就職氷河期の真っ只中に専門学校を卒業し、この20年余りで地元・静岡を中心に153の職場(非正規雇用・短期雇用なども含む)を渡り歩いてきたというYouTuber・マーシーさん(X:@100Marcy100)。
150回以上転職した42歳男性、物価高で1日1食生活が定着。...の画像はこちら >>
2024年12月、その驚愕の職歴と半生を“100回転職した男”として紹介するインタビュー記事を公開した。
あれから約1年、いま42歳になった彼はどんな生活をしているのか? 2025年の仕事っぷりを本人に振り返ってもらう。

2025年の職歴は90分の体験入社でフィニッシュ

150回以上転職した42歳男性、物価高で1日1食生活が定着。今年の漢字は安定の「飛」
職歴
――約1年前、記事が公開されて何か反響はありましたか。

マーシー:読者の方から冷凍のハンバーグや唐揚げなどをAmazon経由で送っていただき、それだけで2週間くらい生活できました。500件くらいヤフコメがついていた記憶があるんですが、同世代の方々らしき人の書き込みもチラホラ散見され、わりと好意的に受け止めていただいた印象です。

――それは何よりです。新年早々、採用面接か何かで身バレしてしまった話をマーシーさんのSNSで見かけたような気もするんですけど。

マーシー:ネガティブな影響で言うと、そうですね。1月に接客バイトの面接を受けたところ、すんなり採用されたんですが、責任者の方から電話がありまして。「どう見てもこの写真マーシーさんなんですけど」「お仕事上のことを漏らされると困るので、今回はなかったことに」と。

――波乱の幕開けだったようですが、2025年はどんな1年でしたか?

マーシー:2024年に引き続き、貧乏ながら、まあまあ平和な1年だったかなと。この2年ほどで長期・無期雇用の仕事を飛びまくるようなことは、ほぼなくなりましたね。いまはスポットワークやスキマバイトで日銭を稼ぎやすい時代なので。

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職歴はとんでもない長さに……
――現在の転職回数は?

マーシー:私のカウント方式だと、2025年12月時点で153回転職したことになりました。
長期間働く前提で採用された仕事は、1月に採用を取り消された接客バイトも含めて、今年は4社だけです。ちなみに私が最も多く転職した年は2015年です。2~3ヶ月の短期バイトも込みですが、単発バイト系のお仕事は一切ナシで、22社を転々としました。

――今年、長期・無期雇用で採用された4社のうち、残りの3社はどんな仕事だったんでしょうか?

マーシー: 5月にゴルフ場の清掃バイトを10日で辞めました。7月には運送会社で正社員として採用いただき、こちらの会社は初日だけ出勤して、そのまま飛んでしまいましたね。最後は軽ワゴンに乗って食品を工場から店舗へ運ぶ配送ドライバーの仕事で、8月に90分だけ体験入社し、辞めています。

地方の単発バイト事情は? AI時代も清掃と接客の採用は安定


――7月に飛んだ運送会社は正社員採用とのことですが、後腐れなく辞められましたか?

マーシー:飛んだ日の夜、スマホを見たら会社からの着信履歴が16件くらい残っていました。鬼電が掛かってくるのが怖くて1日中、スマホを布団と一緒に押し入れに突っ込んで封印していたんですけど。

――鬼電の対処法も年季が入っています。

マーシー:少し日にちが経ったタイミングで電話が掛かってきて、派遣会社からの電話と勘違いして出てしまったら、その運送会社の社長さんからでした。「事故や事件に巻き込まれたかと思って心配していたんだよ」と言われ、咄嗟に「親戚が亡くなり、バタバタしていました」と、嘘をついてしまいました。

――ドタキャンする人って、なんでバレバレの嘘つくんですかね(苦笑)。

マーシー:急場凌ぎもいいところでしたが、それでも社長に「また一緒に頑張らない?」と優しく諭され、一度は出戻りで働くことにしたんです。
でも、結局、そのまま再び飛びました。

――ヒドイ……。そもそもマーシーさんは仕事を飛ぶ際、余計な心配をかけないように何かしらメッセージを残すのが流儀だったのでは?

