担当者の運転がかなり怪しい…
「やりとりしたのは、萩原さん(仮名)という大手不動産仲介会社の女性社員で、対応はいたって普通。何回かメールでやり取りしたのち、内見に行くことに」しかし、徐々に担当の萩原さんに違和感を覚える行動が出たという。
「車に乗ると、『ちょっと運転が不慣れで、ご迷惑をかけるかもしれません』と言うんです。『今さらそんなことを言わないでくれよ』という感じでした。適当に世間話をしていたら、いつの間に高速道路のレーンに入っていて。びっくりして『高速で行くんですか?』と質問すると、『道を間違えました!』と叫んでUターンしようとするんです。もちろん逆走になるので、『高速に入ってください』と。もう自分が運転を代わりたいぐらいでした。さっきまでの落ち着いた雰囲気はどこへやらでした」
内見終了直後に契約を迫られて…
道中で危険な思いをしつつも、内見自体はつつがなく終了。ただ、不動産会社の萩原さんが、思いがけない言葉をかけてきたという。「内見を終えて車に戻ると、『契約しますよね。今、ここで契約書にサインをしてもらえますか?』というんです。呆気にとられていると、カバンから契約書とボールペンを出して、真顔で『今、ここで』と念押し。
与田さんはどのように対応したのだろうか。
「部屋は気にいったので、契約する意思はありましたが、『この場で契約してほしい』といわれたことが引っかかり、『即決はできない』と回答。すると、『契約しないということですか? 気に入ったから、内見に来たんですよね』とキレ気味に言われて。『一度検討させてほしい』と話すと、『なんのために内見に来たんですか。貴重な時間を割いているのに。契約してくださいよ』と怒り出しました」
電話でクレームを入れるも…
「ありえませんよね。サインを強要するような人に手柄を立てさせたくないと思い、きっぱり『契約はしません』と明言。萩原さんは『わかりました』とかなり低いトーンでつぶやきました。頭にきていたので、『ここで失礼します。送っていただかなくて結構です』と告げ、最寄り駅まで歩いて、電車で帰宅したんです。しばらくして一斉送信なのか、また物件紹介のメールが送られて来まして。バカにされたような気がして、『御社は内見で契約をしないとキレるのか?』『御社は内見をすると、その場で契約を迫るのか?』と電話でクレームを入れました。
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運転が怪しいのはご愛敬で済むかもしれまいが、契約を迫ったのはいただけない。ノルマに追われて焦っていた可能性もあるとはいえ、果報は寝て待ったほうがよっぽど正しい対応だったはずだ。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など