スクールを始めて5年たった今、延べ1,300人以上の生徒を指導している。また、自身の投資とスクールの運営で年商2億円程度まで事業は成長し、初となる著書『バカでブスな主婦が年商2億になるまでの27の逆転マインド』(サンライズパブリッシング)では、その逆転マインドを明らかにしている。
勉強が苦手だった過去をバネに、投資初心者の女性向けに「わかりやすい投資」を教えるママ投資家インフルエンサーとして活躍中だ。多くの人が「難しそう」「何から始めればいいかわからない」と挫折しがちな投資の世界。しかし“里奈先生”は、「勉強が苦手な人でもセンスがない人でも、ちゃんと学べばできるようになる」と話す。
今回は、金融教育の重要性から、投資で成功するためのマインドセット、そして「わからない」を「できる」に変える具体的な方法まで、“里奈先生”に話を聞いた。
子どもの金融教育には、親自身の金融リテラシーがカギ

高橋里奈(以下、高橋):最近、2026年度税制改正要望として、NISAの「つみたて投資枠」の対象年齢を18歳未満にも拡大するというニュースがありました。これにより、これまで18歳以上に限定されていたNISA制度が、子ども名義でも積立投資できるようになる可能性があって、それ自体はすごくいいことだなと思います。
ただ、18歳以下でも投資ができるとなると、やはり親の監督のもと、親がしっかり管理していく必要があると思うんです。そうなると、親自身に「金融リテラシー」や「マネーリテラシー」がないと、子どものためと思ってやっても結果的にギャンブルのようになってしまったり、むしろリスクが拡大してしまったりするのではないかという懸念を感じました。
――親の金融リテラシーがカギになる、と。
高橋:はい。
――家庭でできる金融教育として、何かよい方法はありますか?
高橋:民間の話になりますが、「ヒーロー幼児園」という、少し英才教育のような見方をされている保育園があります。そこでは2~3歳の頃からすごろくを使って、止まったマスの職業になってお給料を得たり、配当をもらえたり、会社を運営したりすることを学べるゲームを取り入れているんです。すごくいいなと思いました。
――「人生ゲーム」みたいに、ゲーム感覚で学べるのは面白いですね。
高橋:はい。ただ、誰もがその保育園に通えるわけではないので、平等に金融教育を得られる機会はまだ少ないのが現状です。国や民間が変わるのには数年、十数年という時間がかかります。そう考えると、結果的には親がまずお金の知識を学んで子どもに伝えるとか、親が稼げるようになったほうが圧倒的に早いなと思います。
――身近なゲームでも学べることはありますか?
高橋:「人生ゲーム」や「桃太郎電鉄」なんかもすごくいいと思います。
なぜ投資初心者は「わからない」でつまずくのか

高橋:まずは「興味を持つ」「自分で調べる」というところが大事だと思います。先日、レストランに行ったとき、隣の席で私と同年代くらいのママさんたちが積立NISAの話をしていたんです。「全然わかんないんだけど、どうやってやるの?」「私もわかんないから子どもに教えられないよ」という会話をしていて。
それを聞きながら、私も「本当にわからないと、何からやっていいかわからないよね」と共感してしまいました。というのは、私自身、本当に勉強が苦手だったからです。学生のとき、「もっと簡単に解説してくれたらいいのに」といつも思っていました。先生が使う専門用語の意味がわからなかったり……。人って1回聞いただけでは理解できないので、専門的な用語が出たらもう一度その用語を説明したり、たとえ話で噛み砕いて説明したり、そういう配慮が必要だと感じていました。
――具体的に、どのような勉強が苦手でしたか?
高橋:小学校低学年の算数で時計を読む授業があったのですが、クラスで最後まで読めなくて……。
投資の世界も同じだと思うんです。「わからない」と言っている人は「何から手をつけていいかわからない」という漠然とした“わからない”があるのではないでしょうか。実際、投資スクールをやっていて、そういう声は多くあります。
今はYouTubeにもいい動画がたくさんありますし、ネットで調べればわかるはずです。「わからない」というのは知識がないところからきていると思うので、まずは興味を持って自分で調べるなど、行動を起こせば学べるのではないかなと思います。
ですが、確かに「何から調べていいかわからない」という段階の方もいるでしょう。そういう方々にとっては、例えばセミナーに行って、ステップバイステップで教えてもらうのがいいかもしれません。
――投資において最初のステップは、やはり証券会社・FX業者選びになるのでしょうか。
高橋:実践的な部分ではそうですね。口座開設をして、次に入金額はいくらにするか、何を買うか、と細かく考えることが出てきます。
勉強が苦手だったからこそ生まれた「教え方」

