実は、歯も40代で老化が始まります。今回は歯科医師の私(野尻真里)がお口に生じる“隠れ老化”についてリスクと予防をお伝えします。
40代男性を襲う“隠れ老化”

生活習慣病の一つと言われている歯周病も40代からリスクが高まります。歯周病は歯周病菌の働きにより、歯を支えている周囲組織が溶けていく病気です。
オーラルケアができていないことだけが原因ではありません。睡眠時間やストレスなど、免疫力に関連する生活習慣や喫煙、他の生活習慣病を含む全身疾患に影響され、歯周病は発症・進行します。

40代男性が特に注意するべき“歯”の老化サイン

・歯が伸びた印象(歯茎が下がった)
・歯茎のムズムズ感
・お口の中のほとんどが被せ物や詰め物になっている
・口臭を感じる、家族に指摘される
・歯が浮いた感じがする
・冷たいものがよくしみるようになった
・歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい
・歯茎から嫌な臭いがするときがある
こうしたお口の変化はこのまま放置すると、歯周病の進行やむし歯などのトラブルに発展します。歯のぐらつきや歯並びの変化、抜歯に至るような歯の根元のむし歯にも繋がりかねません。歯の老化が進むことで、口臭や見た目にも影響し、対人関係に自信が持てなくなることもあります。
予防歯科で老化を食い止める!歯科医師が推奨する具体的なケア方法

大人の歯磨きポイントは、歯と歯茎の間、歯と歯の間など隙間汚れをどう取り除くかです。40代を過ぎると、歯茎が下がってきたり、被せ物と歯の隙間ができたりと、隙間の多い状態となっていきます。
歯ブラシは歯と歯茎の間に斜め45度で当てて、“歯茎まで磨くようなつもり”で磨くことで歯と歯茎の間の溝に毛先が届きます。

乱れがちな生活習慣を正すことも予防に
40代は働き盛りで多忙な毎日だと思いますが、糖に偏っている食生活や頻回な飲食はお口トラブルはもちろん生活習慣病全般に大きく影響します。また、喫煙は歯周病の最も大きなリスクとなるので、早めに禁煙をしましょう。歯に関係ないと思われがちなストレスや睡眠不足ですが、免疫力の低下に関与しており、歯周病の進行に加担してしまいます。食生活と合わせて、ストレスの解消法など心身ともに整えることを意識したいですね。
オーラルケアがもたらす“若見え”効果
健康的な歯と歯茎は、清潔感と若々しい印象を与えます。爽やかな口元と爽やかな笑顔は対人関係に自信を生み出し、コミュニケーション能力向上に繋がります。自己肯定感も上がるので、ビジネスやプライベートに良い影響を与えるのではないでしょうか。これから年齢を重ねていくとお口の疾患リスクも全身疾患のリスクも高まっていくものです。早い段階で予防を意識した生活習慣を見直すことで、健康寿命を延ばし、いつまでも自分らしく仕事ができるようにしましょう。
オーラルケアは自己流ではなく、歯科医院での定期検診とプロフェッショナルケアを受けながら方法を確認できると、清潔で健康なお口を維持できるので是非活用してみてくださいね。
<文/野尻真里>
【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。