―[ゼロ恋愛 ~経験値ゼロから学ぶ恋愛講座~/堺屋大地]―

 こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
 筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがい、知見を深めているのです。

 2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。

婚活に失敗し続ける高学歴・高収入の36歳男性。ハイスペックで...の画像はこちら >>

婚活中の「高収入エリート男性」の悩み

 さて、今回は筆者に婚活についての悩みを打ち明けてくれた田村さん(仮名・男性・36歳)の相談をもとに、男女間の関係構築についての話をさせていただきます。

 田村さんは都内有名私大の法学部卒で、コンサル企業で働く高収入エリート。当然、婚活市場ではハイスペ男性として需要が高いため、交際まではとんとん拍子で進むことが多いのですが、半年~1年で女性からフラれて破局するケースが多いとのこと。

「結論から言うと、モラハラ扱いされた挙句に別れることが多いんです(苦笑)。

 例えば、同棲して家事分担について話し合ったときに、僕の収入は当時の彼女の2倍あったので、家事は“僕2割:彼女8割”にすれば僕が仕事に集中できて、家庭内の生産性が上がるという正論を話したら、彼女は泣いて無言になり、それが原因で破局。

 また、違う恋人のときは、その彼女に幼馴染の男友達がいてよくお茶しに行っていたので、異性と二人きりで会うなんて非常識だとまっとうな指摘をしたら、価値観がどうだとか反論されたのですが、それでも僕が正論を言い続けたら別れることになったんです」

「頭の良さ」はまったく異なる2種類ある

 ほかにもいくつか交際女性と別れた際の経緯を伺いましたが、田村さんの主張に共通していたのは「正論」という言葉でした。

 要するに、「自分の考えが正しく女性の考えが間違っていた」という主張です。

 筆者は、田村さんに自身の欠点に気付いてもらうため、次のような分析をストレートにお伝えしていきました。

 まず「頭の良さ」は2種類あります。高偏差値の学校に受かったり仕事で高収入を得られたりするタイプと、世界・社会の真理や人間関係の本質を正しく理解できているタイプ。

 とは言え、一般的に広く知られているのは前者の「高偏差値・高収入タイプ」の「頭の良さ」のみで、後者の「真理・本質理解タイプ」は見落とされがち。
もしくは、前者の「頭の良さ」があると後者の「頭の良さ」も備わっていると思われがちなのです。

「真理・本質理解」において「頭が悪い」

 しかし、実際にはその2つのタイプは全く別の資質が必要であり、「高偏差値・高収入」の「頭の良さ」はあっても、「真理・本質理解」がてんでダメという人は少なくありません。

 田村さんがまさにそう。率直に言わせていただくと、田村さんは「真理・本質理解」において「頭が悪い」のです。

 まず、田村さんは“価値観は多様である”という世の中の真理を理解していません。

 田村さんが正論だと言っている主張は、たしかに一つの正解の考え方かもしれませんが、それだけが唯一無二の正しい答えではなく、ほかにもいくつもの正解の考え方があるもの。

 価値観の多様性とは、考え方の正解は一つだけでないということであり、田村さんの主張も一つの価値観ですが、別れた彼女たちの主張もべつの価値観として尊重されるべきだったのです。

「恋人を論破して勝つ」は間違えている

 また、田村さんはディベート力が高く、彼女側の主張をねじ伏せていました。そんな田村さんはおそらく、恋人間の話し合いでも自分の意見を認めさせること、すなわち“相手を論破することが正しい”と思い込んでいるのでしょう。

 けれど恋人間のコミュニケーションにおいて、“相手を論破することが正しい”という思考が、そもそも正しくないのです。

 なぜなら、正論(だと思い込んでいる論)を振りかざして論破している人は、往々にして勝敗にこだわる思考回路なのですが、人生のパートナー候補との対話を勝った負けたの視点で考えている時点で、間違えていると思いませんか?

 論破して勝ったところで、それで恋人との信頼関係が崩れ去ったり、恋人から人間性的に相容れないと思われたりしては、コミュニケーションとして失敗。つまり田村さんは、人間関係の本質を理解できていませんでした。

 恋人との対話で大切なのは、自分の価値観を押し通して論破することなどではなく、まず相手の価値観も認めたうえで、お互いが納得できる着地点を二人で見つけ出すことなのです。

常に自分が正しいと思い込んでいるアホ

 ――田村さんは自分への理解度が低かったとも言えます。


「高偏差値・高収入タイプ」の「頭の良さ」はあったけれど、「真理・本質理解タイプ」の「頭の良さ」は皆無だという自覚がなかった。あえて厳しい言い方をしますが、田村さんは頭が良くて常に自分が正しいと思い込んでいるアホだったのです。

<文/堺屋大地>

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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi
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