彼はなぜ、軽トラキャンピングカーで暮らしているのか。
人生初のDIYがキャンピングカー

はっしーはっぴーさんはそう語る。“25歳までに絶対売れる!”と信じて疑わなかったというが、現実は厳しく、そんな状況を打破するために始めたのが、軽トラをキャンピングカーに改造して住むことだった。
「ホームレスになるか事故物件に住むか、軽トラキャンピングカーに住むかの3択を考えて、その中でやっている芸人がいなかったのが、軽トラキャンピングカーに住むことでした。もう『これだ!』と思いましたね」

「DIYの一発目がキャンピングカーでした(笑)。でも一発目でよかったです。もし椅子とかを作った経験があれば、キャンピングカーを作るのがどれだけ大変かわかるから、やろうと思えなかったので。“やるしかない!”で乗り切りました。というか、もう家も解約しちゃったし、乗り切るしかなかったので」
1台目の軽トラキャンピングカーは実家に住みながら2ヶ月間かけて作った。製作費は色々な人の助けもあって、10万円ほどで済んだのだとか。
「純粋に楽しかったですね!誰もやったことがないから、ここから芸人としての人生変わるぞーって」
意識したのは取材・撮影での“取れ高”!

「バズるだろうなって思ったけど、全然でした。

「完全に素人が作ったゆえに、穴だらけでゴキブリとか虫が入ってきました。でも今住んでいる2台目のキャンピングカーはプロといっしょに作ったので完璧です。窓を開けっぱなしにしておく以外で虫が入ってくることはありません」
取材時には、2台目のキャンピングカーで都内某所の駐車場まで来てもらったが、圧巻のクオリティだった。まず壁が新築マンションのようだし、大きな窓に、折り畳めるテーブルに、収納兼椅子に……。そのうえ、屋上まであるのだ。
「今日みたいな取材のときに『まだ何かありますか?』って聞かれて、むしろ『もういいです!』と言わせるくらいに取れ高があるようにたくさん仕掛けを作りました。屋上ではテントを張って寝ることもできます!」
筆者同様、カメラマンも「これはすごい取れ高だ」と関心していた。
軽トラキャンピングカー生活のリアル
実際に軽トラキャンピングカーに住むのは、どれくらいの経費がかかるのだろうか?「まず駐車場が月極で1万5000円。電気代はソーラーパネルなのでかからないです。トイレは公園のを使わせてもらって、お風呂は区の格安ジムまで入りに行って、お水は専用ペットボトルを買えば無料で何回も水をもらえるスーパーがあるので」
また、「たまに無料で入れてくれる銭湯もある」と微笑む。
「野方にある銭湯『たからゆ』なんですが、芸人に優しいすごく気さくな店主で『もういいよ!』ってたまに無料にしてくれます。僕の『あでしゃ』の切り絵を貼ってくれたり、切り絵の個展を開催させてもらったこともあります」

「冷蔵庫はありませんが、クーラーBOXで野菜も納豆も1日は持ちますね。コンロがあるので野菜炒めを作ったり、後輩を呼んですき焼きパーティをしたこともあります」

「あとは僕、音楽が大好きなのでフェスに行く時は最高ですね! 近くの温泉に入ってすぐ寝れるので。他にも“軽トラキャンピングカーに住んでいる”って言うと、芸人の先輩にも『どういうこと?』ってすぐに覚えてもらえるから良いことだらけです」
「早く普通に暮らしたい」

「いやぁ、普通に暮らしたいですね。芸人仲間が『部屋が狭い』とか愚痴ってても、六畳一間でも家がいいじゃん!お風呂もついてるし!って思いますよ。この暮らしは楽しいけれど、1日で飽きますよ!飽きるけど住んでいるのは、とにかく売れたいから!早く売れて家に住みたい!」
売れるために始めた軽トラキャンピングカー生活だが、そもそも彼にとって“売れる” とはどういうことなのだろうか?
「うーん、なんですかね。メインでCMが決まったら『売れたなぁ』って思えるのかな。CMが決まったら、軽トラキャンピングカーから降ります」
果たして、はっしーはっぴーさんが軽トラキャンピングカーから降りる日はくるのだろうか……。
<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。