「プライベートでの男性経験は夫のみ。結婚してから亡くなるまでは毎日のように夫婦生活があった」
小笠原さんは、これまでどんな人生を歩み、そして何を思ってセクシー女優の道に足を踏み入れたのか。36年間の結婚生活、夫への想い、そして未亡人になって広がった人間関係……紆余曲折の半生を振り返る。
60代の甥を介護しながら高齢の猫とインコと暮らす

「去年から63歳の甥と同居を始めました。全盲になってしまったので、私が介護をしている状態です。今日はインタビューということで、別の人に頼んで病院に連れて行ってもらっています」
――もともと可愛がっていた甥っ子さんなのですか?
「いえ、そういうわけではなかったんです。甥は弟の子なんですけど、これまで接点は一切なかったんですよ。でも、誰か面倒を見る人が必要だからってことで、私が探し出されたんだと思います。甥は私のことを常に心配していて、ごみ捨てに行くにもついてこようとするんですよ。結局、私があの子を支えなきゃいけなくなるのに(笑)」
――では、今は二人暮らしなのですね。
「セキセイインコが1羽と猫も1匹います。猫はもう高齢で、ほとんど動くことができないんですけどね。
――小笠原さんご自身のお子さんはいらっしゃるのですか?
「娘2人と息子が1人います。息子にはこの仕事のことは伝えてあるんですけど、あんまり興味はないみたいで。元気であればいいよねって感じです。
娘たちのところには孫も5人いるのですが、今どうしているのかは全く知りませんね(笑)。子どもが独立して嫁いだら、うちとは一切関係ないことにするという夫の方針です」
――そこまで家族がキッパリと関係を断つのは、わりと珍しいですよね。
「京大卒の考え方ですよ(笑)」
――旦那さん、京都大学だったんですか!?
「しかもスポーツマンでね。頭が良くて運動もできるし、料理もできる人だった。夫よりイイ男はいないと今でも思っていますよ。とは言っても、もう30年以上前に亡くなっているんですが……」
「亡き夫は35年間、毎日私を抱いた」

「夫は私と同い年で、当時勤めていた会社の同僚でした。人生初めての恋愛でしたね。私は高校から大学までずっと女子校育ちで、男性にあまり興味がなかったもので」
――お2人の馴れ初めを教えてもらえますか?
「23歳の時に知人の紹介で知り合って、3ヶ月後には婚約というスピード婚でした。夫の希望で、結婚後はずっと専業主婦をしていました」
――夫婦の仲はいかがでしたか?
「夫はとにかく私のことが一番の人でした。平日は18時半には退社して、うちでご飯を食べて、毎日必ず私を抱くという生活を送っていました」
――毎日ですか!それはかなりお盛んな……。
「夫は59歳の時にすい臓がんで亡くなったのですが、入院するまでは本当にずっと夫婦生活があったんです。だから浮気の可能性を疑ったことすらありません」
――ラブラブな結婚生活だったわけですね。
「でも、逆に言えば35年間まったく外に出してもらえず、家にいるだけの生活だったんです。入院後も夫の強い希望により、日常のお世話はすべて私。看護師さんは点滴を取り替えるだけでしたね。若くしてお亡くなりに……とは言われますけど、やりきって終わった感じなので、夫との結婚生活に悔いはありません」
――未亡人となってから、生活は変わりましたか?
「一変しましたよ。家を出られなかったストレスの反動で、思いきり遊びに出るようになりました。夫の遺したお金、全部使っちゃいましたね(笑)。
そしたら、61歳の時に飲み歩いていた先で『スナックをやらないか』と話を持ち掛けられ、ド素人ができるわけない!と思いながらも、8年ほどママをやっていました。足を痛めてヒールが履けなくなったので辞めることにしたんですが、その後も息子の仕事を手伝いながら、5年ほど居酒屋を営んでいました」
81歳でセクシー女優デビューした驚きの経緯

「スナックにも通ってくれていた美容師の友達がいたのですが、デビューの話はその子から持ち掛けられたんです。『ママ、仕事しない?』って。実は彼女は撮影現場のヘアメイクもやっていたんですよ。でも、そこから3年以上ずっと断り続けていました」
――では、どういう経緯で出演することに?
「ある日、友達から『食事に行かない?』と誘われて、行ってみたら知らない男の人たちがいたんですよ。
――そこではどのような撮影が行われていたのですか?
「布団にお爺さんが寝ていて、40代の女優さんが介護をしながら……みたいな感じでした。それを5~6人のスタッフさんが真剣に見ている状況。それを目の当たりにして、私は『うわー!嫌だ!』ってその場から逃げちゃったんです(笑)」
――確かに、男性経験が旦那さんだけの未亡人には刺激が強すぎるかも。
「もう、本当に『ダメ、ダメ、ダメ!』ってなりました。ただ、その時にポロっと『あんなお爺さんとするなんて嫌!もっと若い子ならいいのに……』とこぼしちゃったんですよね。そしたら10日後にスタッフさんから『若い男が用意できました!来てください!』って」
――小笠原さんのひと言を聞き逃さなかったんですね。
「ハッキリ言って、連絡が来た時は頭にきましたよ。でも、きっとスタッフさんや男優さんを集めるのに労力もお金もかかっている。私がここでキャンセルしたら、誰にも良いことがない。それはなんだか気の毒だな~と思っちゃったんですよね」
――その考え方は、人が良すぎますって(笑)!
「私のダメなところです(笑)。当時は今のようにちゃんとした契約書とかはなかったし、しょうがないかな、という気持ちですね」
無意識で手が動いた
――初めての撮影のことは覚えていますか?「人生2人目のお相手のことですし、ちゃんと覚えていますよ。
でも混浴していたら、無意識で手が相手の下半身にいったんですよ。これって何十年も夫にしていたことなんです。体が覚えているんですね。お風呂って癖が出るんだなぁと感心しました(笑)」
――他にも撮影で印象に残ったエピソードがあれば教えてください。
「88歳の時に1本撮影をしているのですが、男優さんのアソコの毛がなくてツルツルだったことに驚きました!男優に限らず、最近の若い子ってみんな毛がないんですね。髭も体毛もないなんて、あんなの子どもと同じですよ!」
――小笠原さんは毛深い男性のほうがお好き、と(笑)。
「はい。夫も胸毛がしっかり生えてましたもん。やっぱり男は毛がないとダメですよ」
――今後も出演はされる予定はあるのでしょうか。
「正直に言ってわかりません。
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>