新たな門出を祝す世間の反応はもとより、本人も実に晴れやかそうなご様子が印象的です。
とはいえ、「同居」は継続されるにしても、法的には離婚。その実現に至るまでにはさまざまな葛藤や障害があったことでしょう。
みなさんにとっても、離婚すべきか・せざるべきかの悩みは、心当たりがある方も少なくないはずです。
今回は、「女性が離婚を決断すべきタイミング」についてお届けしていきます。つまり、男性にとっては、「女性から三行半を突きつけられるタイミング」ともいえますから、殿方も抜かりなく予習しておいてください。
離婚を決断して然るべきタイミングは…
離婚すべきかどうかの判断は難問だとされていますが、客観的に見れば、よほどの例外的状況でない限り、悩む余地はないものと考えています。まず、即座に離婚を選んでもやむなしなのは、家庭内・外での暴力行為を相手が働いていたり、違法薬物に手を染めている、あるいは不倫など、あなたや(未来の)お子様にも危害が加わりかねない、明白な問題行動が存在する場合です。これはなんの説明もいらないでしょう。
次いでの判断は、あなたの意思と行動に委ねられます。離婚が頭をよぎっているということは、お相手に対してなんらかの重大な不満を抱えていることを意味するはずです。この不満を、明確な「夫婦会議」に上げることが、これまでできているでしょうか?
人によって「重大な問題」は大きく異なりますから、内容はここでは問わないこととします。
どんなテーマであれ、夫婦間での主要な議題として取り上げ、1年真剣に話し合ってもなお埒があかないのであれば、離婚を決断して然るべきタイミングであると、私は考えています。
ときには「1年を待たなくてよい」場合も
特に問題意識の性差が大きくなってしまいがちなのが、妊娠・出産のタイミングや意向についてです。男性側の加齢が原因となる不妊や発育の問題も解明が進んできている一方で、実際にお腹を痛めて産む側である女性との意識の落差はいまだ大きいのが現実。
男性の育児休暇取得率も少しずつ向上してきているとはいえ、妊娠や出産、産褥期そのものを、半分こできるわけではありません。
そのためか、当事者である女性と比べると、まだまだ妊娠・出産時期のシビアさに鈍感な男性が少なくないのは、残念ながら事実でしょう。
先ほど挙げた、話し合いの猶予期限である1年は、「最大幅」です。
「子供が欲しい」と自分は明確に考えているのに、夫がのらりくらりとした反応を続けていたり、話し合いにも応じてくれないために離婚を悩んでいるなら、1年を待たなくてよい場合も大いにあります。
義母から離婚を強要された女性に“まさかの展開”が
私の友人に、37歳で離婚を経験した女性がいます。彼女は32歳のときにお寺さんへと“嫁いだ”もののお子さんに恵まれず、離婚となったのです。不妊治療も必死に行っていたようでしたが、その努力が報われないままでいると、なんと、お義母さんから「役に立たない嫁」と言われ離婚を強要されたのです。
ご賢察の通り、かの夫は治療中も追い出し騒動中も、まるで空気のように何も関わらなかったそうです。
当時の彼女は二重三重に落ち込んでいて、見ているこちらもそれは胸を痛めました。
しかし、捨てる神あればなんとやら! 離婚からほどなくして再婚が決まったと思えば、あっという間にご懐妊したのです。そう、不妊の原因は彼女の体質の問題ではありませんでした。
このケースにおいては、「終わりよければすべてよし」。
再婚後の妊活が難航していたとしたら、「どうせならもっと早く離婚すればよかった」と、さらに気落ちしてしまっていたことでしょう。
ですから、今さら私が言う必要などないことではありますが、妊娠・出産についての議題にまともに取り合わないような相手には、早々に見切りをつけて構いません。あなたの肩を押します。
離婚してスッキリするか、離婚して後悔するか
反対に、女性が「離婚しなければよかった」となりがちな理由の多くもまた、妊娠・出産のタイミングによるものです。30歳半ばにして離婚したはいいものの、なかなか次の相手に恵まれず、出産リミットが迫って後悔する……そんなパターンも存在します。
「気になるところはあったけど、我が子を抱くことを思えば目を瞑ってもよかったのかな」と、タラレバの後悔に苦しんでしまう彼女たち。そうなってしまうのを怖れているからこそ、離婚すべきかしまいかで頭を抱えていらっしゃることはわかっています。
離婚してスッキリするか、離婚して後悔するかの分岐が、まさに「夫婦会議」の開催可否と内容です。
夫婦会議を開かず、「わかって(察して)くれない」「性格が合わない」などのふわっとした理由をもとに、離婚まで至ってしまうと、先ほどのような後悔を語られます。
後悔しないためにも覚悟を持って向き合う
限界まで膝を突き合わせて話し合った上で、解決が見込めなかったのだと、心の底から納得できる離婚をしていれば、適齢があるといったところで後悔はされないのです。ただ、究極まで話し合えたどうかの判別が、その当事者だと不安になってしまうからこそ、お悩みになってしまうこともあると思います。
そのために必要なのが、客観的指標としての期限です。年を重ねるにつれ、月日が経つのがどんどん早く感じられるようになってしまうものですが、たかが1年と侮ってはなりません。
婚活において年齢は非常に重みがあるものですし、仕事であっても「1年でなにをやるか・やったか」は、常に問われるものでしょう。
この1年以内に人生が大きく変わるのだと、自らのなかで覚悟して夫婦会議に挑み、その上で離婚すべきかどうかをご決断なさってみてください。
「話があるんだけど」を“なあなあ”で済ませていると…
ここまで蚊帳の外だと油断していた男性が、まさかいらっしゃるとは思いたくないところですが、いかがでしょうか。ご自身のパートナーから「話し合いたいことがあるんだけど」と切り出されたことは、一度や二度はきっとあるはずです。
そのときに、都度向き合ってこれたでしょうか。なあなあで済ませてはこなかったでしょうか。
もしかしたら、直近の「話があるんだけど」が、最後通牒ということもあるかもしれません。
その行く末を左右するのは、まずはあなたの態度です。「女性の」ではなく、目の前にいる「あなたの妻の」話を真摯に聞いてみてください。そうすればこそ、あなたの声もまた相手に届くはずです。
=====
離婚が一緒くたに悲劇である時代は終わりました。
再構築を目指すにせよ、離婚を選んだにせよ、寄り添い合って生きることを一度は決めた2人のことです。
とことんまで話してどうしようもないときには、クライマックスを汚さず、お互いの人生に区切りをつけることが、最後の美しい共同作業となりえます。
そうして一人の人間と真に深く向き合いきれれば、“バツ=離婚歴”ありではなく、“マル=愛し愛された経験”ありなのだと、清々しい気持ちにもなれることでしょう。
<TEXT/植草美幸>
【植草美幸】
結婚相談所マリーミー代表取締役、恋愛・婚活アドバイザー。 1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピーを創業。そこで培ったマッチング能力・人材発掘力を生かし、2009年に結婚相談所マリーミーを設立。日々カウンセリングを行いながら、セミナーの開催、テレビやラジオへの出演など幅広く活動中。著書に『ワガママな女におなりなさい 「婚活の壁」に効く秘密のアドバイス』(講談社)、『モテ理論』(PHP文庫)など