ラブホテルを使う目的といえば、そのほとんどがカップルの逢瀬や夜のお店のひとり利用。しかし、通信カラオケが設置されているところも多いため、カラオケボックス代わりや女子会で使ったり、外回り中の営業マンが昼寝などでサボる場所としても使われており、用途は思いのほか多岐にわたる。なかでも意外と多いというのが、旅行先での宿泊利用だ。
コスパは一般的なホテル・旅館よりも上?
「基本的に予約不要なラブホは飛び込みで泊まれるところが多いし、盆や正月、ゴールデンウイークでも旅館や普通のホテルと違って部屋も空いてます。みんな『ラブホ=そういうことをする場所』ってイメージが頭にあるけど、自分や妻にとっては普通のホテルのような感覚で使っていますね。まあ、外観はちょっと派手ですけど(笑)」そう明かすのは、電気工事会社に勤める浅井幸也さん(仮名・31歳)。今年結婚した高校時代の同級生の妻とは交際中から愛車で全国各地を旅行。ざっくりした行き先は決めているものの、細かいスケジュールなどは決めておらず、ほぼ毎回行き当たりばったりの旅とか。そのため、田舎などにもあるラブホテルは彼のようなドライブ旅行派には大変便利だ。
「以前はビジネスホテルや安い旅館に泊まっていたんですけど、それでも夏の北海道は旅行シーズンだから1泊1人1万円とか平気でかかってしまうんです。でも、部屋は狭いし、だったらラブホのほうが部屋が広くて安いじゃないですか。もともと僕ら夫婦は宿にこだわりはないですけど、長時間運転するから夜は横になってしっかり休みたいんです。
風呂の広さも魅力のひとつ
それにラブホは浴室が広く、浴槽も2人は入れる大きさになっているところが多いとか。お風呂の中で足を伸ばせるため、そこも重要なポイントだと力説する。「ジャグジーは特に珍しくないですし、なかには檜風呂や露天風呂になっているラブホもありました。旅館にも露天風呂付きの部屋とかありますが、試しに旅行サイトで調べてみると安いところでも1泊1人3万円台。でも、ラブホなら設備が豪華で高い部屋だとしても1万円を超えることは滅多にない。平均だと6000~7000円台くらいじゃないですか。しかも、2人での料金だし、やっぱりこの差は大きいですよ」
チェックイン後の外出がOKのラブホも
それでも一般的な宿泊施設と異なり、ラブホの場合は一度チェックインしたらチェックアウトするまで部屋を出られないシステムのところが少なくない。途中で食事など外出することが出来ないため、そこは不便だと思うが……。「確かに、外出不可のところが多いのは事実ですけど、思っていたほどは少なくなかったですね。よく使っていた『ハッピーホテル』というラブホ検索サイトは設備・サービスで絞り込みができ、【外出可】で調べることができたので重宝していました。ただ、近くにあるラブホがすべて外出NGでもコンビニなどで食べ物や飲み物を買い込んでから中に入れば済みますし、不便ってほどではなかったですけどね。僕らの場合は食事と入浴を済ませたらすぐ寝ちゃうので」
結果的には妊活にもなっていた?
だが、そうは言うもののラブホ本来の使い方をまったくしなかったわけではない。「旅行初日とか早めにチェックインした日は疲れもそこまで溜まってないですし、そういう時はやっぱりしちゃいますよね(笑)。
ちなみに浅井さんの妻は、現在第一子を妊娠中。7月に早めの夏休みを取って1週間の東北ドライブ旅行に出ており、その時にできた可能性が高いという。
「その時期がちょうど排卵期だったらしく、彼女も『旅行中の子供で間違いない』と断言していました。ただ、したのは初日と6日目の2回だけ。そろそろ子どもがほしいね、と2人で話していた矢先の出来事だったのでタイミング的にはよかったと思います」
旅行時のホテル代わりという彼らの用途に噓偽りはないと思うが、2人の思惑とは別に結果的には妊活にもなっていたようだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。