物価高で値上げを余儀なくされた結果、今やひとりあたりの単価は1200円になったという。それでもカレーチェーンといえば、ココイチしか思い浮かばないくらいには、我々の生活に浸透している。
「何もせずに2000円」はいかない
人気の理由は、辛さやトッピングをカスタマイズできる点だろう。「カレーライス」といえばじゃがいも、にんじん、玉ねぎが定番だが、ココイチではあさり、ツナ、いか、タルタルソースなど、家庭では真似できないようなトッピングができる。チェーン店でありながら、実はみんなが同じメニューを食べているわけではないのだ。トッピングの豊富さゆえか、この連載を始めて以降、読者から「ココイチだったら何もせずに2000円いきますよ」と言われたが、そんなことはない。カレー一杯に2000円もかけることは難しい。外食に毎回2000円くらいカネをかけているから筆者だからこそ、“2000円の壁”というものを理解しているのだ。
というわけで今回は、「高くなりがち」というイメージのあるココイチで実際に2000円使って、「満腹になれる」トッピングを紹介していきたい。
カレーに金を払うのに抵抗を感じるワケ

ナンで食べるインドカレーならともかく、バイキングなどでカレーを食べる人を見ると、つい呆れてしまう。個室ビデオの宝島24ですら、そこそこのカレーを提供している。
それに、筆者の母は料理上手で、子どもに出せば無条件で喜ばれるカレーを、中学生の頃には『ためしてガッテン』(NHK)のホテル風カレーで一段進化させてしまっていた。幸か不幸か、「おふくろの味」というか、「カレーのシンギュラリティ」が発生してしまい、並のカレーでは満足できない体になってしまった。
そんな筆者のトッピングはシンプル。豚しゃぶカレー(982円)をベースに、1辛(25円)、追加ソース(167円)、チーズ(264円)、なす3個(90円)、半熟タマゴ(120円)。追加ソースはルーを多めにしてもらうことなので、実質、追加トッピングは3種類である。それを500グラム、つまり3合の米(260円)にかけて食べる。これで1908円だ。
米が500グラムだと皿が違う?

まず、チーズは必須。まろやかになるとか、味がどうこうというのは正直よくわかってない。ただ、スプーンを引き上げたときに、溶けたチーズが糸を引くと、「外食している」気分になる。
子どもの頃にチーズの乗った「焼きカレー」というものを知り、母に「カレーにチーズをかけてほしい」と懇願したところ、父に「デブがよぉ」と蔑まれた。ただ、確かにカレーとチーズの組み合わせは抜群だった。
心ない言葉をかけられながらも、カレーにチーズがかかっていると美味いということを知れたのだから、何事も言ってみるものである。まぁ、その分、実際に太ったので、代償というものもある。悲しい。
「たった167円」の追加ルーのおかげで…

なすは3個と、決して多くはないが、無意識にスプーンですくって口にしたとき、「やった! 当たりだ」という食感を味わえる。あと、安い。
そして、追加のルーというのが肝心だ。たった167円課金することで、「ルーが足りなくなって、最後は白米だけで食べる」という問題を解決することができる。
これだけ頼んで2000円。摂取カロリーは…

そういえば、7月22日に亡くなった「ヘヴィメタルのプリンス」ことオジー・オズボーンは、昔読んだ「rockin’on」(ロッキング・オン)によると、日本のチキンカレーが大好物だったらしい。
コロナ禍前には、イギリスでもココイチが人気というニュースが話題になった。実はココイチは、さらにポテンシャルを秘めているのではないか? いつの日か、世界中で日本風のカレーが浸透した暁には、筆者の食べ方を伝授したいものだ。
そうすれば、かつて「デブがよぉ」と蔑んだ父も、認めてくれるだろうか。
【今回の摂取カロリー:2949kcal】
<TEXT/千駄木雄大>
【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。