高橋:私の投資スクールでは、「一般的な証券会社はここがお得で始めやすいですよ」「初心者向けですよ」というように、わかりやすくルール化して教えています。学校の授業でも、教え方がうまい先生は要点がわかりやすくまとまっていましたよね。「証券会社はここ、入金額はこれくらい」とルール化されていれば、頭に「?」が浮かびにくく、学習を楽しんで進められると思います。
ただ、証券会社選びは好みがあるので、「国内証券がいいですよ」という大きな枠組みを示したうえで、情報提供をします。例えば、手数料が安いほうがいい人、アプリが見やすいほうがいい人、サポートが充実しているほうがいい人、キャッシュバックがあるほうがいい人など、人それぞれですよね。そのなかで、ご自身で見比べて最終的に決めてくださいね、という形にしています。
また、生徒さんの資金やライフスタイルによって、短期保有か長期保有かなど取引スタイルも変わってくるので、そのあたりは一人ひとりに寄り添ってアドバイスするようにしています。
ただし、リスクもしっかり説明します。10万円の資金だと、利益が出ても最初は数十円とか数百円レベル。長い目で見ないと月5万、10万と稼げるようにはならない、という話もします。
――口座開設の次のステップはどう進めるのですか?
高橋:次はチャート設定ですね。
――そこまでマニュアル化されているのですね。
高橋:はい。設定に関することは教科書のように、「こうしましょう、ああしましょう」と全部はっきり書いて渡します。選択肢が多すぎると、人はわからなくなってしまうと思うんです。まず「こうしてください」と道筋を示して、そこから自分流にやりたい人は勉強していけばいい。そのほうが、初心者の方にとっては圧倒的にとっつきやすいと思うんです。
――そこまで「わかりやすさ」にこだわるのは、何か理由があるのでしょうか。
高橋:やはり小さいころから勉強が苦手だったから「こう教えてくれたらわかるのに!」というのを感じていて、今度は自分が教える身になって実践しているという感覚でしょうか。
専門用語を使うときも丁寧に説明しますし、難しいことはたとえ話で伝えます。例えば、相場を海にたとえて、「海がすごく荒れているときは船を出してはいけないのと同じで、相場が荒れているときは、どんなに手法の条件を満たしてもエントリーしちゃいけないんだよ。
私の投資スクールは投資初心者の女性の方が多いので、これくらい丁寧に、わかりやすいのが響きやすいかなと思います。
――そもそも、ご自身で投資スクールを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
高橋:最初はもちろん自分が稼ぎたいと思ってFXを始め、投資スクールに通いました。半年ほどたって月20万円くらいを安定して稼げるようになった頃、「これって低学歴で勉強もできない、センスもない私でも、ちゃんと学べばできるんだ」と実感したんです。
当時、私はまつげエクステの仕事をしていたのですが、コロナ禍で同僚たちがシフトを削られてお給料が減ったと嘆いていました。そういう人たちも、FXを正しく学べば、本業とは別に安定した収入源をつくれるんじゃないかと思ったんです。
もともと大学が教育学部で人に教えるのが好きだったことや、まつげエクステの大会で優勝したのを機に講師になり、受講生から「説明がわかりやすい」と言ってもらった経験もあって。「教えるのって楽しいな。できなかった人ができるようになるのって嬉しいな」と感じていたタイミングで、私が習っていた先生から「教室運営してみない?」と声をかけていただき、「やります!」と即答しました。

「企業の努力が詰まっている」時間を生み出す考え方
――お話を伺っていると、高橋さんは投資や仕事の時間を確保するために、さまざまな工夫をされているように感じます。高橋:そうですね。私は投資や仕事に専念したいという気持ちが出産直後からあったので、例えば離乳食はレトルトを活用していました。「離乳食は手作りしたい」というお母さんも多いかと思います。その気持ちはすごくよくわかります。
でも、手作りにこだわって時間も労力も取られて「自分の時間がない」と言っているのは、少しもったいない。レトルト離乳食には、お母さんたちにラクをしてほしいと願う企業の努力がたくさん詰まっているんです。そういう便利なものは、時代に合わせてどんどん活用していいと思います。
私の夫が、小さい頃に親から放置されて栄養失調で救急搬送された経験があるんです。毎日ヤクルトしかもらえなかった、なんて話も聞きました。でも、そんな夫が今、めちゃくちゃ元気に健康的に育っているのを見ると、今のお母さんたちは少し過剰になりすぎている部分もあるのかな、なんて。夫を見ていると、すごく勇気をもらえるんです。
――最後に、投資を始めたいけれど、あと一歩が踏み出せない人へ、メッセージをお願いします。
高橋:私がそうだったように、勉強が苦手でも特別な才能がなくても、正しい知識をわかりやすく学べば、誰でも投資で成果を出すことは可能です。大切なのは、最初から完璧を目指さず、小さな成功体験を積み重ねていくこと。そして、物事を前向きに捉えるマインドです。
もし「わからない」という壁にぶつかったら、それはあなたがダメなのではなくて、学び方や環境が合っていないだけかもしれません。ぜひ、自分に合った学び方を見つけて、楽しみながら未来のための第一歩を踏み出してみてほしいですね。
【プロフィール】高橋里奈(たかはし・りな)
ママ投資家インフルエンサー。1991年、埼玉県出身。
学生時代は勉強が苦手で、高校をギリギリで卒業。大学中退後は美容師をしながら歌手を目指して音楽業界に挑戦したが、150万円の借金を抱えるハメに。
その後も美容の仕事やネットワークビジネスに取り組むがうまくいかず、極貧状態に。
2019年に投資と出会い、FXや株式投資をスタート。半年後には月収20万円を達成。現在は不動産、事業投資等もあわせ年商2億円を達成し、1LDKのアパートを出て家賃80万円の湾岸エリアマンションに住む。
また、投資家として成功を収めるだけでなく、多くの女性に投資の知識を提供し、経済的な自立を支援している。オンライン投資スクールは、初心者向けにZoomやLINE を使用した指導を行っている。毎月5名の子どもたちにランドセルをプレゼントする企画を実施し、社会貢献活動にも力を入れる。
著書『バカでブスな主婦が年商2億になるまでの27の逆転マインド』(サンライズパブリッシング)が発売中