待ち伏せに狂気の怪文書も。ガチ恋迷惑客は神出鬼没
’24年5月、50代男性がガールズバー経営の女性に執着し、最終的に殺害に至った新宿タワマン刺殺事件。先日、男性には懲役15年の判決が下ったばかりだが、この事件以降も、静岡のガールズバー店長が常連客に刺殺されるなど、夜の店の従業員に対する凄惨な事件が報じられている。だが、こうした被害は夜の世界に限らない。身近な場所で、ただの接客を好意として受け取り、一方的に恋愛感情を抱く“ガチ恋客”が増えている。
「レジでマニュアル通りの接客をしただけなのに……」
岡山県在住の西島優花さん(仮名・25歳)は、昨年8月から勤めるコンビニで思わぬ被害に遭った。相手男性は20代後半。見た目では“ヤバい人”とは見抜けなかった。
「働き始めてすぐ、一日3回は来店し、レジにいる私をチラチラ見ては何も買わずに帰っていく、ちょっと変わった人がいるなと思ってました。その人が2カ月後に突然、仕事終わりの24時に自転車置き場で待ち構えていて、『ちょっとだけ時間ある!?』と声をかけてきた。身の危険を感じ、自転車で逃げましたが、男はその後も、何事もなかったように日に何度も店に来続けていて、私の退勤時間に店の周囲をうろついてる日もあります。
カフェで接客しただけなのに…

「去年の8月、駅のホームに立ってたら、急に後ろから『食事に行きませんか?』と。30代後半のさわやか系の男性でしたが、知らない人だと思い断ると、有名コンサル会社の名刺を押しつけられたんです。もちろんすぐ捨てたものの、その3カ月後に同じホームで再会し、彼が去年の春まで勤めていたカフェで接客した相手だと思い出しました。ただ、『また会いましたね』と笑いかけられたのがキモすぎて、ダッシュで逃げたものの追いつかれ、今度は恋文のような手紙を……。しかも、この春もいきなり肩をポンポン叩かれて『覚えていますか?』と。もしまた出会ったら、『パートナーがいるので』とはっきり断りたい一方で、その影響で家族の身に危害が及ぶかもしれない怖さもあり、対応に困ってます」
恐怖心から穏当に接すると図に乗る男たち
埼玉県在住のジムトレーナー・飯島舞香さん(仮名・32歳)に対し、2年以上アプローチをかけている男性客は50代半ばだとか。狙いを定めたらひたむきに追い続ける狂気性に、年齢の壁はない。「フロントで接客しているとき、誕生日や好きな食べ物など、プライベートに踏み込んだ質問を繰り返してくるようになり、そのうち『愛してる』『一生に一度でいいからランチしよ』などと、突然気持ちを押しつけてくるようになりました。挙げ句にはコップに造花のバラを入れた手作りオブジェを渡されたり……正直、いらなすぎて困りました。でも、そんなヤツでも他のお客や同僚の目もあるし、無下にはできない。神経を逆撫でして行動がエスカレートしても困りますし」
そんな「客だから何を言っても許される」――。そう思い込んで接してくる男たちの“ナメた態度”に、女性スタッフは日々煩わされている。
たかがナンパ? もはや暴力!

そう話すのは、新潟県出身の高崎愛理さん(仮名・24歳)だ。彼女は5年前、バイト先の地元スーパーで、10代の女性バイトと2人、閉店間際のレジ作業中に、一方的な好意の押し付けを受けた。

仮にガチ恋ほどではない軽いナンパだったとしても、女性の苦痛は計り知れない。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[身近に潜む[ガチ恋客]の恐怖]―