’25年5月2日、神奈川県の横浜アリーナでWEST.のアリーナツアー『WEST. LIVE TOUR 2025 A.H.O. -Audio Hang Out』が開催された。ツアー中盤の折り返し地点となったこの日は、彼らが主演を務める映画『裏社員。
“アホかっこいい“をテーマに掲げた本ツアーも、演出をメンバーの藤井流星が担当。ツアータイトルのA.H.O.はAudio Hang Out(音で遊ぶ)の意味だが、「アホとも読めますけど、好きに呼んでください。アホと言えば僕たちWEST.。ライブでよくアホなのことばっかりやってます。歌、ダンスよりもそっちに磨きをかけてます」と濵田崇裕が話すように、WEST.らしい遊び心にライブへの期待感が高まる。
この日はあいにくの雨模様となったが、会場はカラフルなペンライトの花で満開。モノクロ映像にメンバーカラーが差し込まれるオープニング映像から、すでに世界観が出来上がっていた。スタートは、最新アルバムの表題曲「A.H.O.」から。サーフロックの名曲の「ミザルー」のリフを取り入れたギターサウンドで始まり、軽快なテンポでコロコロと転調を繰り返すアッパーチューンに観客は一気に引き込まれ、「AHO!AHO!AHO!」と連呼するサビでは、WEST.が掲げる“アホかっこいい”が会場を包み込んだ。そのまま「ええじゃないか」や「まぁいっか」など、定番の盛り上がり曲も序盤から惜しみなく投入。
他に、本ツアーで注目すべきは、リードアルバムに収録されたメンバー各自のセルフプロデュース楽曲が披露されたことだろう。梅田サイファーが楽曲提供した神山智洋の「WESTraight」は、ヒップホップビートにまっすぐな言葉を乗せたストイックな一曲で、スタンド席やアリーナなど会場の至る所からメンバーが登場し、まさにサイファーのようにラップを繋いで盛り上げた。
藤井流星の「TICTOK」では、ユーモアとハイセンスな映像演出が融合。中間淳太の「アップルパイ」は椅子を使ったダンスとコンセプチュアルな映像で楽曲の世界観を深掘りし、小瀧望の「Sweety」ではセンターステージがベッドルームに変わり、大人の色香と遊び心を行き来する演出にファンから黄色い歓声が飛んだ。
さらに、重岡大毅が人生初のコレオグラファー(振付師)に挑戦した「それいけベストフレンド!」で元気いっぱいに明るく盛り上げ、濱田崇裕の「レイニーラプソディー」と桐山照史の「ティダ」では、メンバーがピアノやギター、パーカッションを演奏しながら歌い上げる、アコースティックなひとときを届けた。それぞれの曲がそれぞれの個性を際立たせながら、どれも不思議とグループとしての一体感があり、まさしくWEST.というグループの真骨頂を証明していた。
そうした多様な演出を束ねるもうひとつの軸が、笑いのパートである。恒例となったコントコーナー「中間ん家物語」では、母・淳子を演じる中間が、とにかく自由なメンバーたちの全ボケを拾いあげる安定のツッコミ力を発揮し、観客を完全に笑いの渦へと引き込んでいく。
本編ラストブロックでは、生バンドとホーンセクションを前面に押し出した、渾身のロックコーナーに突入。キヨサク(MONGOL 800)が提供したサマチューン「SOUTH WEST BEACH!!」からスタートし、会場狭しと“Audio Hang Out(音で遊ぶ)”するWEST.の7人にエネルギーが満ち溢れていた。そして本編ラストを飾るのは「この旋律よ 誰かの歌になれ」。頑張って生きているたち人にそっと寄り添うようなWEST.らしい疾走感に溢れたメッセージソングで、いつの間にか心がほんのりと温かくなっていることに気づく。
アンコールでは、スタンドトロッコに乗った7人が再登場し、人気曲のメドレーとともにアリーナを一周。メインステージに戻ると、5月7日発売の新曲『BIG LOVE SONG』を披露。7人で大きなハートを作る振付と、温かな7人の歌声で、幸福感に溢れていた。
本公演では、映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』公開の他にも、6月29日より新番組『WESSION』(WOWOW)がスタートすること、そして10月12日、13日に大阪で自身初の主催野外フェスが開催されることなど、多くのサプライズ発表があり、これからのWEST.がさらに広く支持を集めていくであろう確信を抱かせてくれた。しかし、“アホ”という言葉を旗印に、ここまで多様な表情を。
取材・文/森野広明 撮影/後藤 巧
-スパイやらせてもろてます-』の公開日。昨年4月にデビュー10周年の節目を迎え、11周年イヤーを駆け抜ける彼らにとっても特別な一日になった。
“アホかっこいい“をテーマに掲げた本ツアーも、演出をメンバーの藤井流星が担当。ツアータイトルのA.H.O.はAudio Hang Out(音で遊ぶ)の意味だが、「アホとも読めますけど、好きに呼んでください。アホと言えば僕たちWEST.。ライブでよくアホなのことばっかりやってます。歌、ダンスよりもそっちに磨きをかけてます」と濵田崇裕が話すように、WEST.らしい遊び心にライブへの期待感が高まる。

WEST.
