うつすのも、うつされるのもイヤな性病。コンドームをしていれば絶対安全なのかといえば、そうではないらしい。


これまで10万人の女性を診察した産婦人科医・濱井葉子先生が、意外な性病の感染経路を教えてくれた。

■ク○ニで咽頭がんになる?

―2年前、俳優のマイケル・ダグラスが「咽頭がんの原因はク○ニ」と発言し、波紋を呼びました。実際、そういうことはあり得ますか?

濱井 まず性器と性器であればコンドームを使用することで、ある程度の性感染症は防げます。ところが口で直接性器を舐(な)めると、まったくバリアがない状態なので、梅毒、クラミジア、淋病(りんびょう)、ヘルペスなど…極端な例だとHIVの感染リスクも出てきます。

―ク、ク○ニでHIV?

濱井 HIVはまれな例ですが、可能性はゼロではありません。喉のがんの話に戻ると、HPV(ヒトパピローマウイルス)が関係している可能性が高いといわれています。


―HPVって具体的にはどんなウイルスなんですか?

濱井 簡単に言うと、口腔(こうくう)や膣(ちつ)や皮膚にイボをつくるウイルス。HPVは「乳頭腫」というイボのウイルスで、口と口、性器と性器、口と性器でうつります。全部で150種類以上ありますが、問題はハイリスク型のHPVで13種類あり、その中でも特に危険な、いわゆるがんになりやすい型がHPV16型とHPV18型。ローリスク型はHPV6型とHPV11型で、これは尖圭(せんけい)コンジローマの原因とされています。

―咽頭がんの原因はそのハイリスク型HPVの感染?

濱井 男性の咽頭がん患者からはハイリスク型のHPV16型、HPV18型が出る確率が高いという統計があります。ただし、性行為全般で感染するので、クンニリングスをしなければ咽頭がんにならないというわけではありません。


―では、ハイリスク型HPVに感染しないためには?

濱井 やはり不特定多数と性交渉をしないことが最善の策です。

【結論】ク○ニで喉頭がんはあり得るが、ク○ニだけが原因とは限らない。

『週刊プレイボーイ』48号では、さらにク○ニでの性病ほか予防についての知識を濱井先生にレクチャーいただいてるのでそちらもお読みください!

●濵井葉子(HAMAI YOKO)


東京警察病院産婦人科副部長。産婦人科医。医学博士。三重県出身。
三重大学医学部卒業。東京大学産科婦人科学教室にて研修後、東京大学大学院を修了。現在は東京警察病院で産婦人科副部長。診察した女性は10万人

(取材・文/黒羽幸宏 撮影/松木宏祐)

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