―[東京にビルを持とう。/青木龍]―

 こんにちは。
中小企業の経営者や富裕層向けの投資ビルを売買仲介する不動産会社アグノストリを経営している青木龍です。
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 物価上昇や円安が進むなか、お金を銀行に預けているだけではどんどん価値が目減りしていく。そんななかで、“ビル保有”こそ最強の資産防衛策だと思っています。

 今回は、不動産投資と一口に言っても、アパートやマンション、戸建て、REIT(不動産投資信託)など、さまざまな種類があるわけですが、なぜ「区分オフィスビル投資」なのか、そのメリットや可能性をご紹介できればと思います。

安定した収益の基盤、創業100年以上の老舗企業は「貸事務所業」が多い

不安定な時代に「“オフィスビル”の所有こそ最強の資産防衛策である」と言えるワケ
※写真はイメージです。以下同(Photo by AdobeStock)
 将来いくら年金を受け取れるかの保証はなく、定年後も一定の暮らしを続けていくためには、まずは貯蓄を増やしておくことが求められる時代になっています。

 そのうえでは、投資対象を決める以前に「安定的な収入」が重要になってくるわけです。世の中には、いろんなビジネスが存在しますが、まずもって「事業の継続性」が大切なので、その点をしっかりと見極めなくてはなりません。


 不動産投資は言うまでもなく「不労所得」を得られるのが最大の魅力と言えるでしょう。不動産事業には貸家業(アパートやマンション経営)や貸土地業(トランクルームや駐車場経営)、旅館業(ホテルや宿泊施設の経営)などがありますが、貸事務所業は利益安定率が最も高い業種です。

 いわゆる四大財閥(三井、住友、三菱、安田)のような歴史的な企業は、貸事務所業を営むことで安定収益を確保し、時代の変遷とともに変化するビジネス環境にも対応しながら長く生き残ってきました。

 あまり知られていないところでは、あんぱんで有名な創業150年の歴史を持つ銀座木村家も新宿にあった工場跡地にビルを建て、貸事務所業を行っています。そのほかにも新聞や出版、造船といった昔からある業種では、“本業以外”の貸事務所業で得た安定的な利益によって、時代の転換期も乗り越えてきたんです。

Cグレード「オフィスビル」の需要が増加、大きく“化ける”可能性も…

不安定な時代に「“オフィスビル”の所有こそ最強の資産防衛策である」と言えるワケ
ビジネス・オフィス
 では、なぜ私がマンションやアパートなどもあるなかで「オフィスビル」をおすすめするのか。

 不動産投資のなかではマンションが一般的によく知られていますが、暮らしをより良くするために、デベロッパー(開発業者)は年単位で新たな設備を開発し続けているという現状があります。


 あるエリアの築5年の投資用マンションを購入したとしても、近隣に新築のマンションが開発されてしまえば、競争力で負けてしまう。その対策として、最新設備を導入するためのリニューアルや、賃料を下げるという手もあるのですが、往々にして「損」をすることも多いのです。

 一方、オフィス(事務所)の場合、主な設備といえば空調で、水まわりはトイレとか給湯室ぐらいのため、物件の築年数にかかわらず、競争力を維持しやすいという特徴があります。

 コロナ禍において、世の中はオンライン体制への移行が進みましたが、実態としては中小企業の多くがテレワークを導入せずに、オフィスに出勤するスタイルを継続しました。

 また、不動産会社がシリーズ化した名称を持つAグレードやBグレードのビルに入居していた企業が、コストの兼ね合いからCグレードのビルに縮小移転するケースが目立ちます。

 こうしてCグレードのオフィスビルの需要は以前よりも高まっているのです。


 私は、オフィスビル投資のなかでもCグレードが最適だと考えているのですが、1フロア20坪~100坪、総面積1万平米未満の中・小型ビルの供給が約20年間ほどされていないことも注目すべき点でしょう。つまり、需要と供給のバランスが絶妙なんです。

 また、都内はバブル期にたくさんのビルが建てられたことで、ほとんど更地が残っておらず、色々なエリアで行われる再開発には、Cグレードのビルを取り壊してSグレードのビル(総面積4万平米以上、階数40階以上の大型ビル)に建て替えることがほとんどです。

 もしも、所有しているCグレードのオフィスビルが再開発エリアの対象になれば、不動産価値が一気に高まり、大きく“化ける”可能性があるのです。

「区分オフィスビル投資」2つのメリットとは?

