勝ちを手にした上田西だったが、試合ではピンチが続いた。
PKを与えた場面では「終わった」と思ったと正直な心境を明かしたが、「クラスも同じの牧野がビッグセーブで止めてくれて、もう本当にいつも助けられてばかり」「1回どん底に落ちたんですけど、でも最悪の状態は想定していて。最悪過ぎたんですけど、でも自分が取り返してやるぞという気持ちがあった」と、仲間に救ってもらった分、自分がやるんだという思いがさらに高まったという。
初戦となった2回戦の徳島市立戦含め、東風谷だけでなく、全体が『球際、声、ハードワーク』というチームの掲げる三原則を徹底。矢板中央の攻撃を跳ね返し続けた。東風谷は「自分たちがやってきたことを信じて。自分たちも守りは売り」「磨いてきたフィジカルや最後の粘りは上田西の良さなので、自分たちが3年間磨いてきたことを出すだけ」と、週に1度ある「3年間本当に頑張ってきた」フィジカルトレーニングで鍛え上げた走力や、攻撃でも活用しているロングスローを練習から跳ね返し続ける守備陣のヘディングへの自信など、白尾秀人監督も「黄色のミツバチ軍団のような。最後は体を投げ出してくれて、見ている人たちも感動していると思う」と讃えたハードワークの賜物だと話す。
東風谷自身、谷あり山ありのジェットコースターのように試合を進めた。
上田西が前回選手権に出場したのは第96回大会。その時はベスト4まで進出している。狙うのは7年前の記録越えだが、4日の準々決勝では、高円宮杯プレミアリーグEASTで4位の流通経済大柏(千葉)という強豪と対戦となる。「自分たちは雑草魂でやるしかない」という東風谷は、「チャレンジャー精神で、1試合1試合、周りの評価とかどっちが勝つかとか、そういう予想とかを全部ひっくり返して、自分たちが勝てるようにやっていきたいと思います」と力強く、一戦必勝で臨むとしている。