マーケティング会社「刀」のCEO・森岡毅氏が仕かける「ジャングリア沖縄」が7月25日に開業した。森岡氏は開業前夜のセレモニーで「構想14年を超える『ジャングリア沖縄』の事業を変化の起点として、日本の次世代の食い扶持である観光産業を活性化していく」と強い想いを語るとおり、地元企業も多額の出資をするなどオープン前から注目されたが、批判的なSNS投稿やGoogleの口コミが大量に削除される騒動も勃発。
同施設は「口コミ削除には関与していない」と声明を発表しているが、元放送作家・鈴木おさむ氏は、賛否の声が上がること自体が関心の表れと、持論を展開する(以下、鈴木氏による寄稿)。
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炎上すら計算だった!?SNSが果たした役割

’25年夏、沖縄北部に誕生した「ジャングリア沖縄」。この新たなテーマパークを仕かけているのが森岡毅さんだ。1972年生まれの52歳で私と同じ年の生まれなのに、700億円もの資金調達を行い、実現に至ったことがまず凄い。森岡さんと言えば、USJをV字回復させた立役者としても知られている。だから期待度も自然と上がる。

開業前から話題性は十分だったものの、オープン直後、ネットでは猛暑並みの熱を帯びた意見が入り交じった。Googleマップの口コミが突如激減、「運営が低評価を削除したのでは?」という疑念がSNSで広まり、ちょっとした炎上騒動となったのだ。実際に訪れた人からは「最高に楽しかった」「自然を生かした没入感がすごい」といった肯定的な声も多い。子どもが全力で遊べる自然型アトラクション、大人がスマホを置いて本気で泥にまみれる場所。そんな体験を称賛する声は確かにある。一方、「イメージと違う」「雨の日は行き場がなくてしんどい」「スタッフが足りない」「アクセスが不便」など厳しい意見もかなり目立った。

森岡毅さんの手腕に期待してしまう

だが、驚きも怒りも笑いもすべてがネットに拡散され、そこにメディアも飛びついた。
賛否の声が同時に立ち上がることで、情報の熱量は何倍にも膨れ上がっていった。この1週間で人と会うとジャングリアの話題になることが多い。現時点では、正直、ネガティブな意見が目立つのだが、結局のところ肯定も否定も、「ねえ、知ってる?」という話題に変換され、口コミはSNSやニュース記事に形を変えて拡散されていく。間違いなく日本国内でのジャングリアの認知度は上がった。これはもはや、従来の広告よりも強力な宣伝装置だ。みんなが「良いか悪いか」を語るうちに、気づけば“誰もが名前を知っている施設”になっていた。炎上もまた一種の関心の表れ。忘れられることが最も恐ろしいこの時代において、ジャングリアは記憶に強く刻まれた。

ただ、もしかしたら、この“騒動”こそ最大のプロモーションだったのではないかと私は思う。森岡さんの作戦にまんまとハメられているんじゃないか?? 批判を受けながらも人々が集まりSNSでは再評価の声も上がる。そして一つ確かなのは、この騒動がなければ私は今ここでジャングリアの名をエッセイに書いてなどいないということだ。

そしてすべてはここから。
やはり森岡さんが手がけているので、認知度を一気に上げたジャングリアの、2年目、3年目に期待してしまう。

「悪名は無名に勝る」ジャングリア沖縄が“口コミ大量削除騒動”で手にした実績/鈴木おさむ
鈴木おさむ


【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている
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