お花見の際、大騒ぎする隣のグループに「うるさいなぁ」と思ったことがある人は多いはず。まだ楽しく飲んでくれていればいいが、必ずしもそうとは限らない。
全然楽しそうに見えない隣のグループのお花見
エネルギー関連会社に勤める玉井雄介さん(仮名・29歳)が所属する部署では、お花見が春の恒例行事。しかし、3年前に隣で飲んでいたグループとトラブルになり、一触即発の状態になったとか。「その日は全員早めに仕事を切り上げ、夕方5時過ぎから飲んでいたんです。花見を企画したY課長は部署のムードメーカでもあり、こういった飲み会では自ら率先して盛り上げ役を買ってくれます。それでいて周りに対して強要もしないのでお酒が苦手な社員も楽しめると評判で、その年は他部署の人も含め15人ほどが参加していました」
いつものようにワイワイと飲んでいたそうだが、30分ほど経ったころ、同じ職場と思しきスーツ姿の一団が隣のスペースで飲み始める。だが、玉井さんのところとは対照的に楽しげに話す人はなかったそうだ。
「乾杯こそしていましたが、仕事の会話なのかカタい表情をしていたり、まったく話をせずに黙々とお酒を飲んでいる人もいました。花見にしてはちょっとヘンな空気でしたね」
それでも最初のうちに特に気にはならなかったが、しばらくするとその隣のグループから怒気を含んだ大きな声が聞こえてきた。
酔ったブラック上司が部下にパワハラ

正座する男性に「契約も取れねぇクセに」などと責していたが、それはブラック上司によるパワハラにしか見えたなかったという。
「途中からは『お前が有給取るとか100年早いんだよ』や『Fラン大出身のヤツは本当に使えねぇな!』など仕事とは関係のないただの悪口でした。おまけに『今度の会議の資料、明日の朝までに作っておけよ』とか無茶振りもするわ、まあひどかったですね」
男性は涙目でひたすら謝り続けていたが、上司の口撃は一向に収まらない。だが、そんな態度すらも気に障ったのか、「俺の話を聞いているのか!」とプラスチックの空コップを投げつけていたそうだ。
「それがウチの女性社員の背中に当たったのですが、お詫びの言葉は一切なし。文句を言ってやるつもりでしたが、彼女に止められたので何も言いませんでした。けど、ブラック上司はこっちのことなど視界に入っていないのか、パワハラに夢中な様子でした」
課長がブラック上司にとった行動とは
相変わらずの大声で玉井さんの同僚たちも辟易していたが、そのとき彼の上司である課長がスッと立ち上がり、ブラック上司のもとに向かったのだ。「『申し訳ないけど、声のトーンを少しだけ抑えてもらえないか』と言ったんです。でも、課長に対して『おたくには関係ないだろ! ヨソの会社のことにクビを突っ込まないでくれ!』と怒鳴ったんです」
課長は相手をなだめようとするが聞き入れてもらええず、それどこかネクタイを掴まれてしまう。ところが、課長は次の瞬間、相手の耳元で一言二言話しかける。

「何を言ったのかは聞き取れませんでした。課長には『ちゃんと話したら分かってもらえた』とはぐらかされましたけどね。ただ、相手のビビり具合を見る限り、絶対に何か脅しを入れたはず。仕事でミスしても頭ごなしに叱る人じゃないですけど、この人はヤバい。
不特定多数のグループが集まるお花見では、飲んでいるのは自分たちだけではない。周囲に迷惑をかけないよう節度を守って飲むようにしたいものだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。