今まさに大ブーム。インテリア界隈でIKEAのドーナツランプが猛威を振るっています。
YouTubeでもインスタでも同じです。「買わないと損する!」「今年買ってよかった!」「IKEAのおすすめ照明!」……たくさんのコンテンツで引っ張りだこ。様々な煽り文句で紹介されている商品です。
いえ、ただ単に話題になっているだけではありません。おしゃれなコーディネート実例でもルームツアーでも、誰もがこのドーナツをお部屋に置いています。
さすがIKEA!! 安くてオシャレな家具が勢ぞろい!! ドーナツランプは全人類が買うべき!!……本当にそうなのでしょうか?
結論から申しますと「正解な人」もいれば「不正解な人」もいます。ついでに言うと僕は不正解な人になります。どうしてそんなよくわからん答えになってしまうのか。実はこれには、インテリアの世界における一番大事な基礎ルールが関係しています。
IKEAのドーナツは照明じゃない

じゃあ、IKEAのドーナツランプはこのどちらなのか? 実はどちらでもないんです。光度が低くて部屋全体を明るくすることはできず、かといって光の指向性もないので狙った作業スペースを照らすこともできない。これでは照明としての活躍は期待できません。だけどなんとなくオシャレな見た目をしているので、ディスプレイに使うのは悪くない。
そう。IKEAのドーナツランプってオブジェ、調度品の一種として扱うものなんです。ようするにデコレーション要員であり、アートと同じ枠なんです。べつに機能に期待はしてないけれど、なんとなくステキな雰囲気にするために置く。私が好きだから置く。そういう性質を持っている商品です。
インテリアの考え方を知る必要がある
インテリアファンは、デコレーション用品を念入りに吟味します。お部屋の広さには限界があるので、なんでもかんでも気に入ったもの全部は置けないからです。好きなものを好きなだけ詰め込んだら、おしゃれな部屋ではなく、コレクター部屋になったり汚部屋になりかねません。僕は自分のブログやYouTubeでは、インテリアは「リラックスとプレッシャーの割合を『2:1』にする」というルールを提唱しています。小綺麗にスッキリさせた要素が2くらい、自分らしさを込めたデコレーション要素が1くらい。このバランスを意識すれば素敵なインテリアが作れますよという法則です。
お片付けを頑張ろうとか、ミニマリズムが大事だよとか、インテリア情報はとにかくお部屋をスッキリさせたがります。そんな指南が多いのは、そもそもお部屋にはスッキリ要素のほうがたくさん必要だからですね。
だけど、だからこそ、ディスプレイには慎重になります。必死でお部屋をスッキリさせて、やっとその半分だけデコレーションができるようになるからです。デコレーションはインテリアのお楽しみ部分であり、自分の個性を発揮できる重要なポイントでもあります。

自分のお部屋のメインディッシュとして、自分の個性を表現するデコレーションとして、心からIKEAのドーナツに惚れ込んだ人が購入するのはまったく問題ありません。
IKEAのドーナツを取り入れるべきかどうか
いちばん最初に正解な人もいれば不正解な人もいるという表現をしましたが、これはまさにこの意味です。全人類におすすめなのではなく、これをお部屋のメインディッシュにしたい人にはおすすめ、メインディッシュにしたいと思わない人にはおすすめしない、そういう話になるわけです。気楽におすすめ商品を買ってみる楽しさも決して否定しませんが、理屈が分かると別の見方も生まれてくるのがインテリアの面白いところです。しなくていい失敗を上手に避けられるかもしれません。
お部屋はスッキリだけでも寂しくて、デコレーションばかりでも雑多な印象になる。2:1のバランスでお部屋を整えるという考え方を、ぜひ実践してみてください。
【カジキ】
暮らし、住まいの世界を長年見てきた経験を元に、インテリアの法則を各コンテンツで言語化して発信中。YouTube「ゆっくりインテリア」、ブログ「様子のおかしいインテリア店」、Xアカウント@kajikissa