―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

2025年の参院選でも大票田となった氷河期世代。就職難に非正規雇用、低年収に大増税時代で手取りは減り、これから待ち受けるのは親の介護と老後破綻。
そんな不遇で苦しい人生を生きる氷河期世代とともに、ひろゆきが人生後半を考える。
今回は「40代以降で身に着けるべきスキルは?」について論じていく。リスキリングなどの言葉が流行っているが、40代以降で学び直しても給料も評価も上がらないという。その真意をひろゆき氏が説く。(以下、ひろゆき氏の寄稿)

「40代以降はスキルも要領のよさも磨くだけムダ」とひろゆきが...の画像はこちら >>
「頭がいい」という言葉は、いろいろな意味に使える便利な表現なのですが、そのぶん誤解を生みやすい面もあります。たとえば、記憶力がいい人を「頭がいい」と言ったりしますが、社会に出ると記憶力はそこまで重要ではなかったりします。むしろ、過去の情報が更新されずに記憶として定着しているのはよくないこともある。

 情報というのは常にアップデートされるので、検索とかで情報を頻繁にチェックしている人のほうが、正確な情報を掴んで適切な行動を取ることができるからです。

 テストでよい点を取る「頭がいい」も、テストや試験の際には資料の持ち込みができず頭の中にある情報だけで解答をするので、ほぼ記憶力のみを指します。でも、社会人になると、記憶力がいい人よりも要領がいい人のほうが結果を出せる場合も多いです。

 ネットで調べたり、知り合いに聞いたり、文献を調べたり……。頭の中だけで処理するよりも“外部ツール”に頼ったほうが、最新の情報や効率のいいやり方がわかるし、ミスも起こりにくい。
学校のテストのように50分以内に結果を出す必要もないので、2~3日の間に調べて答えを出すとかでも十分なんですよね。

 もっと言ってしまえば、自分でやるより専門家に頼んできちんと結果を出すほうが重要です。会社のレイアウトを変えるのに、自分ひとりでやるより内装業者に頼んだほうが綺麗で早いのは当然だし、法的なことを扱うなら素人が生半可に法律を調べるより、弁護士に頼んだほうが確実。

 つまり、社会人になって結果を出すには、子どもの頃に言われてきた「頭がいい」とは違う頭のよさが必要になる。だから勉強ができる人が社会人になって大した結果を出せない状況が出てくるし、逆に幼少時は頭がよくないと言われていた人でも、要領がよければ結果が出せたりします。

40代以降になると、別の「頭のよさ」が必要

 ただ、こういった要領のよさやスキルを磨いて給料と評価が上がるのは40代まで。それ以降は、また別の「頭のよさ」が必要になってきます。

 例えば、50代になって英語が喋れるようになったとしても、20代で英語が喋れる人がいたら、そちらを雇用したほうが組織にとってはメリットがあります。「プログラムを書けます」とかも、50代より20代のプログラマーのほうが体力も伸びしろもあります。

 つまり、氷河期世代は個人のスキルや要領のよさを磨いたとしても、若手と競う前にすでに負けている状態なのです。そもそも新しいことを覚える能力は、20代と比べると明らかに衰えていたりもするので、同レベルのことをやっても敵いません。氷河期世代が若い頃から言われているような「頭がいい」ということや、今さらスキルを磨こうとするのは、よっぽどハイレベルでもない限り無駄なわけです。
それが組織に属しているならなおさら。

 個人が成果を出すことで給料と評価が上がるのは40代までという現実があって、それ以降の年代、つまり氷河期世代は「組織を率いる能力」が求められるようになるのです。

構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)

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【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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