大量リストラ企業内で働く無気力上司
真面目に働いてきた結果がこれか――。長年会社に尽くし、“社畜”と言われる働き方をしてきた中年社員が“会社の裏切り”に遭うケースが相次いでいる。早期退職(リストラ)、降格人事などわかりやすく会社員人生を狂わせる事例はまだマシかもしれない。無自覚な会社の横暴に再起不能になった中年社員の声を聞いてみよう。大規模リストラなど社内環境の激変は中年社員の心を直撃する。今年、“黒字リストラ”で話題になった大手家電メーカーの工場に勤める加藤圭太さん(仮名・48歳)は、上司への不満が爆発し、ついに怒鳴り散らしてしまった。
「大量リストラ後に、事業の縮小や配置転換など、毎日のように揉め事が起こって、社内の雰囲気は最悪。かつてはパワハラするぐらい仕事熱心だったその上司も『どうせもう辞めるから』とやる気を失って、会社に来てお茶を飲んでボーッとしてばかりで……」
最初は上司の機嫌を窺いながら業務をこなしていたが、ある日、怒りが爆発した。
「その上司の承認印をもらわないと仕事が進まないのに席にいない。別の部署から『お前は仕事が遅い!』と怒られ続け、心が限界でした。ソファで寝ていた上司に向かって『あんた、サボってて仕事しないんだろ。会社来なくていいから辞めてくれ!』とブチキレてしまった。
40代社員はガマンの限界
加藤さんのようにガマンの限界を迎えかねない40代社員は多いという。「僕らは家のローンや子どもの教育費もあり会社にしがみつくしかない。一方、50代社員は手厚い退職金をもらって辞められるから、もはやモチベーションがない。彼らは責任も負いたくないから、トラブルをなすりつけられることも多く、心を病む同期も増えています。ただ、かつて熱心に仕事していた上司が死んだように無気力で働くのを見ていると、結局、年配社員も含め、会社のせいで全員おかしくなっているんでしょうね」
心が死ぬまで会社から逃げられないこともまた地獄だ。
狂う中年社畜の声
「ハンコ一つも押せない上司にもううんざり!」関東にある製品工場で働く加藤さん。大規模リストラ後は、不良品の修理担当に配属。直属の上司にブチキレて以降、ひと言も口を利いていない。
昇進によって繊細な中年社員がうつに…

「久しぶりに同じプロジェクトに入って会議をしていて、途中で席を立ってから全然戻ってこない。心配になって廊下に出たら、通路の壁に向かって『あれもこれもできない。どうしよう、どうしよう……』と話しかけていたんです」
その後上司に相談し、彼に割り振る仕事量を減らしたものの、状況は悪化していった。
「一つできないと思考が止まってしまって、会議室を出てどこかに行ってしまうんです。
後輩がうつ病になった原因は…
林田さんは「彼は新人の頃から他人に頼るのは苦手でした」と話す。それこそが、うつ病を起こした原因だった。「ウチの会社はプロジェクトごとに人員配置が変わるので、自ら積極的に関わらないと人間関係のキャパが広がっていかないんです。もともと内向的で気が弱い人だったので、昇進して指示する側になったら、部下にどう頼んだらいいのかわからなかったのでしょう。まだまだ年功序列の部分はあるので50歳近くになり役職がついたようですが、無理やりな人事だったと思います」
中年社員の出世に伴うリスクはどんどん高まっている。
狂う中年社畜の声
「昔みたいにむちゃな働きができないのはやりづらい」うつ病を発症した後輩は、林田さんが「飲みに誘ってもほとんど断られる」というほど付き合いベタ。現在は連絡してもあまり返信はないという。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[もう限界です!狂う中年社畜の実態]―