池田57CRAZY(以下、57)さん(49)と、実の娘・レイラさん(20)による親子お笑いコンビ「完熟フレッシュ」。ネタの中では、シングルファザーである57さんに娘のレイラさんが突っ込みを入れていくことも多い。
離婚のきっかけは、元パートナーによる不倫。別居生活が始まり、離婚が成立するまでには実に5年近い歳月がかかったという。その詳細を、初めて57さんが語った。

クリスマス前に不倫発覚……子に気遣い「何事もないように振る舞った」

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ーー近刊のコミックエッセイ『親子漫才!』(KADOKAWA)を面白く読みました。今まで「パパ」としての側面しか存じ上げませんでしたが、離婚のきっかけは元パートナーの不倫だったというのが意外でした。

池田57CRAZY(以下、57):不倫が発覚し、別居を始めてから離婚が成立するまで5年近くかかっています。よく「シングルファザーの子育ては大変ですね」と言っていただけるのですが、実は離婚に至るまでの方が、よっぽど大変でした(笑)。

元交際相手とは19歳の時に北九州で知り合い、翌年には同棲を始めました。プロポーズした時から入籍まで結構期間が空き、結婚したのは30歳になる年でした。レイラが産まれたのも同年です。当時自分は「ロックンロールコメディーショー」というお笑いコンビを組んでいたのですがあまり売れていなくて、元妻からはそっけない対応をされることもありました。

それで38歳の時(2013年)にコンビを解消し、スポーツジムでトレーナーとして働き始めたんですね。しかし、その後程なくして、元妻の不倫が発覚したんです。


ーー『親子漫才!』によれば、元パートナーとは18年もの交際期間があったとのこと。夫婦仲が傾いた原因はあったのでしょうか。

57:元をたどれば、自分にも悪い部分はありました。芸人なので収入は少ないですし、仕事で家を空けることも多い。家事もワンオペの状況で、不満は溜まっていたと思います。

ーー不倫が発覚する前、パートナーの態度が変化していると感じることはありましたか?

57:笑ってしまえるぐらい(以前とは)違いました。家にいてもとにかく「話しかけるな」感がすごい。
会話があるとすれば、生活態度の注意です。僕が家に帰ってくるとふすまをパーンと閉めてしまったり、基礎生活音が大きくなってしまうそうなんです。レイラは20~21時には寝るので「ダメージを与えないで」と言われ、バイトが終わっても、外でさらに2~3時間は時間を潰してから帰宅したりしていました。

ーー不倫発覚後は、どう事態が動いて行ったのでしょう。

57:クリスマス前に不倫が発覚したのですが、子どもがクリスマスを楽しみにしていたので、その間は何事もなかったかのように振る舞いました。
少し経った年末に改めて話を切り出し、一旦は家を出ていってもらう事にしました。
自分としては別居が始まった時点でいったん頭を冷やしてもらい、いずれまた3人で暮らしたいと思っていたんです。でも別居から約1か月後、元妻からは「同居の意思がなくなった」と言われてしまって。

親権を取るため、同居期間を積み重ねた

妻の不倫、別居から離婚成立まで5年…「完熟フレッシュ」池田57CRAZYが語る、離婚までの日々「せめてレイラを育てたかった」
ネタ中、57さんがレイラさんに「彼女候補紹介して!」と頼み込むことも(8月9日、事務所ライブ「WEL HOPE 」)
ーーレイラちゃんとの同居が始まったのは、別居と同じタイミングでしょうか。

57:はい。元妻と一緒に暮らせないのであれば、自分としてはせめてレイラを育てたかった。離婚問題に詳しい弁護士からは、家庭裁判所は一般的に母親に親権を認めることが多いが、一定期間一緒に生活をしていれば、父親でも認められる可能性はあるとアドバイスされました。最終的に離婚は本人同士の話し合いで決まりましたが、それまでにレイラとの同居を1年、2年……と積み重ねていきました。

ーー離婚後、妻が親権を持つケースは、離婚件数全体の8~9割前後を占めるといいます。父親が引き取るのは珍しいパターンですよね。

57:母親の場合、妊娠の時から我が子の存在を感じているからこそ、子が幼い頃から「愛おしい」という感覚がある。男の場合は、自分が子どもを産むわけではないので、徐々に「可愛いな」となっていく。
なので夫婦間の溝が埋まらないとわかったときに、「子どもだけでも」となるんです。

ーー最終的に離婚が成立するまでの約5年は、何に時間がかかってしまったのでしょう。

57:元妻と連絡がつかず、話し合いが止まっていたことが一番大きいです。理由はわかりませんが、向こうとしては親権が欲しい気持ちもあったのではないでしょうか。

自分たちは‘16年に「完熟フレッシュ」を結成し、少しずつテレビ露出も増えていました。「頼むから離婚届に判をくれ」と頼み込み、ようやく’18年の冒頭に離婚が成立しました。

ーー何年も宙ぶらりんの状態が続くと、精神的に滅入りそうです。

57:元妻が出て行って約1年は確かに落ち込みもありましたが、別れに向かうことはわかっていたのでその後は気持ちを切り替えられました。

どちらかといえば困ったのは仕事の方です。その時点で離婚が成立していなかったので、ネタの中でどう触れるべきかが難しくて……。当時は「離婚した」ではなく「(嫁が)出ていった」といった、婉曲な表現を選ぶようにしていました。

ーー離婚の経験から学んだことがあれば教えていただけますか?

57:よく言われることですが、離婚はやっぱりすごくエネルギーを使います。
パートナーと別れるかで悩んでいる方も多いと思いますが、どういう答えになるにせよ、そこは覚悟しておいた方がいいでしょう。

あとは、調停までを見据えるなら、弁護士選びもやっぱり大切です。自分の場合、とある著名な先生から信頼する弁護士の方を紹介してもらいました。もし迷った場合、SNSでDMを送ってくれれば紹介しますから、お気兼ねなくご連絡ください(笑)。

今でこそ自身の離婚をネタとして笑い飛ばす57さんだが、別れが成立するまでには相当な心労がかかっていたことが、話の端々から伺えた。後半では離婚成立後、57さんがシングルファザーとして直面した数々の「壁」に焦点を当てる。

<取材・文/松岡瑛理>

【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
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