空港での異様な待機
通常、日本や欧米の空港ではチェックインを済ませ、手荷物検査を終えれば、あとは搭乗までゆったりと待つことができる。しかし、中国発路線ではチェックイン後にもさらに待たされることがある。チェックインカウンターで手続き作業が終了した後、横に移動して立つよう指示され、係員は次の搭乗者のチェックインを始める。預け入れ手荷物がベルトコンベアで移動する途中に行われるX線検査で、主にモバイルバッテリーが見つかると再検査が行われることがあるためだ。中国系エアラインはこのチェックがより徹底していると感じる。モバイルバッテリーには容量があり、本体に数値の刻印表示がないと没収されることがあるので、実際に海外に持ち出す場合は要注意だ。一般的には、モバイルバッテリーが見つかった場合、館内アナウンスで呼び出されるなどして恥ずかしい思いをするが、中国系エアラインの方式は評価できる。
機内持ち込み手荷物内のライターは100%没収されるので、気を付けよう。日系エアラインでは、一人1個の使い捨て液化ガスライターは持ち込めるが、中国系はより厳しいということになる。
機内に見かけない乗務員がいる

また、週1便のフライトのため、176人乗りの機材に対して乗務員は15名も乗務していると聞いた。通常の便ではパイロットと客室乗務員を合わせても6~7名になるところを、倍以上も乗務させている。一日で往復乗務をするには勤務時間が長すぎる。乗務員を成田空港に1週間も宿泊させるにはコストがかかりすぎる。その対策として、海口から成田へのフライトには、帰路の成田から海口に乗務する乗員を加算して搭乗させ、帰路担当は往路には勤務ではなく客席に座らせている。
日本人のアウトバウンド客にとって週1便のフライトでは7泊8日の旅程になるため、早々に増便してほしいところだ。


世界で評価を受ける海南航空

筆者はコロナ禍前の2018年に、世界的なイギリスのファンボロー航空ショー会場で、このスカイトラックスの表彰式を取材したことがある。海南航空は世界TOP100エアラインの堂々8位にランクインしていた。
予想外の手厚いサービス

機内サービスは想像以上に良かった。機内食は、ボックスミールと別に肉か魚の2種類から選ぶ温かいメインディッシュが付いていた。ボックスの中にはエビの入ったサラダ、ミニたい焼き、パン1個とバターが入っており、清潔で豪華に見えることは間違いない。これも中国風のおもてなしの一部かもしれないと思うと、興味深く感じた。実際に食べてみるととても美味しかった。
ミールの入る箱の内側に中国語で「旅行における炭素削減:あなたと私には責任がある」と書かれており、機内食を事前にキャンセルすると600ポイントが獲得できると表示されていた。
また、多くの客室乗務員は気持ちの良い笑顔で対応していた。一昔前にはあまり見られなかった状況だ。
海南航空の顧客サービス面では、予想以上の対応の良さに感心した。特に素晴らしい対応として目にしたのは、降機時に客室乗務員が荷物の多い母親をサポートし、赤ん坊を抱えたまま機外に出てタラップを降りて行き、バスに乗るまで付き添っていたことだ。このような心遣いは、どのエアラインでも見られるわけではなく、印象的だった。

コストパフォーマンスの高さ

2025年4月1日から、海南航空で関西⇔海口を結ぶ週3便の路線が開設されるニュースが飛び込んできた。日本からますます、利便性が高くなる。
中国系エアラインのフライト中に感じた“違和感”は、結局のところ文化や習慣の違いによるものだ。しかし、それを理解し受け入れることで、中国系エアラインの新たな魅力を発見することができる。また、良い意味での意外さを爽やかさとして感じられた。
中国では不動産バブルと言われて久しいが、海南省では自由貿易や医療の面での特区が充実しており、経済面でも安泰であると期待が持てる。海南島最南部三亜のリゾート体験をお勧めする内容でこの記事を締めくくろう。
お勧めのホテル

日本から海南島への直行便は海南航空のみ。中国のリゾートで桁違いのバカンスを楽しみに行きたい。
※航空運賃は2025年2月下旬に海南航空公式HPで確認したもの。
【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing