すことになる。

例えば文章の一部をコピーしようとすると、うなずいて当該部分にカーソルを合わせ、1秒静止した後に左を向き(ドラッグ)、そのままわずかに頭を動かしてコピーしたい最後の部分にまでカーソルを合わせて2秒静止(ドロップ)、という操作が要求される。手の動きが減る分、首に重労働を強いることになった。

なお、ノートPCであればタッチパッドとの併用も可能。なので最初はカーソル操作はJINS ASSISTで、クリック類はタッチパッドで済ませようと試みた。これでバッチリ!......と思いきや、タッチパッドやキーボードに視線を落とすたびに、JINS ASSISTが頭の動きを感知して、カーソルを動かしてしまう。

タッチパッドでクリックした瞬間カーソルがずれ、思わぬリンクを踏んでしまうなどの事故も起きた。このあたりは手元を見ずに操作できる人ならいいかもしれない。

また、操作するたびにデバイスがジージー音を立てるのも気になるところ。最初は新鮮だったが、耳元で音が鳴るため、ずっと使っていると不快になってくる。

装着感についても改善してほしい箇所がいくつかある。

取りつけても特に重さは感じないが、磁石でくっついているため、操作しているとたまに本体がクルクル回ってしまう。その一因は1m以上あるケーブルが下方向に垂れているせいで、できることなら無線接続したいと感じた。

と、ネガティブな評価ばかり書いたが、シチュエーションによってはJINS ASSISTが輝く場所はある。例えばほぼ操作が必要ない動画鑑賞や、食事中など両手がふさがった状態での作業などにはピッタリ。また、新幹線内など限られたスペースでの作業にも効果を発揮しそうだ。

評価をまとめると、操作を覚えること自体はさほど難しくないが、細かな点で改善できる余地は大きそう。もちろん手にハンディキャップのある方には非常に有用だと思うが、そうでない人にとってもポテンシャルは大きいと感じたので、さらなる進化を期待したい!

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