東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早4年目。
日本屈指の飲み屋街で、毎晩カウンター越しで繰り広げられる人間模様を見続けてきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
キャバクラやスナックといった夜のお店に限らず、マッチングアプリや婚活の場でも出没するのが、「年の割には、若く見られます(キラキラ)」と自己紹介する男性たち。一方で、まだ30代にもかかわらず、「俺なんてもうおじさんだよ」と肩をすくめる男性たちもいます。

前者の男性たちは「まだまだ現役! 若い女の子と対等に付き合える!」とアピールしているのかもしれません。けれど実際に女性の心を掴むのは、残念ながら後者の“おじさん自虐”タイプなのです。

「若く見られます」とアピールするおじさんは「センスがない」と...の画像はこちら >>

お世辞を真に受けると“必死感”に変わる

「若く見えます」と褒めるのは、夜の店でも婚活の場でも常套句。というか、どんな場面でも「老けて見えますね」なんて、たとえ男性同士でも言わないでしょう。

確かに実際に若く見える人もいますが、それを「若いって言われます」と自分でアピールするのは、どこかナンセンス。「優しいって言われます」も同様で、他人からの褒め言葉をそのまま自己アピールに転用してしまうと、「お世辞やリップサービスを察せない人なのかな?」と、コミュニケーション力や社会性を疑われかねません。

褒め言葉は、相手が感じて初めて意味を持つもの。自分から押し売りするのは逆効果です。もし若さをアピールしたい場合は、「ジムに通ってます」「脱毛しています」など、健康や清潔感を記載した方が良いでしょう。

無理に若く見せなくていい

夜のお店で、最近のアップテンポ——ブリンバンバンボーン!とか歌っても、単純に息継ぎや体力を凄いと感心はしますが、異性として魅力的に映るわけではありません。 本当に好きな歌ならもちろん構いませんが、若い曲を歌えれば若く見えると思ってるなら間違いです。


それよりも、玉置浩二さんの「メロディー」あたりを歌った方が、大人の男性としてしっくりきます。

“おじさん自認”の方が圧倒的にモテる

逆に「俺なんてもうおじさんだよ」と笑ってしまえる人は、自分を客観視できる大人。「若く見られます」と年齢や容姿に固執することなく、卑下して見せることのできる余裕は、女性から見ると“精神的な魅力”に映ります。

夜の店であれば、「何歳年上までイケる?」と20歳も離れたキャバ嬢に期待を込めて尋ねてはいけません。「俺なんておじさんだから、若い子と飲めるだけで嬉しいよ」と笑顔で言うのです。ギラつくより圧倒的に、モテますから。

そもそも、夜のお店の女の子しかり、マッチングアプリや婚活の場でも、男性側の若さがアドバンテージになるとは限りません。

大人ならではの価値をどう見せるか

夜の店では、ガツガツした20代の男性よりも、50代の落ち着いた(ここ重要!)男性の方が人気なことはよくある話。婚活の現場でも、「若いけど頼りない男性」より「年上だけど余裕のある男性」の方が圧倒的に選ばれやすい。

つまり男性にとっては、年齢を気にするよりも、大人ならではの価値をどう見せるかが肝心なのです。

結局モテるのは、若さという武器を手放した後の、安心感や誠実さ、そして一緒にいて心地よい空気を作れることです。婚活の場であれば、自分のアピールだけでなく、相手の話をじっくり聞きながら穏やかに会話できること。

夜の店であれば、「俺は客だぞ」と威張るのではなく、キャストへも丁寧な振る舞いをする。
そうした“小さな余裕”こそが、女性から「一緒にいて楽しい」と思われる最大の魅力なのです。

「若く見られます」と言ってしまうのか。それとも「俺なんてもうおじさんだよ」と笑えるのか——あなたは、どちらのスタンスで振る舞っていますか?

<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>

【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。
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