アンティークコイン投資の3つの強み
「 “守りの資産”としてアンティークコイン投資を始めるのがおすすめです」と教えてくれたのは、株式投資スクールで講師を務める松本侑氏。松本氏は1000万円を元本に7年前からアンティークコイン投資を行い、資産を2500万円に増やしたという。――アンティークコイン投資をおすすめする理由は?
松本 理由は3つあります。1つ目は今回のトランプ関税ショックや、リーマンショックのような金融・経済危機、そこから生じる景気後退の影響を受けないという強みです。金ですら関税発動の影響で一時的に下落しましたが、アンティークコインは大丈夫でした。
2つ目はアンティークコインが被中央集権の資産であることです。現金は銀行、投資信託や株式、債権といった有価証券は証券会社に預けて管理されていて、可能性は限りなく低いですが、銀行や証券会社が破綻してしまうと没収されてしまうかもしれません。万が一に備えて、国に管理されていない被中央集権の資産を持っておいたほうが安全です。
そして3つ目は、金や銀を持つよりもキャピタルゲインを狙える可能性があるという点です。たとえば、交通事故で急逝したダイアナ妃を追悼するために1999年にイギリスで7500枚だけ発行された“ダイアナ妃追悼記念硬貨 5ポンド金貨”は、希少金貨として高い人気を誇ります。発行当時は20万円でしたが、現在は400万円ほどで取引されています。
アンティークコインの資産は3つの要素で決まる
――古い金貨や銀貨ならアンティークコインとして価値があるのでしょうか?松本 そもそもアンティークコインは、100年前に製造されたコインのことを言います。ですので、先ほど例に挙げた“ダイアナ妃追悼記念硬貨 5ポンド金貨”は厳密にはアンティークコインではなく、モダンコインに分類されます。
そのうえで資産価値のお話をすると、大前提として、すべてのアンティークコインに資産価値があるわけではありません。3つの要素をすべて満たしたときに資産価値が生まれます。
――資産価値に影響する3つの要素とは?
松本 人気、品質、希少性です。コインは多くの国で発行されていますが、とくに人気が高いのはイギリスの金貨。デザインが緻密できれいなものが多く、1839年に発行されたウラとライオンの金貨は最も美しいコインとして知られていて、1億6000万円で落札されたこともあります。
ただし、人気と希少性のあるコインでも、品質が低い資産価値は大きく下がります。まったく同じコインなのに、品質が違うだけで価値が10倍変わるなんてこともさらにあるんですよ。
――では、品質はどのように決まるのですか?
松本 アンティークコインの品質は、NGCやPCGSといった主要な鑑定機関がチェックし、コインの状態を1から70の数値で評価します。数値が高いほど、コインの状態がいいというわけです。
初心者におすすめのアンティークコイン

松本 やはり人気の高い、1800年以降に発行されたイギリスの金貨がいいと思います。イギリスの金貨はアンティークコインの王道で、いわばS&P500のようなもの。世界中にコレクターが多くいて、頻繁に売買されています。
――アンティークコイン投資を始めるときに必要な元本は?
松本 10万~20万円程度からでも始められます。イギリスの金貨は、 1/2ポンド、1ポンド、2ポンド 、5ポンドのサイズがありますが、1/2ポンドや1ポンドの金貨は、品質のいいものでも10万円や20万円で購入できるので。
――アンティークコインを購入するときに注意すべきポイントはありますか?
松本 アンティークコインを購入できるのは、おもにコインショップ、即売会、オークションになります。コインショップと即売会ではディーラーから購入することになりますが、相手の口車に乗ってはいけません。より多くの利益を出すために法外な額を要求される可能性もあるので、アンティークコインの市場価格を調べたうえで、購入するかどうかを決めたほうが安全です。
また、裸のコインも怪しんだほうがいい。鑑定機関が評価したコインは、スラブケース(※コイン鑑定機関が鑑定したコインを封入する硬質プラスチック製のケース)に入っています。ケースに入っていないということは、鑑定がされておらず、偽物である可能性が十分にあるということ。たとえ本物であっても、品質が低くてダメだったりするので、避けたほうがいい。
子孫に受け継ぐ資産としての魅力も
――ほかに注意すべきポイントは?松本 世界的な人気の高まりから、品質の高いアンティークコインはどんどん市場に出回らなくなっていますし、表に出てきたとしても以前よりも高値になっています。アンティークコイン投資に興味のある方は早めの購入をおすすめします。
子どもや孫に残す資産として購入する人も少なくありません。
【黒田知道】