結成15周年イヤーに突入しているNMB48。2025年は「大阪から世界へ」をコンセプトに、大阪・関西万博のスペシャルサポーターにも就任。
アイドルの魅力を世界に発信している。そんな勢いに乗るNMB48が、今年の夏はNMB48劇場を飛び出して、大阪(7月24日・25日、Zepp Osaka Bayside)と東京(8月31日、LINE CUBE SHIBUYA)で特別コンサートを開催。
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 2018年、ドラフト3期生としてNMB48に加入。現在は作家としても活動しながら、グループを牽引するメンバーの一人・安部若菜。今回の特別公演の魅力とともに、長年在籍しているからこそ感じるNMB48の変化や課題を話してもらった。

――2025年に入って、エースとして活躍していた上西怜さんの卒業コンサートや、2代目キャプテン・小嶋花梨さんの卒業発表など、グループがすごいスピードで変化していっていますね。

安部若菜(以下、安部):そうですね。この半年でより一層。先輩があと2人という状況で、グループの中での自分の立ち位置が日に日に変わっていくなと感じてます。

――その変化に気持ちは追いついていますか。

安部:まだ実感がなくて、先輩が卒業されるにつれて、次は自分たちがやらないとっていう気持ちもありますけど、まだ入った頃の気持ちが抜けてきってないというか。新鮮な気持ちもありつつ、責任感が段々と大きくなってきているので。
自分のなかではまだ戸惑いがありますね。

――グループでも安部さんがまとめ役を担う場面も多くなったと思います。

安部:前のチームのときには副キャプテンをしていて、そのときに自分が意見を出したり引っ張っていく側のことをしないといけなくなったときに、立場が人を作るじゃないですけど、そこで意識が変わったのは大きかったです。今、役職はないんですけど、後輩を積極的にごはんに誘ったりとか、チーム全体でごはんを食べる計画を私が企画したりとか、後輩たちとの交流は積極的に増やすようにしてます。

――ちなみに、お会計はどうなる?

安部:後輩と2人だけだったら私が出しますけど、8人とかなになったらマネージャーさんとかを連れていって(笑)

――そこは印税でバンと!

安部:そこまではまだ(笑)。

――ドラフト3期生は何人残っています?

安部:今は4人なんですけど、8月に山本望叶が卒業するので3人になりますね。

――同期でNMB48の今後の話はするんですか。

安部:4人でごはんに行く機会は増えて、その場ではNMB48の話ばっかりしている気がします。最初は不安も大きいので、それぞれが後ろ向きな会話になる日もあるんですけど、最終的には自分たちが引っ張っていかないといけないっていう話だったり、後輩と前向きな空気を作っていけたらいいねっていう話に着地することが多いですね。

――卒業したメンバーに相談することも?

安部:卒業してもライブを観に来てくれる先輩も結構いるんですよ。渋谷凪咲さんは今年3月のライブに来てくださったり、来れないときは配信で毎回見てくださっていて。そのたびに感想を送ってきてもらったりするので、ライブに関しての改善点とか、よかったところはアドバイスもらうことはありますね。
外に出たからこそ見える部分があるみたいなので。

――具体的には?

安部:個々のメンバーの話にはなるんですけど、一緒にステージ立っていた頃はダンスがうまいと思っていたメンバーでも、お客さんとして見て見たら違う魅力があるっていうような。私たちはこういう想いで、このセットリストにしましたっていうのは聞いてるけど、お客さんはそれを知らずに見るわけじゃないですか。何も知らない状態で見るから、「あそこは少しわかりにくかった」とか「ダンスパートはよかったよ」とか。それをほかのメンバーやスタッフさんとかにも伝えて、「ここはこういう風にできたらいいかもしれないです」というように話し合ったりもしますね。ほかにも後輩から言われたことをスタッフさん伝えるようなことも増えてきた気がします。

グループ全体の空気は変わっている

NMB48の進化を見届ける安部若菜。変化するグループの挑戦と未来
安部若菜
――NMB48は体育会のイメージがあるんですけど、時代の価値観や育った環境などが違う後輩に戸惑うことはないですか。

安部:確かにグループ全体の空気は、私が加入した頃とはだいぶ変わったと思います。加入した頃は体育会系な空気があったんですけど、今は体育会系より文化系のチームになっている気がして。うまく主張できないメンバーをどう引き出せるかというのは考えてますね。逆に中学生のメンバーから、「そこの振り付け違いますよ」って指摘されたりもしますけど(笑)

――安部さんは大卒ということで、後輩たちの勉強を見てあげたりも?