メインステージ、センタステージ、外周トロッコと縦横無尽に駆け回った。また、5月2日に発売された最新曲で、WEST.主演映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』の主題歌でもある『ウェッサイソウル!』も披露。関西の大先輩であるトータス松本が作詞・作曲、サウンドプロデュースをウルフルズが手がけており、そのファンク・ソウルのノリがWEST.が体現する“アホかっこいい”世界観に恐ろしいほどにマッチしていた。
他に、本ツアーで注目すべきは、リードアルバムに収録されたメンバー各自のセルフプロデュース楽曲が披露されたことだろう。梅田サイファーが楽曲提供した神山智洋の「WESTraight」は、ヒップホップビートにまっすぐな言葉を乗せたストイックな一曲で、スタンド席やアリーナなど会場の至る所からメンバーが登場し、まさにサイファーのようにラップを繋いで盛り上げた。
藤井流星の「TICTOK」では、ユーモアとハイセンスな映像演出が融合。中間淳太の「アップルパイ」は椅子を使ったダンスとコンセプチュアルな映像で楽曲の世界観を深掘りし、小瀧望の「Sweety」ではセンターステージがベッドルームに変わり、大人の色香と遊び心を行き来する演出にファンから黄色い歓声が飛んだ。
さらに、重岡大毅が人生初のコレオグラファー(振付師)に挑戦した「それいけベストフレンド!」で元気いっぱいに明るく盛り上げ、濱田崇裕の「レイニーラプソディー」と桐山照史の「ティダ」では、メンバーがピアノやギター、パーカッションを演奏しながら歌い上げる、アコースティックなひとときを届けた。それぞれの曲がそれぞれの個性を際立たせながら、どれも不思議とグループとしての一体感があり、まさしくWEST.というグループの真骨頂を証明していた。
そうした多様な演出を束ねるもうひとつの軸が、笑いのパートである。恒例となったコントコーナー「中間ん家物語」では、母・淳子を演じる中間が、とにかく自由なメンバーたちの全ボケを拾いあげる安定のツッコミ力を発揮し、観客を完全に笑いの渦へと引き込んでいく。
この緩急の妙がまた、彼らのステージの魅力。思い切りセクシーに決めたと思ったら、直後に全力でふざけるそのギャップに、観客は何度も心を掴まれるのだ。
本編ラストブロックでは、生バンドとホーンセクションを前面に押し出した、渾身のロックコーナーに突入。キヨサク(MONGOL 800)が提供したサマチューン「SOUTH WEST BEACH!!」からスタートし、会場狭しと“Audio Hang Out(音で遊ぶ)”するWEST.の7人にエネルギーが満ち溢れていた。そして本編ラストを飾るのは「この旋律よ 誰かの歌になれ」。頑張って生きているたち人にそっと寄り添うようなWEST.らしい疾走感に溢れたメッセージソングで、いつの間にか心がほんのりと温かくなっていることに気づく。

WEST.
本公演では、映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』公開の他にも、6月29日より新番組『WESSION』(WOWOW)がスタートすること、そして10月12日、13日に大阪で自身初の主催野外フェスが開催されることなど、多くのサプライズ発表があり、これからのWEST.がさらに広く支持を集めていくであろう確信を抱かせてくれた。しかし、“アホ”という言葉を旗印に、ここまで多様な表情を。
安定したパフォーマンスを見せられるグループが、他にいるだろうか。WEST.はデビュー以来、変わらない7人で走り続けている。あとは私たちそれぞれが「いつWEST.に出会うかどうか」。それだけなのかもしれない。
取材・文/森野広明 撮影/後藤 巧
編集部おすすめ