そして3月31日には、すき家昭島駅南店で商品に害虫が混入していたことが判明。一連の事態を受け、すき家全店舗(ショッピングセンター内などの一部店舗を除く)を一時閉店することを発表した。
ネズミが発生している飲食店の裏側は、一体どのような状態なのだろうか。今回、かつて大量にネズミが発生していた某飲食店で勤務していた元従業員のAさん(30代・男性)にインタビューを行い、その“悲惨な裏側”についての話を伺った。
ネズミの“息の根を止める仕事”
Aさんが勤務していたのは、東京都の多摩地区にあった某飲食店(現在は閉店)。こちらのお店では、毎朝捕獲したネズミの“息の根を止める仕事”から始まっていたと語る。「毎朝、罠に引っかかったネズミを処理するところから仕事が始まっていました。ネズミ取りに引っかかったネズミは生きたままだと捨てられないので、ゴミ袋に水を張り、生きているネズミを水につけて窒息させるんです。害虫を殺すのも嫌でしたが、哺乳類の生き物を殺すのは心が痛みましたね……。しかもネットの情報によると、飲食店の裏にいるタイプのネズミに噛まれたら『感染症になるリスクがあり、最悪死に至る危険性も』との情報もあったので、絶対に噛まれないよう慎重に処理していました」
ただ、捕獲して殺さないことには食べ物の被害は増えるばかり。店の裏に大量のネズミが生息していた影響で、食べ物をカバンの中に入れていたところ、ネズミにかじられてしまったことがあったという。
「ある日、カバンの中に未開封のコンビニおにぎりを入れていたところ、かじられた形跡がありました。もうこれはトラウマものですよ。
Googleマップのクチコミに書かれたことも…
あまりに大量のネズミが裏にいたことで、すき家のように「混入事件」は発生しなかったのだろうか。「さすがにネズミが混入したものを提供したことはありませんでした。なんなら営業時間になってから目撃することも滅多になかったです。仕込み時間が3時間くらいあって、その間はウロチョロしていますけど、開店するとなぜか目撃しなくなるんですよ。一時、ひどいときに客席に出てしまったことがあって、すき家と同様にGoogleマップのクチコミに書かれてしまったことがありましたが……。もともと、その月の末で閉店することが決まっていたこともあって、大事にはならなかったです」
従業員の確認ミスは「ありえないレベル」
すき家の公式見解では、作り置きしていた味噌汁のお椀にネズミが紛れ込んだと説明されているが、それに対してA氏は疑問を呈する。「私が過去に見たケースでは、冷蔵庫の中で死んでいるネズミを発見したことはありました。なので、たとえば冷蔵庫上段で死んでしまい、死骸が下段にあった作り置きのお椀に何かの拍子で落ちた……なんてことはあり得るのかもしれません。ただ、ネズミが入っているお椀に注ぐ、ましてや気づかず提供するのは考えにくいですよね。私が働いていたお店でも同じような作り置きがありましたが、絶対にお椀を見ないと味噌汁を注げないので、店員が気づかないのは“ありえないレベル”と言っても過言ではありません」
客が入れた可能性は?
また、SNSには「客が入れたのでは?」といった投稿も多く見られたが、その可能性はないのだろうか。「公式の見解の第2報で店内の防犯カメラを確認した旨の記述があるため、それが事実なら客や店員がわざと混入させた可能性は低いのではないかと、個人的には思います。当該店舗は不明ですが、すき家は厨房にも防犯カメラが設置されている店もあるので、バイトテロならそのように記載するでしょうからね。
もうすでにネズミが住み着いてしまっている店は完全に駆除するのはなかなか難しいだろうが、対策を先延ばしにしていたら、自身が職を失うことに繋がりかねないだろう。
果たして、すき家はどこまで信頼回復に努められるのだろうか。
取材・文/日刊SPA!編集部