カレーやスープ春雨のトッピングを自由に選べるチェーン店が人気だ。自分好みに具材や辛さをカスタマイズできるのは楽しい。
しかし、その一方で、組み合わせ次第ではかなりの値段になることもある。
「サブウェイ」のサンドウィッチも例外ではない。「サンドウィッチ=軽食」という感覚であれこれトッピングしていると、あっという間に2000円近くなる。ちなみに、注文しているのはレギュラーサイズではなく、倍のフットロング(30cm)サイズだという前提で読んでほしい。

2000円分も具材を盛れば、それはもはやサンドウィッチというより“食事”だ。それ相応の食べ応えや満腹感を得られなければ、値段に見合わない。

というわけで今回は、サブウェイで2000円かけて「最強のサンドウィッチ」を作っていきたい。

ピザやサンドウィッチは「野菜扱い」…特殊な環境で思春期を過ご...の画像はこちら >>

「朝昼晩ハンバーガー」のクラスメイトも

「最強のサンドウィッチとは?」と思われるかもしれないが、まずは前口上を聞いてほしい。

「ピザとサンドウィッチはヘルシーな料理だ」

にわかには信じがたいかもしれないが、これは筆者が実際に耳にした“事実”である。

15年前、筆者はアメリカのテネシー州、いわゆる「南部」で中学・高校時代を過ごしていた。この地域は、ざっくり言えば「ドナルド・トランプ大統領を支持する州」である。海はなく、一面の野原が広がり、男の趣味は鹿狩り。映画で見るような「アメリカの田舎」そのものだ。


商業施設はどこもチェーン店ばかりで、みんな、着ている服は似たり寄ったり。料理にバリエーションなどなく、道路沿いに並ぶのはたいていハンバーガー屋。クラスメイトの中には、「朝昼晩ハンバーガー」という食生活の者もいた。実家暮らしである。

ピザやサンドウィッチは、“野菜”扱い

「飽きないのか?」と思うかもしれないが、代わりに弁明するとしたら、選択肢がほかにないのだ。強いて挙げるならピザ、タコス、フライドチキン……。だいたい揚げ物ばかりである。

そんな環境では、「油で揚げられていない」「肉がそんなに乗っていない」ピザやサンドウィッチは、“野菜”扱いだった。サラダと同じカテゴリーらしい。

「それはさすがに言い過ぎ」と思うかもしれないが、アメリカのサラダはドレッシングまみれで、チーズもたっぷりと振り掛けられているのでかなりジャンクだから案外そうでもない。

それをダイエットコークで流し込めば、「ヘルシー」になる。冗談でも誇張でもなく、本当にそうだった。

チーズしか乗っていないプレーンピザは、特に健康的とされていたため、野菜がどっさり入っているサブウェイのサンドウィッチなんて、もはや精進料理である。


そんなサブウェイを“魔改造”する方法がある。まずは、ミートボールを入れて……。えっ、日本にはないの?

だったら、こうしよう。フットロングのアボカドチキン(1140円)に、チーズ(160円)、クリームチーズ(100円)、マスカルポーネチーズ(100円)、そしててり焼きチキン(500円)のトッピングで、ぴったり2000円だ。

食べ応えを求めるなら「アボカドチキン」が最適

ピザやサンドウィッチは「野菜扱い」…特殊な環境で思春期を過ごした記者が、「最強のサンドウィッチ」をサブウェイで作ってみた
計2000円分ともなると、なかなかの迫力だ
アボカドチキンはサブウェイの中でも2番目にカロリーが高く、食べ応えを求めるには最適なベースである。同店のアボカドはパンに合うようにペースト状になっており、ふわふわの食感が楽しめる。

チキンはどんなソースにも合い、物理的にハムよりも大きいため、満足感は間違いない。パンはウィートかセサミを選び、焼いたほうが良い。そうすれば、一気にジャンク感が増す。

野菜は遠慮せず多めに入れてもらおう。値段が変わらないのであれば、何でも多めにしてもらったほうが得だ。それに、食べられるのであれば、オリーブもおすすめ。味と食感のアクセントになる。


ソースはフットロングなので2種類選べるのがうれしい。アメリカンにシーザードレッシングとマヨネーズタイプを、それぞれにかけてもらおう。

「サンドウィッチ=軽食」という概念を覆すために…

ここからが追加トッピング。両方のパンにチーズを追加。アメリカのサンドウィッチなのだから、チーズなしでは語れない。さらに味変のために、片方にクリームチーズ、もう片方にマスカルポーネチーズを加える。

そして「サンドウィッチ=軽食」という概念を覆すためには、肉や魚を2種類以上入れるべきだ。今回はすでにチキンが入っているため、ハムやエビでもよいが、てり焼きチキンがベストだ。というのも、サブウェイの肉メニューの中で一番美味いからだ。単体でもいける。

しかし、これが重要なのだ。一口食べればアボカドチキン、もう一口食べればてり焼きチキンと、2つの味を楽しめる。さらに、てり焼きチキンのソースは、ほかの味を邪魔しないというのもポイントだ。


これだけ“ジャンク”な「千駄木サンド」でも、カロリーはそこまで高くない。やはり、アメリカ人が言うようにサンドウィッチは野菜なのだろう。

「プレスリーの好物」と比べれば…

ピザやサンドウィッチは「野菜扱い」…特殊な環境で思春期を過ごした記者が、「最強のサンドウィッチ」をサブウェイで作ってみた
あっという間に完食
ちなみに、テネシー州といえば、ロックスターのエルビス・プレスリーの聖地でもある。彼がこよなく愛した料理が「エルビスサンド」だ。甘いバナナ、香ばしいピーナッツバター、そしてベーコンを組み合わせ、パンで包んだうえに、サンドウィッチ自体を揚げ焼きにしたものである。

その総カロリーは17000キロカロリー。成人女性であれば、これ一つで10日間は生きられる計算になる。もはや、狂気の域である。

それと比べれば、筆者が2000円かけて作ったサンドウィッチのカロリーは10分の1にすぎない。だからこそ、サブウェイのサンドウィッチは、いくらトッピングをしても健康的と言えよう。くれぐれも「比べる対象が極端すぎる」とは思わないでほしい。

【今回の摂取カロリー:1264kcal】

<TEXT/千駄木雄大>

【千駄木雄大】
編集者/ライター。
1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
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