“資産36億円ニート”としてXで30万フォロワーを擁するマサニー氏(@alljon12)。Xでは海外旅や高級グルメなど、派手な生活ぶりを披露している。
だが実は幼少期を養護施設で過ごし、奨学金の返済でバイトに明け暮れるなど、裕福とは程遠い環境から、一代で資産を築いた人物である。節約と投資の両輪で「努力すれば誰でも億り人には到達可能」と断言するマサニー氏に、資産形成の極意を聞いた。

毎月1000万、100歳までに使い切るのが目標

資産1億円は「誰でも努力で到達できる」。養護施設出身の“資産...の画像はこちら >>
ーー普段はどんな生活をしていますか?

マサニー:今までの投資で得た累計利益が60億円ほどあります。「100歳までに全財産を使いきる」のを目標に、毎月1000万円使うのを目指しています。実際には500~1000万円くらい毎月使っている感じです。
大きなお金の使い道は海外旅行で、過去には南極旅行で1000万円使いました。他にはアフリカのサファリや南米ペルーのマチュピチュあたりも行って良かったですね。

国内旅行も毎週のように行っています。兵庫県芦屋にお気に入りの串あげ屋があって、そこに食べに行ったり、鳥取までカニを食べに行ったりしてます。
グルメには1食10万円くらいかけています。

ーー高級品を買われたりもするんですか?

マサニー:服やブランド品には、まったく興味がありません。資産10億円を超えたあたりから「欲しいと思ったら、いつでも買える」ようになって、物欲が消えました。夏はユニクロのTシャツで過ごして、シーズン毎に新しいのに買い替えてます。
過去には100万円するハイブランドのコートを買ってみたこともありますが、金額に見合った価値を感じませんでした。僕にとって服はあくまで消耗品なので、あれは人生で一番損した買い物だと思っています。腕時計も持ってないですね。自分をカッコつけたり、よく見せることにあまり関心がないです。

ーーどのような時に幸福を感じますか?

マサニー:やはり幸福感が得られるのは旅行です。旅行の良い点は、行った時点ですでに楽しくて十分ペイできているのに、後々思い返すたびに「思い出の配当」を繰り返し受け取れることです。

最近行ったなかで良かったのは、スイス旅行です。『アルプスの少女ハイジ』さながらの絶景を目の当たりにしたり、「世界一遅い特急」と呼ばれる「氷河特急」に乗って、フレンチのコースを食べながら200kmを8時間かけて移動したりする体験は、「時間」と「お金」の両方がなければできない贅沢なものでした。ほかには子供たちの相手をする時や、児童養護施設への匿名での寄付も幸福を感じる瞬間ですね。

ーー食べたものや行ったところを、Xに投稿しているのはなぜですか?

マサニー:完全にひまつぶしですね(笑)。無職になってすることがなくて、自分の生活を落書き感覚で投稿してたら、それが多くの方に興味を持っていただいた感じです。SNSをはじめてから皆さんの反応が見るのが思いのほか楽しくて、日々「これはフォロワー喜んでくれるかな?」と考えるようになりました。


ほかにSNSをはじめて良かったことは、KADOKAWAさんから出版のオファーを頂いて『ズボラな人でもお金が増える 漫画インデックス投資一択で億り人』という本を出せたことですかね。人生で本を出すなんて考えてもなかったです。

社会人で投資を始めるも、すべて失敗

資産1億円は「誰でも努力で到達できる」。養護施設出身の“資産36億円ニート”が明かす、奨学金返済からの富への道
マサニー氏のXより。現在ではお金を使っても使い切れない状態だという
ーー養護施設出身とのことですが、施設での経験が投資や人生観に影響を与えましたか?

マサニー:僕は4歳のときに、今の親に拾ってもらいました。決して裕福ではありませんでしたが、他の家庭を知らずに暮らしているとそれが普通になるので、子供の頃、特別貧しいとは感じませんでしたね。ただ、漠然とですが「お金に困らない生活がしたい」という思いはありました。

ーー裕福でない環境からどのように投資をはじめましたか?

マサニー:学生時代を少しお話しすると、僕は奨学金を借りて大学に通っていて、朝から晩まで宅配やコンビニのアルバイトに明け暮れていました。それで年間200万円くらい稼いで、奨学金の返済に充てました。そのおかげで22歳までに奨学金を完済しています。当時は自分にお金をまったく使わず、外食もしない。友達付き合いも最小限でした。とにかく贅沢を知らずに過ごしていた感じです。

奨学金を完済した状態で22歳で卒業後、手取り25万円のサラリーマンとして社会人生活をスタートしました。
同じ年にデイトレーダーを目指そうと個別株やFX、トルコリラ建て債券へ投資もはじめたのですが、結果はすべて大失敗でした。

ーーそこで投資戦略を見直されたのですね。

マサニー:「つくづく自分には投資の才能がない」と見切りをつけて、23歳の時にインデックス投資にシフトしました。インデックス投資の特徴は、「市場全体の平均的な成果を確実に得られる」点にあります。プロの投資家であっても、長期で市場平均を上回る成績を出し続けるのは難しいとされています。

そこで、日経平均株価やS&P500といった「市場全体の値動き」と連動した投信やETFを買い続ければ、個別株の当たり外れに左右されず、市場全体の成長をそのまま自分の成果にできます。いわば「100点は取れないけど0点にはならない」投資法です。

僕は13年間にわたり節約とインデックス投資を継続した結果、30代前半で資産5000万円まで行きました。もしスタートアップ投資に出会わない人生だったとしても、40代にはインデックス投資のみで億り人になれていたと思います。つまり億り人には節約と努力のみで多くの人がなれるというのが僕の持論です。

ーースタートアップ投資も資産を増やすきっかけになったとか。

マサニー:30代後半に離婚を経験して自暴自棄だった時期に、起業する友人から出資の相談を受け資産の大部分を投資しました。
それがたまたま当たって、これまでにスタートアップ投資で累計50億円の利益を得ています。諸々の税金を払って手元に残ったのがだいたい35億円で、それをオルカンに投資して15億円の含み益がでていたり、他には不動産も保有してます。ただ、僕と友人がたまたま運が良かっただけなので、再現性はないと思います。

ーーでは、投資で成功するのに必要な素養は何だと考えますか?

マサニー:インデックスへの長期投資に関して言えば、ひたすら「バイアンドホールド」です。暴落しても買い続ける、過去の事例ではこれだけで勝てています。僕は暴落時に短期的に売った経験があるので、失敗から学びました。

ーーもしマサニーさんが普通の20代会社員に転生したら、どんな戦略で成り上がりますか?

マサニー:資産1億円の「富裕層」には努力100%で到達できます。運も才能も不要で、ただひたすら努力のみです。その先の資産5億円以上のいわゆる「超富裕層」を目指すには、才能や運、リスク取る勇気のいずれかが必要だと思います。僕の周りでは投資のみで超富裕層入りした人は、ほとんどいません。個人的に資産5億円に一番到達できる可能性が高いのは起業だと思います。

僕は金融資産1億円以上の「富裕層」になれたら十分だと思っているので、やはり真面目に働いて、節約しながら、20年かけてインデックス投資で資産1億円を築きます。
それだけの資産があれば、後は変に冒険しないで普通に暮らすことができます。富裕層になれば、生活にも余裕が出るし、人生の不幸を十分回避できるのでそこを目指しますね。

派手な生活を切り取られて紹介されがちだが、根幹には堅実な投資論を持つマサニー氏。「億り人は努力で到達できる」――特別な才能を持たない我々凡人が心に刻むべき金言である。
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