安部:ありますね。楽屋で宿題をやっていたりするので。あと進路の相談に乗ることも結構あって、「大学に行こうと思っているんです」っていうメンバーが増えている気がします。
NMB48に在籍しながら大学を卒業したのが私ぐらいなので、そういう両立面での相談は受けますね。

――どう答えるんですか。

安部:「アイドルと学業、どっちを優先したいの?」っていうことは何度も聞くようにしてますね。私もそうだったんですけど、大学に通い始めたらNMBでの活動が一歩遅れてしまう部分があって悩んだことがあったので。大学に通うのは今じゃなくてもできるから、進路を選ぶときにどっちを優先したら後悔ないのかを自分で考えてもらうようにしてます。

――安部さんは5年かけて今年卒業されましたが、振り返るとどうでしたか。

安部:私の大学に入った理由が前向きではなかったというか、NMB48を辞めようと思って、その次の進路として大学進学したので。実際は1年生から2年生にかけて両立がしんどくて「大学に行かへんかったらよかった」と思うこともあったんです。だけど、大学の経済学部で学んだことを活かせるお仕事をいただけたりとか、そういうときに行ってよかったなと思います。あと小説を書いたりもしているので、イメージ的にも大卒っていうのは良いですし(笑)。今後も役立つときは増えてくるのかなと思ってます。

――アイドルと学業を両立できた安部さんの話は後輩メンバーにとっては貴重ですね。


安部:今は大学に通いながらアイドルをやっているメンバーは増えたんですけど、私が大学に行くと決めたときはほぼいなかったので。自分の経験が活かせるところがあるなら、存分に伝えていきたいです。

NMB48の進化を見届ける安部若菜。変化するグループの挑戦と未来
安部若菜
――そして、夏の特別コンサートがあるということで、テーマから聞かせてください。

安部:今回メインとなるのが、「天使のユートピア公演」と「ここにだって天使はいる公演」。NMB48劇場で行っていた公演をライブバージョンで披露します。「天使のユートピア公演」は、2024年に始まった10年半ぶりとなるオリジナルの公演で、「ここにだって天使はいる公演」は2013年に初めてNMB48がいただいたオリジナル公演です。これまでのNMB48と今のNMB48が楽しめるのが魅力ですね。

――「ここにだって天使はいる公演」は若手メンバーで構成されていますが、新しいアイデアが出てきた部分はある?

安部:8期生以下、加入して4年目ぐらいのメンバーで構成されているんですけど、その公演を坂下真心ちゃんがリーダーになって引っ張っていて、後輩にアンケートとりながら、意見をまとめて公演を作り上げている。それはすごく頼もしいし、成長を感じる部分ではありますね。

――NMB48といえばお笑い要素も欠かせない部分ですが、大人しいメンバーは増えてくると影響はありませんか。

安部:面白いことがしたいっていうのは、今も変わらずにやってますね。ステージで組体操をしたいって若手が提案してきたりもしますし(笑)。
MCでウケなかったことをなによりも悔しがるメンバーも多いので、そのNMB48イズムは脈々と受け継がれています。今も芸人さんと歌を1曲も歌わないコーナーメインの公演もやっていて、公演終わりに芸人さんと一緒に反省会をしてますからね。そこまでストイックにやってる48グループは他にないと思いますよ(笑)

――大阪・関西万博のスペシャルサポーターも務められていますが、万博からNMB48の公演に遊びに来てくれる外国の方もいるんですか?

安部:いますね。公演をしていても海外ファンの方も増えているんですよ。海外の人からすると、ライブを座って観るっていうのが珍しいみたいで。最初は緊張した感じで座って観てるんですけど、途中から乗ってくれている姿を見ると、日本のアイドル文化に国境はないんだなと嬉しくなります。とくにアイドルらしい可愛い曲のウケが良くて、ふりふりの衣装にもハマってくれる人は多いですね。

ハングリー精神を忘れずに

NMB48の進化を見届ける安部若菜。変化するグループの挑戦と未来
安部若菜
――節目の年にNMB48の掲げている目標を教えてください

安部:15周年を迎える年ですけど、卒業するメンバーも多くて、ファンの方も重たい気持ちを抱えてる方も多いのかなというのは肌で感じているので、今後は前向きで明るい気持ちを発信していきたいです。これからはNMB48の第二章だとよくいわれたりしますが、新たなNMB48を見つけれたらなと思っています。

――安部さんは1期生の山本彩さんの卒業コンサート「SAYAKA SONIC」に参加されていて、ああいう大きな会場でライブをやっていた過去と比べたりしないものですか?

安部:NMB48に入って最初のコンサートが、グループ史上最大の規模(3万人集客)だったので。それが当たり前じゃなかったんだなっていうのは思いますし、周年ライブでも大阪城ホールに立てなくなったという厳しい現実もあるので、悔しさはあります。そこまで先輩たちに連れていってもらったわけで、自分が先輩として連れていかないといけない立場になっているのに、できていない不甲斐なさも感じています。


――今のNMB48の面白さをどう捉えていますか。

安部:いろんな波があるなかで、新しく作っていこうという転換点でもあります。魅力的なメンバーが急成長する姿を追える楽しさを感じてもらえるところだと思います。

――NMB48の未来として、現在11期生のオーディション中ですが、安部さん的にどんな子に入ってきてほしいですか?

安部:ハングリー精神が溢れる子がいいです。今のメンバーはアイドルになりたくて入ってきた子が多いんですけど、違うエッセンスとして「絶対に芸能界でのし上がってやります」とか「NMB48は売れるための踏み台としか思ってません」ぐらいの勢いがあるほうが面白い。そういう子が入ったら、他のメンバーも刺激になって、競争心が芽生えてくれるんじゃないかなって思います。目標に向かってがむしゃらに汗をかける子が、NMB48の新しい風を吹かせてくれるんじゃないかと期待してます。

取材・文/吉岡 俊 撮影/山田耕司(本誌)
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