マーシー:最低限の筋は通したいと思ったんですが。それすらできなかったですね。

――そんなに何かイヤなことが?

マーシー:初日は助手席に乗って先輩の仕事を見ているだけでしたが、単純に1日の勤務時間が長かったです。勤務時間は求人に記載されていたので、覚悟の上で働き始めたつもりでしたけど、想像以上に大変でした。

――情状酌量の余地がないんですが、単発バイトではどんなお仕事を?

マーシー:場所柄、キャンプ場の清掃の仕事はよくしています。あとは飲食店での接客と宿泊施設の清掃ですね。日払いでお金が振り込まれるのが一番のメリットで、「タイミー」や「シェアフル」のほか、いくつか大手派遣会社の日雇いバイトのサービスも利用しています。

――単発バイトで一番大変なことは?

マーシー:基本的に早い者勝ちなので、静岡では仕事の取り合いみたいになっていますね。首から上も含めて全身刺青だらけの人なども、スポットワークにはまあまあ働いていて。仕事上の会話くらいなら意外と危なくない人もいるんですが、慣れるまで少し面倒というか、時間が掛かってしまいます。


物価高が直撃!「お米を食べるのは週1回」


150回以上転職した42歳男性、物価高で1日1食生活が定着。今年の漢字は安定の「飛」
マーシー
――私生活での変化はありましたか? YouTubeチャンネルの視聴者の女性と交際中という話も前回あったんですけど。

マーシー:半年ほど前に彼女と結婚の約束をしました。それが2025年一番良かったことですね。遠距離ということもあって頻繁には会えませんが、とても理解のある人です。

――マーシーさんは現在どれぐらいの月収でやり繰りしているんですか?

マーシー:YouTubeの収益が月平均7万前後、スポットワークやスキマバイトの給料が月3~4万円ほどです。家賃や水道・光熱費、通信費といった固定費を払い、残った2万数千円で食費やガソリン代などを捻出しています。スポットワークなどを含めると、今年の職場は約40ヶ所、100件くらい働きました。

――毎週1~2件は何かしら仕事しているんですね。

マーシー:SNSでは私に“ビジネス貧乏”疑惑があり、「本当は親の会社で真面目に働いている」「不動産収入がある」といった根も葉もない情報が流れているんですけど、本当にお金がなくて……。仕事を飛んだ日は朝から一人で道の駅へ行き、富士山を見ながら時間をやり過ごすというのが、ずっとお決まりのコースでしたが、最近はアパートでおとなしくしています。ガソリン代も高いので。

――食料品の値上がりもモロに生活を直撃しているのでは?

150回以上転職した42歳男性、物価高で1日1食生活が定着。今年の漢字は安定の「飛」
樹海に行ってきたというマーシーさん
マーシー:米は週1回しか食べないです。
視聴者さんから送っていただいた業務用のお好み焼きソースが大量に余っているので、一袋200円くらいの小麦粉を買い、キャベツやもやしを混ぜたお好み焼きを週3ペースで食べています。残りの週3回ほどの食事はパスタです。

――というか、1日1食なんですか。

マーシー:そうですね。見た目が太っているので、ネットでは「隠れて食べているだろう」とも、よく言われてしまうんですけど、最近は微妙に痩せてきました。

――健康には気をつけてもらいたいですけど、なぜかあまり悲壮感が漂っていないのがマーシーさんらしいというか。最後にマーシーさんの2025年の1年間を漢字1文字でまとめてもらえたらなと。

マーシー:「飛」ですかね。なんだかんだ今年も飛んだなと話しながら感じたのと、私生活では婚約という「飛躍もあった」という意味を込めて。いい加減、真面目に働きます。将来は軽井沢に別荘がほしいです。

――1年前も同じようなことを言っていた気がしますが、なるべく不義理を起こさないように、また1年頑張っていきましょう。


マーシー:2026年こそ、絶対に仕事を辞めずに働く覚悟です。

150回以上転職した42歳男性、物価高で1日1食生活が定着。今年の漢字は安定の「飛」
「いい加減、真面目に働きます」と語るマーシーさん
<取材・文/伊藤綾>

―[100回転職した男]―

【伊藤綾】
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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