共働き夫婦が約7割を占める現代において「稼ぐ妻」が世帯年収を押し上げ、存在感を増している。これを戦略的に捉え、「妻の稼ぎを伸ばす」ことで世帯年収を倍増させている者たちがいる。
彼らに共通するものは何なのか。新時代の夫婦の戦略を解明していく!

夫が妻のキャリアップを補佐

妻の仕事をジャマするのは損!妻の年収50万円アップを後押しし...の画像はこちら >>
「旦那ブロック」という言葉があるように、妻のキャリアアップにおいて夫の反対が支障となるケースはまま見受けられる。しかしそれとは逆に、夫が積極的に家事・育児を引き受け、転職活動をサポートすることで、妻が飛躍を果たす場合もある。

ベンチャー企業社員・岡田さん(34歳・本人希望で苗字のみ掲載)のケースがそうだ。現在兵庫県内に住み、2男1女の子育てに奔走する岡田夫妻。妻はもともと、化粧品メーカーで働いていたが、結婚後に再転職した。

「キャリアに対する夫の感覚と妻の感覚は、一致するとは限りません。だからこそ転職活動において、夫は無理に妻を説得するのではなく、背中を押すことを大切にしてほしいと思っています」

こう言葉に力を込める岡田さん。妻とは、岡田さんが大手食品メーカーに勤務していた時代、神戸で出会い結婚した。妻が会社をやめたのは、岡田さんが東京支社に異動したのがきっかけ。東京で新たな仕事先を見つけるため1度目の転職活動を始め、最終的にはWeb系企業に正社員のデザイナーとして入社した。

妻はWebデザイナーに転職し年収がアップ

このとき、岡田さんは一緒に求人を探すなどしてサポート。転職活動をしながら、妻のキャリアの希望にも耳を傾けた。

「求人を探すなかで、前職同様、化粧品メーカーへの就職を勧めると、Webデザイナーの求人を見つけてきて応募し、未経験にもかかわらず見事に内定を得ました。
女性の場合、妊娠・出産などが間に入ることもありキャリアの非連続性にも対応しやすい。その意味では男性より感性が柔軟だと感じました」

もともと、明るい性格で友達も多く、近所付き合いも上手だったという妻は、入社後持ち前の明るさもあって客先にも可愛がられながら技術を磨いた。世帯年収も50万円ほどアップしたという。

「転職活動においてパートナーが興味や関心の赴くままに選択をすることを応援するのも、働き方が多様化している現代ではひとつの戦略と言えると思います」と振り返る。

その後、第2子を妊娠したこと、再度家族で兵庫に移住をすることを決めたタイミングが重なり、妻は会社を退職。現役時代に培った実力が問われ、2度目の転職活動では個人事業主のWebデザイナーとして独立した。労働形態は変わったものの、年収としては横ばいを維持できている。

転職活動の成否に影響を与えたのは…

男性側が妻に合わせて働き方を変えることで、「妻のキャリアアップはもちろん、家族全体での生活の質を高められる」と岡田さんは言う。

岡田さん自身、第1子が生まれた時には2週間、第3子が生まれた時には10か月の育休を取得。現在はNPO法人「ファザーリング・ジャパン」で父親育児支援サポートにも携わっている。

「自分も初めは正社員で2馬力家庭を想定していましたが、従来男性の『正社員主義』『出社が義務』『育休は女性だけが取得するもの』といった固定観念を取っ払えば、柔軟な発想ができますし、それに合わせた家庭内サポートの形を考えられます」と話す。

転職を決めたのは妻自身だが、言いたいことを言い合える関係性を築いていたことも、結果的に転身を成功へと導いた。
日頃からの夫の心理的サポートが転職活動の成否にも影響を与えると言えそうだ。

妻が転職3か条
①妻を”説得”はしない
②家庭内サポートも万全に
③正社員に囚われすぎるな

取材・文/週刊SPA!編集部

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