もともとは、2016年12月に「佐々波綾(さざなみ あや)」としてデビューし、一気に人気女優の地位を確立した彼女ですが、2018年にSNSで突如「現役引退」を発表。
今回は、改めて小那海あやさんに2018年の引退理由や引退期間中の話、再びセクシー女優としてデビューするに至った経緯を聞きました。
有名出版社のアルバイトからセクシー女優に転身
――まずはデビューのきっかけを教えてください。小那海あや(以下、小那海):直接のきっかけは、声を掛けていただいたことですね。「セクシー女優のお仕事があるんですが、どうです?」と。
最初は悩みましたが、興味もあったので「ちょっと出てみようかな」くらいの、軽めの気持ちで決めました。
――当時は他のお仕事をされていたんですか?
小那海:某出版社で、マンガ編集のアルバイトを。マンガが好きで、編集の仕事をやってみたかったんです。でもセクシー女優になるために辞めちゃいました。
――有名企業じゃないですか。そちらを蹴ってセクシー女優を選んだ理由は?
小那海:やりがいはありましたが、1年も経つとアルバイトとしてできる仕事はやりきったかな、と感じたので、新しいチャレンジがしたかったんです。
人気絶頂で突然引退。理由には誹謗中傷も

小那海:恥ずかしさはありました、緊張もしましたし。
――すぐに人気女優になりましたし、たしかに適正はあったでしょうね。でも、2年後に大人気のまま引退。なぜですか?
小那海:地元で身バレしちゃって。これ以上続けると普通の仕事に戻れないし、個人情報が漏れる不安もあって引退を決意しました。
そのあと、事務所と「辞める」「辞めない」でちょっと揉めて、業界に居続けるのもしんどくなって。だから新しい仕事を決めて「仕事決めたから、辞める!」って、辞めました。
――SNSに発表した引退宣言文には「影で名前を隠している一部の人たちからの悪口が辛かった」とありますが、誹謗中傷も引退理由のひとつですか?
小那海:はい。「整形」「ブサイク」「デブ」みたいな、悪口をよく言われました。当時の私はまだ19歳、20歳。けっこう精神的に重くのしかかってきて。
――いや、年齢関係なく、誹謗中傷には心をやられちゃいますよ。
出演作の販売停止は大変な作業

小那海:いえ、これは引退後に付き合った方に「消してほしい」と頼まれたからです。そもそも私、当時は「出演作を販売停止できる」こと自体を知らなかったので。
――そうだったんですか。当時は「AV人権倫理機構(2024年に活動終了)」への販売停止申請で、出演作のリスト化が必要でした。大変じゃなかったですか?
小那海:200本以上出演作があったので、大変でした(笑)。でも申請したら、早めに販売停止してくれるメーカーが多くて良かったです。
メーカーによっては出演者名の削除だけで、作品自体は販売継続していたものもあるんですけど。このあたりはメーカーの事情もあるので、仕方がないかな、とは思いますね。
元セクシー女優でも一般企業で働ける

小那海:まずは引退の時に決めた、某テーマパークでカメラマンのアルバイトを始めました。この仕事もやりたいことのひとつだったので、楽しんで働けましたね。
でも、そろそろ社員として働こうと考えて、某大手通信会社の契約社員に転職しました。研修のセッティングや、顧客満足度などのデータ調査まで、いろいろできてすごく楽しかったです。
――セクシー女優の過去はバレませんでした?
小那海:会社からはなにも言われませんでしたが、バレる人にはバレましたね。社内に彼氏がいたんですけど、その人から「先輩に聞いたんだけど」って言われたことも。
ただ、その件で直接なにか言われたり、差別されたり、いじめられたりはなかったです。
――良い会社で働けたんですね。「セクシー女優は引退後、一般企業では働けない」と言われることもありますが、そうではなかった、と。
小那海:ただ、ダメな企業はダメでしょうし、堂々と「セクシー女優でした」とも言えませんからね。やっぱり、いろいろな困難はあると思います。
でも、私はセクシー女優だったことに後悔はないので、もう「バレたらバレたでしょうがない」と考えていました。出演した過去は、変えられませんから。
彼氏の浮気が原因でインフルエンサー活動開始

小那海:もう辞めて時間が経つのに、SNSではずっと私のファンでいてくれる方や「元気かな」って気にしてくれる方がたくさんいて。そんな方たちの気持ちに感化されて「もう1回、表舞台に戻ろう」と。
実はほかにも理由があって、当時付き合っていた彼氏と別れたんです。
――当時、元セクシー女優だとは宣言していましたが、復帰しないと言っていました。
小那海:はい。当時は本当に復帰しよう、なんてまったく思っていなくて。でも、やっぱり表舞台に戻ってきたら、期待されますよね。だから誤解されないように、最初から「復帰はしません」と宣言していたんです。
――インフルエンサー時代のお仕事は?収入はどんな感じでした?
小那海:撮影会やファンの方との交流会が中心でしたね。収入は……会社員時代より、ずっと増えました(笑)。セクシー女優時代のファンの方が引き続き応援してくださったので、とてもありがたかったです。
セクシー女優に復帰した理由

小那海:「復帰しない」宣言していても、やっぱり「また見たい」って声が多くて。「そんなに期待されているなら、応えるのもアリかな」と考えが変わったんです。
そもそも元セクシー女優だ、と言って活動しているし、復帰しても私としては失うものもないので、じゃあ復帰しちゃおう、と。
――デビュー時と同じく、ちょっと軽めな感じはありますね(笑)。
小那海:あと、引退中にAV新法が施行されて、業界自体がより良い場所になっているかな、とも考えていました。
それから自分自身が当時より成長して、言いたいことは相手に素直に言えるようになったので、楽しく働けるだろう、と。そもそも、引退前も撮影自体は楽しくて、大好きでしたからね。
――AV新法、実際にはどうですか?
小那海:撮影1ヶ月前の契約など、負担が増えたのは確かですね。でも一般企業で働いた経験から、契約ってすごく大事なものだと知ったので、自分を守るためにもAV新法ができて良かったと思います。
「小那海あや」としての人生を少しでも長く続けたい

小那海:もう、なるべく長く続けたい、が第一の目標ですね。「小那海あや」としての人生を長く続けていきたい。そのために、もっと多くの人に知ってもらいたいです。
あ、最近は野球に超ハマっているので、野球関連の仕事ができたらうれしいですね!
――野球、球場で見るんですか?
小那海:はい。ベイスターズのファンなんです。
――それはすごい。お仕事、来るといいですね。
小那海:はい、お待ちしてます(笑)。
――最後に、セクシー女優になりたい女の子にメッセージをいただけたら。
小那海:そうですね……なりたい理由はいろいろあると思いますが「有名になりたい」だけならほかにもいろいろな道があるので、しっかり考えたほうがいいと思います。それでも目指したいなら、メリットデメリットを理解してから一歩進んでください。
……でもその一歩が、ものすごく大きいってことは忘れないでほしいです。
もちろん、セクシー女優の仕事の幅は増えていますし、目標に向けて頑張るのは素晴らしいこと。一緒に頑張れたら、うれしいですね!
<取材・文/蒼樹リュウスケ、写真/林紘輝>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター