さまざまな人が乗り合わせる公共交通機関の車内では、お互いに配慮することが重要だ。しかし、身勝手な客のとんでもない言動を目にする機会も少なくないはず。

新幹線の車内をギスギスさせる迷惑家族

満員の新幹線で子供が「座りたい~!」迷惑家族に困惑…周囲の乗...の画像はこちら >>
 北原夏江さん(仮名)は年に2、3回、帰省のために新幹線を利用している。雪国では雪の影響で遅延や運休が発生することも珍しくないが、慣れている乗客は「また遅れてるね」と受け入れる雰囲気だという。

 しかし、北原さんが乗車した新幹線はダイヤ通りに発車したものの、運休した前の列車に乗れなかった親子連れが乗り込んできたことで車内の空気が一変した。

「その一家は、スマホに夢中の父親とギャルっぽい茶髪の母親、小学生くらいの兄弟2人で私の座席の隣に立っていました」

 車内では静かに過ごすのがマナーだが、立っている子どもたちは大騒ぎした。

「兄弟は終始『つ~か~れ~た~! 座りたい~!』とうるさく、他のお客さんの座席のひじ掛け部分に座ったり床に座り込んだりやりたい放題でした」

 さらに困ったことに、母親までもが周囲の乗客に対して不満をアピールした。

「母親が座っている人たちをチラチラ見ながら『普通は子どもを座らせるよねぇ?』と言い始めて。父親は我関せずといった感じで、ずっとスマホでゲームをしていました」

 北原さんは手術を受けたばかりで、長時間立っているのがツラい状況だった。

「みんな長旅で疲れているし、私も席を譲りたくなくて……。それに、座っている人はそもそも指定席代を払っているので」

 車内には他にも子連れの乗客がいたが、多くは静かに過ごしていたという。

「他にも子連れの方は乗っていましたが、大体みなさん静かにしていましたよ。たまに赤ちゃんが泣いたり幼い子がぐずったりといったことはありましたが、そのたびに親があやしたり静かにさせようとしているのが分かるので、嫌な気分にはなりませんでした」

「ほらあそこ空くよ!」と席が空くたびに周囲を牽制

 問題の家族の騒動はそれだけでは終わらなかった。子どもたちはさらにヒートアップ。周囲への配慮はまったく見られなかった。

「その後、兄弟はイヤホンもせずYouTubeを観たりゲームをしたりと大迷惑でした。
父親はその間やはり注意もせず、自分だけイヤホンをして騒音をシャットアウト。母親は座れないことへの不満を垂れ流し続けていました」

 また、車内で席が空くたびに、母親は露骨に席を確保しようとアピールを続けた。

「途中の駅で降りる人を見つけるたびに母親は『あ! ほらあそこ空くよ! よかったね!』と、他の人は座るなアピールをしていました。ただ、立っている場所からは遠く、もちろんすぐそばの人に取られていましたが」

 父親もスマホから顔を上げ、座るチャンスを狙っていたという。だが……。

「一家のいる位置から数列前の席がようやく空いた時も『やっと座れるじゃ~ん! よかった!』と周囲にアピールしていましたが、近くに立っていたおばあさんが何も聞こえなかったかのように座ったので内心スカッとしましたね(笑)」

「コロコロに次亜塩素酸、さらにアルコール消毒…」

満員の新幹線で子供が「座りたい~!」迷惑家族に困惑…周囲の乗客が内心“スカッ”としたおばあさんの行動
新幹線
 コロナ禍におけるウイルスの恐怖から過剰に感染対策を気にするようになってしまった人もいるだろう。

「“清潔の基準”って、他人から見るとかなり不思議なんだなと思いました」

 守金咲希さん(仮名)は、東京から地方へ向かう新幹線の車内で、“奇妙な光景”を目撃したと話す。彼女の座っていた席の斜め前、通路側に座る乗客が不審な動きを始めたのだ。

「バッグから小さなコロコロローラーを取り出して、座席の上から下まで掃除し始めたんです。新幹線の中でコロコロを使う人なんて初めて見ました」

 その乗客は座席を丹念に掃除しながら、「え? 嘘? こんなに?」とつぶやいていたという。窓際に座っていた隣席の乗客も、怪訝な目で見ていた。

 コロコロでの掃除が終わると、次は次亜塩素酸ナトリウムと思われる消毒液を席にシュッシュッとスプレー。だが、隣の乗客にも消毒液が飛んでしまったようだ。


「あ、もしかしてかかってしまいましたか? すみません」

 そう謝りながらも、今度はアルコール消毒液を座席にかけ始めた。

「次亜塩素酸をかけたのに、さらにアルコール消毒もするなんて、かなりの潔癖症なんだろうなと思いました」

「そちらの机も拭きましょうか?」周囲の乗客は困惑

 さらにテーブルを出してアルコール消毒し、ウェットティッシュで拭き始めると、隣席の乗客にも「そちらの机も拭きましょうか?」と声をかけた。

「ありがとうございます。大丈夫です」

 そう断られたにもかかわらず、「机汚いですよ。拭かせてください」と言い、強引に隣席のテーブルも拭き始めたという。隣席の乗客は引きつった表情ながらも、「きれいにしていただいてありがとうございます」と礼を言っていたそうだ。

「でも、その後の行動は意外でした。ビニール袋から飲み物とランチパックを取り出して食べ始めたのですが、食べかけのパンを、パンが入っていた袋の上に置いたんです。こんなに潔癖なのに、誰が触ったかわからない袋の上にパンを置くのはいいのかと驚きましたね……」

<取材・文/日刊SPA!取材班>
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