メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。
現代のTシャツトレンドは「ナードな服をモードに着る」
今のTシャツのトレンドは「ナード(オタクっぽい)」。90年代のアニメ作品をプリントしたものや、80年代ハードロックバンドのツアーTなど。そのどれもが古着加工(もしくは本物のヴィンテージ)を施したものばかり。「何も気取ってないよ」「昔買った好きな作品のTシャツをずっと使ってるよ」といった気の抜けたものが愛されています。
ファッショントレンドは反動で動くもの、ワイドシルエットが流行れば、今度はだんだん細身が流行り、ストリートが流行れば、今度はだんだんクラシックなデザインが好まれるようになります。
ファッションの根幹には「他人と違うものを」という思想があり、そのため、トレンドはマスに好まれているものと逆方向に向かう……つまり「反動」で動く結果となるわけです。
ここ10年プリントTシャツの柄トレンドは「かっこいい」「クール」なデザインが好まれました。
ストリートトレンドの中で……たとえば、すぐ思いつくのがsupuremeなどのボックスロゴですが、こうした洗練されたシンプルカッコイイデザインが人気でした。この時代が長く続いたため、ここ数年では反動で「もっとナチュラルでカッコつけすぎないもの」が好まれるようになってきたのです。
今のトレンドは「ヴィンテージ」

現代のプリントTシャツトレンドは「カッコイイデザインのものを着る」のではなく、「ナードな気の抜けたものを、カッコよくコーディネートする」ことで成り立っています。『ナードな服をモードに着る』とでも言いましょうか。あえて少し気の抜けたものを選ぶことでナチュラルなおしゃれを作るのが今の流れです。
ただ、もちろん「いたずらにダサいTシャツ」を選べというのではありません。今のトレンドは「ヴィンテージ」。
過去のクラシックを再評価する流れが強く、たとえば60年代などによく見られたスヌーピーT、80年代によく見られたバンドT、90年代に見られたアニメTを「今のトレンドシルエットや素材」で表現することが求められるのです。ファッションって難しいですね……。
UTで買うべきTシャツはこれだ!
では、ユニクロのお得意UTシリーズでそれはあるのか? たとえば、下記のようなデザインですね。・ピーナッツ UT/オーバーサイズフィット 1290円







色合いも黒や白のパキッとした「カッコイイ」ものではなく、褪せたチャコールグレーやオフホワイトなどがメインカラー。ヴィンテージ・ナードを体現したようなラインナップになっています。
また、現代アートのキースヘリングやアンディウォーホルなども古着でよく見かけるモチーフ。こちらもヴィンテージテイストのデザインや刺繍をあしらいながら、上手に「ダサく」見せています。
UTで買っちゃいけないTシャツはこれだ!
では、一方でUTで「ナシ」なアイテムは何か……今のトレンド感で語るなら「カッコつけすぎ」なプリントかと思います。・パブロ・ピカソ UT 990円


・UTアーカイブ スーパーマリオ UT 990円
かといって、「狙いすぎ」はNG。
ただ、単に気が抜けた、ダサいデザインを狙えばいいわけではもちろんありません。マリオやヨッシーなど海外ではヴィンテージキャラクターものとしても扱われますが、我々日本人からするとあまりにローカルなキャラクター。
日本語のタトゥーが海外ではカッコいいと思われるけど、日本人には不評なのと同じですね。馴染みがありすぎて気が抜けすぎ。小学生みたいですので。
・和柄(相撲) UT 1290円

最近、ユニクロはインバウンド向けにこうした和柄モチーフを展開していますが、これを日本でおしゃれに着るのはほぼ不可能。あくまでスーベニア、お土産品です。銀座ユニクロなどに行くとこれらが飛ぶように売れていますが、購入層は日本人ではなくあくまでインバウンド。間違えて買わないようにしましょう。
UTのサイズは以前と比べやや大きくなっています。175cm66kgの私でLサイズかXLサイズがちょうどいいくらい。あまり大きいサイズ感が得意でない方はLかなという感じですね。ぜひ参考にしてみてください。
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)