もはや多くの方が知るとおり『JIN−仁−』の原作は村上もとか氏の漫画。
村上氏はどのようにしてこの壮大な物語を着想し、描きあげたのでしょうか。
今回は徳間書店から発売された『終わりなき旅 僕はマンガをこう創ってきた』から、『JIN−仁−』の制作過程のウラ話を紹介します。
■タイムスリップを文久二年にしたのはなぜ?
『JIN−仁−』の主人公である南方仁がタイムスリップしたのは文久二年。村上さんが、仁をこの年にタイムスリップさせたのには2つの理由があるそうです。
ひとつは医学史的な理由。
この年はコレラで多くの人々が亡くなり、さらに麻疹も大流行したということで、医師である仁を登場させやすかったと言えます。
もうひとつは歴史的な理由で、村上さんが企画当初から登場させたかった坂本竜馬や勝海舟などの人物たちが、その年はそろって江戸にいたことがあげられます。特に坂本竜馬は江戸にいないことが多かったため、文久二年という年は『JIN−仁−』の舞台にうってつけだったのです。
■ペニシリンは本当に培養できるのか
このドラマのキーワードとなるのが『ペニシリン』です。仁は、医療未発達な幕末で、ありあわせの道具と、現代にいた頃に学んだ知識を総動員して、その時代にはまだ発見されていなかったペニシリンの培養に成功。この薬は病に苦しむ江戸の人々を救うのに大きく役立ちました。
しかし、村上さんが江戸時代の道具で本当にペニシリンが培養できるのかどうかを医療監修の富田泰彦氏(杏林大学講師)に尋ねたところ不可能だと言われ、一度は作中にペニシリンを登場させることを諦めかけたことがあるそうです。
その後、ダメ元で連絡した薬学の専門家が「可能」と判断して、レシピを教えてくれなかったら、『JIN−仁−』の物語は全く違うものになっていたかもしれません。
村上さんは本書で、『JIN−仁−』だけでなく『龍-RON-』『六三四の剣』など、これまでに世に出してきた作品たちの誕生秘話や、自身の創作哲学、ネームの書き方までつづっています。
ドラマを見て、原作の『JIN−仁−』に興味を持った人は、村上さんのマンガ哲学がわかる本書に触れてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/山田洋介)
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