「Nintendo Switch 2」の発売を控え、盛り上がるゲーム界ですが、今回のコラムはSwitch 2の話題ではなく任天堂の携帯ハードについて。私はSwitch、もしくはSwitch 2のスマホライクな小型携帯機が発売されたらいいなと待望しており、来年か再来年にはリリースされても不思議はない……と睨んでいるひとりです。
小型携帯ハードの復活はあるか?
2017年に発売された初代Switchは、「家庭用据置型テレビゲーム機でありながらご自宅か外出先かを問わず、テレビモニターの前を離れて本体を持ち出して遊べる」(2016年の発表リリース)というコンセプトを掲げていました。当時、任天堂は据置機のWii Uと携帯機の3DS、2つのハードを抱えていましたが、Switch発売によって1989年のゲームボーイから続いていた携帯機の路線は据置機に吸収された格好です。振り返ってみると、2017年は王者『モンスターストライク』をはじめ、『ポケモンGO』『Fate/Grand Order』など、スマホのゲームアプリが相変わらず好調。わざわざコンシューマの携帯ハードを持ち歩かなくても、スマホひとつで十分という空気が溢れていました。しかし、この8年間でコロナ禍によるコンシューマゲームへの回帰もあり、現在ではスマホのゲームアプリの勢いも落ち着いています。ゲームに特化し、もっと気軽に持ち運べる小型携帯ハードのニーズも高まっているのではないでしょうか。
今回は、「Nintendo Switch 2 Lite」や、「Nintendo Switch Lite」よりもさらに小さい「Nintendo Switch Lite ミニ」のような、小型携帯ハードが発売され、それが大ヒットする可能性を勝手な願望も込めて探っていきたいと思います。
ポイント1 Switch 2の重量問題

また、サイズ感も一回り大きくなっているため、通勤・通学時に持ち歩き、電車のなかでプレイするといったカジュアル感は薄れています。Switch 2のスペックが向上し、据置機として十分に進化したことにより、携帯機の側面は弱まったように感じます。
ポイント2 埋もれている携帯機の財産

こうしたサイズ感的に軽やかなタイトルだけでなく、任天堂が携帯ハードで培ってきた“遊び”はいろいろとあります。
また、ルーブル美術館では音声ガイド機能を内蔵した3DS本体を貸し出すサービスが行われていました(2025年9月サービス終了予定)。これは宮本茂さんがDS時代から推し進めてきた“DSのパブリックスペース利用”構想の集大成的なプロジェクトで、ルーブル美術館に500以上のビーコン発信機を設置し、作品の観賞ガイドが見られるようになっているそうです。こうしたサービスは現在ではスマホが主流ですが、小型の携帯ハードなら“遊び”とリンクして特別な体験が生まれる可能性があります。
Switch 2は、Switchの正統進化ハードで、「任天堂らしい革新性をあまり感じられない」という印象を持つユーザーも多いようですが、そうした任天堂の革新性に対する期待にも、新たな小型携帯ハードなら応えられそうです。
ポイント3 任天堂製スマホの可能性

実は、Switch前夜の2010年代初頭から中盤にかけて、任天堂がスマホ端末の開発を行っているという噂がありました。
結局、スマホ端末の話は噂の域を出ませんでしたが、Switch・Switch 2の“Switch系ハード”が家庭内の母艦として定着しつつある今、任天堂製スマホと呼べるような小型の携帯ゲーム機をリリースする良いタイミングと言えるのではないでしょうか。
ちなみにPS系ハードは「次世代機のPS6と同時に、ポータブル版も発売される」という噂が、リーク情報などをソースに昨年末からささやかれています。外出用というよりは、部屋を移動して寝室などで遊ぶためのガジェットになりそうですが、今後“携帯機”というワードがゲーム界を再び賑やかにするかもしれません。
<文/卯月鮎>
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も