天下一品とは、1971年に京都で創業した、鶏がらベースのドロドロとしたこってりスープで人気のラーメンチェーン。都内のターミナル駅にはだいたい進出していたが、渋谷店、新宿西口店、池袋西口店、田町店、目黒店、吉祥寺店、蒲田店、川崎店、大船店、大宮東口店の10店舗が閉店した。
ラーメン好きではないものの、“天一”は別格

なぜなら、この日にラーメンを注文すれば、次回使えるラーメン並盛りの無料クーポン券がもらえるからだ。
というか、筆者はラーメンが特別好きというわけではない。サービスエリアでラーメン、そば、うどんの中から選ぶとすれば、うどんかそば(冷)を頼む。おそらく、九州というとんこつラーメンゾーンで育ってきたため、しょうゆや味噌をラーメンとして認識できないのだ。
しかし、天下一品のポタージュのようなスープは別格。この重厚感こそ、ラーメンに求めているものである。
いざ、閉店直前の吉祥寺店へ
確かに、2024年に歌舞伎町店が突如閉店したとき、違和感を覚えるべきだった。中学生のときに『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「天下一品芸人」を見て以来、虜になったラーメン屋が、いとも簡単になくなったのだから。まぁ、ひとりの消費者が何かできたわけではないが……。とはいっても、もし定期的に2000円分食べていたら、どうなっていただろうか? 吉祥寺店が閉店する数日前に食べに行った。
まず、チェーン店ではあるが注意してほしいのは、天下一品はフランチャイズであるという点だ。店によってメニューが異なる。筆者が訪れた吉祥寺店には、唐揚げと餃子がなかった。
もっとも筆者には決まった頼み方がある。それが、こってりの大(1130円)、チャーハンの大(750円)、キムチ(180円)である。合計2060円。
「屋台の味」の物足りなさが覚えているからこそ…

そのため、こってり以外は注文できなくなったのだが、ラーメン単体でドロドロスープを飲み干すのは至難の業……。
「スープは残してもいいだろ」
話はそれるが、この記事に対してきっと上記のようなコメントが付くだろう。だが、そいつは素人だ。
どうやってスープを飲み干すべきか
なにはともあれ、ドロドロスープを飲み干すためには「チェイサー」が必要だ。それが、チャーハンである。多くの店で推奨されているのは、こってりラーメンとライスの組み合わせである。そういうセットもあるし、なんだったらたくあんもついてくる。いわゆるラーメンライスは美味しいのだが、筆者は天下一品のこってりスープには白米よりチャーハンのほうが合うと思っている。
それぞれを個別に食べるのではなく、ラーメンをすすり、チャーハンをレンゲですくってスープに浸して食べるのだ。これが抜群に美味しいのである。
「こってりスープに浸して食べるなら白米でいいだろ」
そうではない。チャーハンでなければならないのだ。というのも、水分量の多い白米よりも、パラパラのチャーハンのほうがスープとよく絡む。
つまり、麺だけでなくチャーハンを追加することで、こってりスープを二度楽しめるというわけである。なお、「チャーハン定食」もあるが、それぞれを大で注文したいので、それは5年ほど前に卒業した。
その結果、チャーハンを頼むとスープが付いてくるようになった。これはこってりだけでなく、「あっさり」に変更することもできる。
「味変」に欠かせないキムチ。必ず注文する

実は付け合わせのスープはこってりとはいえ、ラーメンのこってりスープとは異なり、少しあっさり目なのだ。これも本当だ。信じてほしい。その微妙な味の変化を楽しむのも面白い。
そして、「味変」に欠かせないのがキムチである。まさか、こってりスープと酸っぱ辛いキムチが合うとは思わなかったが、京都の本店で試したところ非常に美味しく、それ以降は必ず注文している。
残念なことに天下一品吉祥寺店はなくなったが、中野や立川に行けば、まだ店舗はある。だから、悲しむことはない。いつでも、天下一品のこってりスープは食べられるのだ。
そんなことを思いながら、食後に吉祥寺オデヲンで映画『国宝』を観た。糖尿病が恐ろしくなった。
【今回の摂取カロリー:1534kcal】
<TEXT/千駄木雄大>
【千駄木雄大】
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