新日本プロレス社長・棚橋弘至のビジネス奮闘記
新日本プロレスにウルフ アロンが入団しました。言わずと知れた、’21年に開催された東京オリンピックの男子柔道100㎏級の金メダリスト。レスリングフリースタイル100㎏級で1992年のバルセロナオリンピックに出場した中西学選手など、新日本プロレスの歴史のなかで、オリンピック選手はいましたが、金メダリストとなると彼が初めてとなります。
彼がプロレスのどこに魅力を感じ、どうなっていきたいか? それは、これから彼の姿やコメントでわかっていくでしょう。
僕が新日本プロレス社長に就任した’23年12月から、はや1年半以上が過ぎました。タイミングとしては、コロナ禍の規制が緩まり、「さぁここから」という状況でしたが、相次ぐ主力選手の離脱等もあり少しばかり暗いニュースが続いていました。
そんな中で、ウルフ アロンの新日本プロレス入団は、久しぶりの明るいニュース。入団記者会見に僕も社長として出席しましたが、今まで経験したことのない報道陣の数でした。
これだけのメディアを前に、ウルフ アロンは何を語るのか横で聞いていましたが、その内容はプロレスラーを目指した動機や、ビジョンがしっかりと語られていて頼もしく思いました。

さて、デビュー戦はもう決まっており、来年’26年1月4日の東京ドーム大会。注目度や期待の大きさがわかります。そして、このドーム大会は、皆様ご存じの通り僕の引退試合もあります。
ウルフ アロンがデビューする日に、棚橋弘至は引退。まさに、人間交差点。
昔、武藤敬司さんが「プロレスはゴールのないマラソン」とおっしゃっていました。確かに、チャンピオンになったからといって、闘いは続いていくし、その通りなのかもしれません。
ですが、もう半年後にゴールが来てしまっている!? ゴールあるじゃん!と、今の僕からすれば思わずにはいられないわけです。
まぁ、僕のことはさておき、ウルフ アロンには、日本全国を巡業で回り、会場を盛り上げ、その土地土地のプロレスファンの皆さんに喜んでもらえるプロレスラーを目指してほしい。
「ファンの方の喜びを力に変える」
僕がプロレスラー人生で、学んだ一つがこれです。
ウルフ アロン。期待してるよ。プロレスは自由なことの多い世界だから、伸び伸びと闘い、大きく羽ばたいていってほしい。
あと、今130㎏あるみたいだから、僕と一緒に、ちょっと痩せようか(笑)。
今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~
巡業で各地のファンに喜んでもらい、そして、喜びを力に変えられる選手に<文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>
―[トップロープより愛をこめて]―
【棚橋弘至】
1976年生まれ。