YouTubeチャンネル登録者数190万人を突破した「バキ童チャンネル」。
唯一無二の企画とキャラクターを活かした動画が支持される一方で、中心メンバーのお笑いコンビ、春とヒコーキが出会った青山学院大学・落語研究会についてのエピソード動画も強い人気を集めている。
そんな「青学落研の話」を、チャンネル出演者であり、青学落研出身者であり、春とヒコーキの学生時代からの友人でもある芸人・町田が綴っていく連載。
第21回は町田が先輩であるぐんぴぃの凄さを改めて語る。
部員全員と分け隔てなく会話していた
バキ童チャンネルにおいて、青学落研のことをぐんぴぃがなぜあれほどまでに詳細に語ることができるのかというと、ぐんぴぃが異常なまでに人の話を聞く人間だったことが大きな要因なのではないかと私は思う。思い返してみれば、落研の部員全員と分け隔てなく親しい会話をしていた人間はぐんぴぃだけであった。
私などは大体、いつも仲の良い部員とばかりコミュニケーションをとっていたし、土岡は会長でありながら私よりもコミュニケーションを取る人間の幅が狭かったように感じる。とは言え人間誰しも親しい友人や気になる異性などと多く喋りたいなと考えるのが常だろう。
ぐんぴぃはそうではなかった。先輩後輩OB関わらず、何ならばぐんぴぃ自身があまり好きではない、むしろ嫌っているぐらいの部員に対してさえ表面上は楽しげに会話をしていた。
厄介な先輩に毎週家に無理矢理泊まりに来られて無益な恋愛相談を文句も言わず何時間も受けたり、泊まりの営業で張り切りすぎて全ての会話に割り込むようになってしまった女子部員を真摯になだめたりしていた。
また、ぐんぴぃの愛想が良すぎるために普通ならぜんぜん会話が成立しないようなOBが部に寄り付いてしまい、新入部員の女の子に猛アプローチをさせてしまうなど、ぐんぴいの聞き上手さは別次元であった。
かく言う私も好きな女性に振られてしまった時などはぐんぴぃに一晩中話を聞いて慰めてもらい大変に救われたこともある。
土岡は「振られるだろうなと思ってたから」と全く優しい言葉をかけてくれなかった。
目を輝かせていた新入生
また、どんな話であろうともぐんぴぃは常に楽しげに笑いながら聞くことで話している人間を大変に気持ちよくさせていた。「山口さんは愛想笑いの天才ですね」
私がぐんぴぃにそう伝えると、
「愛想笑いしてるつもりは全くなくて。
当時の私にとってその言葉は半信半疑であったが、今思えばぐんぴぃは本当にどんな会話も楽しんでいたのだろう。飲み会や打ち上げにおいて、ぐんぴぃの席は常に盛り上がりの中心になっていた。
ぐんぴぃが留年した5年生次などは、新入生がもうそれはそれは目を輝かせてぐんぴぃを求めていた。あの時の新入生の
「こんなマニアックなエロ漫画の話が青学でできるんですか…!!」
そう言い放った時の興奮しきった表情は今でも容易に思い出すことができる。
かつての落研の雰囲気
実のところ、私が入学当初の青学落研には少々ギスギスした雰囲気があった。落語やお喋りの上手い下手、モテるモテないにより生じる若干のヒエラルキーが確かに存在していた。
例をあげると、私や土岡の1学年上の絶斗(ゼット)さんという先輩は、喋りのスキルがあまりということで部内で逆風の中に立たされていた。
しかし、そんな中でぐんぴいだけは最初から今まで絶斗さんに対するスタンスを一切変えずに接していた。
ぐんぴぃの絶斗さんとの関わり方を見続けてきた我々は、無口で変わり者だった絶斗さんの面白がりかたを知ることができた。
私が4年生になる頃には(絶斗さんは留年したため)絶斗さんの喋りのスキルどうこうを気にする部員など一人もいなくなり、ぐんぴいのおかげでいつのまにか部員全員が絶斗さんを大好きになっていた。
そうして青学落研内のヒエラルキー的な空気感は私が卒業する頃には完全になくなっていた。それを作り上げたのは、他ならぬぐんぴぃのおかげだったのではないかと思う。
どんな人間だろうと深く話を聞いて面白がるぐんぴぃの姿勢があったからこそ、青学落研のヤバいやつはのびのび過ごすことができたのである。
―[振り返れば青学落研]―
【町田】
ぐんぴぃの友人。芸人としての活動もしている。@saisaisai4126