不安定な時代に「“オフィスビル”の所有こそ最強の資産防衛策である」と言えるワケ
ビジネス・会議室
 区分所有をあらためて説明すると、一棟丸ごとではなくフロアごとに所有するという意味です。そんな区分オフィスビル投資のメリットは、大きく2つあります。

 ひとつ目は、「修繕が見える化されていること」です。
一棟ビルのオーナーは、経年劣化による修繕工事の資金を捻出しなければなりません。場合によっては“急な出費”を強いられることもあり、コスト面で大きなリスクを抱えることになります。

 一方で、オフィスビルを区分所有する際は、そのビルの管理組合が定めた長期修繕計画に基づく修繕積立金が定められていることが多く、突発的な支出がないのがメリットになります。

 もうひとつは「分散投資ができること」です。ビル一棟に比べて、限られた予算のなかで、区分所有する物件を分散させられるのが大きな利点と言えます。先ほどもお伝えしたように、区分所有するCグレードのビルが再開発の対象に入れば、それだけで“ビッグマネー”が舞い込む可能性があります。
再開発に入らなくても、近隣の物件を区分所有していれば、相場価値の値上がりも期待できるでしょう。

デメリットやリスクもあるが…

 強いて区分所有のデメリットを挙げるとするならば、ビルのリニューアルや工事を行う際に、全所有者に対して5分の4以上の同意が必要で、他のオーナーと足並みを揃えなくてはならないことです。

 マンションの場合は「住居用」か「投資用」などと、オーナーごとに所有目的が異なるため、意見がまとまりにくいと言われています。一方、オフィスビルの場合は「投資用」で所有しているオーナーが大半なので、経済合理性の観点から利害が一致しやすく、そこまで気にする必要もないように私は考えています。

 今回は、なぜ「区分オフィスビル投資」なのかについて話してきました。世の中が不安定な状況のなかで、ぜひお金を有効活用してもらいたいです。
 

 ただし当然、不動産投資の3大リスクといわれる「空室リスク」、「賃料の下落リスク」、「物件価値の下落リスク」を理解しておかなければなりません。また、よくやりがちなのが、「利回り」で投資物件を選んでしまうことです。

 あるエリアの平均坪単価が1.2万円だとし、坪単価2万円で利回り5%のA物件と、坪単価8000円で利回り4%のB物件なら、後者を選ぶようにします。なぜか?

 前者の場合、物件価値の下落リスクがあり、損する可能性も大いにありますが、平均坪単価よりも下回っているB物件は値上がりして利回り8%になる可能性も含んでいるわけです。区分オフィスビル投資は、利回りよりも「ポテンシャル」を見ることが鉄則だと言えるでしょう。

<構成・文/古田島大介>

―[東京にビルを持とう。/青木龍]―

【青木龍】
株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長。1989年、東京都出身。小学校から高校1年まで野球を続け、厳しい監督に鍛え上げられる。22歳で事業系不動産に特化した不動産売買の会社に就職。中小企業の経営者をターゲットに、ビル売買の営業開拓を実施。その後大阪支店・名古屋支店の立ち上げに携わる。最終的に東京で課長職に就任。会社員時代は1人で50億円を販売しトップセールスに。2018年に独立し、東京都千代田区にアグノストリを設立。会社設立後、年間100億円ほどの売買を締結。著書に『2%の人しか知らない、3億円儲かるビル投資術』(ぱる出版)、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)がある。X(旧Twitter):@agnostri_aoki