こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。
「不貞行為」「肉体関係」はないと主張している
「週刊文春」による田中圭さんと永野芽郁さんの不倫疑惑スクープ。特大のスキャンダルとして世間を騒がせていましたが、さすがに騒動もピークアウトした感があります。そんないまの時期だからこそ、今回の不倫疑惑で浮き彫りになった社会の問題点を冷静に考える必要があるでしょう。
まず整理しておきますと、田中圭さんも永野芽郁さんも、永野さんのマンションで一夜を共にしたことは認めているものの、不倫関係は否定しています。
また二人のLINEとして報じられたメッセージのやりとりに関しても、自分たちのものではないと否定しています。
田中圭さんと永野芽郁さんは、「不貞行為」「肉体関係」はないと主張しているわけです。
《密室で男女が過ごす》=《肉体関係あり》?
しかし、世の中には《密室で男女が一夜を過ごした》という状況証拠から、《肉体関係あり》と決めつけている人々も少なくありません。率直に言わせていただきますが、その決め付け、もう古いです。
というか“古い”を通り越して、その決め付けはもはや“危険”とも言えます。
二人には肉体関係があるという前提で語ることは、近年よく議論されている「性的同意」問題に繋がってくるからです。
性被害者が自己責任だと責められてしまうことも
たしかに一昔前までは、“相手の自宅に行くこと”は“性行為を了承したこと”になるという認識を持つ人が多くいました。けれどその強引な論法のせいで双方の同意・不同意の認識が異なり、力が弱い、もしくは立場が弱いほうが同意していないのに、望まぬ性行為を強要されるといった事件が数多く起こっていたのです。
しかも性暴力を受けた被害者のほうが「同意したつもりはなかった」と周囲の人たちに訴えても、「相手の自宅に行くことは性行為に同意したと思われても仕方ない」と、むしろ性被害に遭ったほうが自己責任だと責められてしまうケースも珍しくありませんでした。
二人で自宅に入っても肉体関係があるとは限らない
さて、ここで田中圭さん・永野芽郁さんの話に戻しますが、彼らに「不貞行為」「肉体関係」があったと決めつけている人たちの根底には、“相手の自宅に行くこと”は“性行為を了承したこと”であるという認識があるのではないでしょうか?わかりやすく俗っぽい言い回しに変換するなら、「二人で自宅に入ってったならやることやるのが当たり前」と、思い込んでいるのではないでしょうか?
どうか、性被害者側の気持ちになって、想像してみてください。
そのような勝手な断定が、相手の自宅に行っただけで性行為の同意なんてしたつもりもないのに、強引に襲われてしまった性被害者を苦しめている、旧態依然とした価値観だと気が付くはず。
「二人で自宅に入ってったならやることやるのが当たり前」なんてことはなく、「性的同意」問題が活発に議論されアップデートされている現代の常識では、「二人で自宅に入っても肉体関係があるとは限らない」と受け止めるべきなのです。
一見すると田中圭さん・永野芽郁さんのスキャンダルが、「性的同意」問題に繋がっており、望まぬ性暴力を受けた被害者感情にも繋がっているとは気付きにくいかもしれません。
ですが「不貞行為」「肉体関係」はないと主張している田中圭さんと永野芽郁さんに対して、「やることやってるに決まってる」と断ずることが、いかに古い価値観に基づくものか、おわかりになったのではないでしょうか。
時代遅れの旧態依然とした価値観でこの芸能スキャンダルを捉えることはせず、「性的同意」問題に対する考え方をアップデートしていきましょう。
<文/堺屋大地>
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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi