妊娠をきっかけに夫のモラハラが表面化し、離婚を決意したが、すぐに別れるわけではない。娘の成人まで10年、資格取得や資産形成を進めながら“離婚計画”を着々と進める妻もいる。

モラハラ、義母の介護、経済的不安……。夫には気づかれないまま進む「離婚準備」の実態を、当事者の証言から追った。

妊娠後に旦那のモラハラ体質が表面化

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熟年離婚を誓った妻たちは、どれだけ周到に準備を進めているのか……?

「娘の成人まであと10年。資格取得の勉強をしながら離婚計画を練っています」

そう話すのは、港区のタワマンに家族3人で暮らす専業主婦の佐藤和美さん(仮名・46歳)だ。旦那は10歳上で某老舗企業の役員を務める。和美さんが働くクラブで2人は出会い、’18年に授かり婚を果たしたという。だが、その直後から旦那のモラハラ体質が表面化することに……。

「彼は妊婦でお酒が飲めない私を会食や接待の場に連れ出し、運転手として使ったんです。酔うと暴言がひどくて、車庫入れに手間取ると『使えねえな』と言われ、道を間違うと舌打ちされたり……」

出産後、モラハラはさらに悪化したが、和美さんは夫婦関係の改善に努めたという。

「険悪になるたびに、私からベッドの中で体を寄せてみたりしたのですが、『暑い』『重い』と拒否され続けた。結局、結婚してから夜の営みは一度もありません。なのに、2年前には旦那がそういうサイトに何十万円も課金していることが発覚したんです。ショックと同時に、怒りがこみ上げましたね。
それで、私は離婚も視野に入れながら“夫婦関係改善プラン”を文書にまとめて夫にプレゼンしたんです。モラハラ矯正のためのカウンセリングを受けてほしい、週1回は性行為をする関係に戻りたいと伝えたけど……夫の態度から私のことを女性としては見ていないことがはっきりわかりました」

3年以内に1000万円の貯金をつくる

「娘が成人したら離婚します」港区のタワマンに暮らす46歳専業主婦が“離婚計画”を企てるワケ
和美さんが夫に提示した夫婦関係改善プラン。夫は半ば②を容認したとか
それ以降、寝室は別にし、夫婦の会話はほぼ業務連絡のみに。和美さんは離婚を見据えて本格的に動きだした。

「今は、夫とは別に、公私共に仲良くしているパートナー(59歳)がいます。彼はバツ2の独身で、不動産関係なので、その仕事を手伝って収入を得たいという気持ちから、最近、私はカラーコーディネーターの資格を取得しました。今はインテリアデザイナーの資格を取るための勉強をしていて、その後は宅地建物取引士の資格も取るつもりです」

安定した収入を得て、3年以内に1000万円の貯金をつくることが当面の目標だ。

「感づかれないように娘名義の証券口座をつくって、毎月の生活費の一部を積み立て投資に充てるようにしましたが、夫は定期的に生活費を振り込んでくれる口座の残高をチェックしては、『これだけしか貯まってないのか?』『家計簿をつけろ』と言ってくるので、これ以上生活費からお金を抜くのは難しい……。自分一人で稼げるように準備を進めつつ、夫宛てに届く金融機関からの郵便物で離婚時にどれぐらいの財産分与が受けられるか調べていく計画です」

モラハラ夫がその計画に気づかないことを祈りたい。

義母の介護要員にされ離婚を決意

「娘が成人したら離婚します」港区のタワマンに暮らす46歳専業主婦が“離婚計画”を企てるワケ
長谷川千佳さん(仮名・52歳)。18年前に結婚し、その3年後に子宝に恵まれたが、以降、夫のモラハラが顕在化。夫の定年に向けて離婚計画を進めている
「子供が生まれたとき、『この人は家族に寄り添えない人間なんだ』と本性が見えました」

そう語るのは、結婚生活18年の長谷川千佳さん(仮名・52歳)だ。6歳年下の自衛官の旦那の本性は、結婚3年目に長男が生まれてから露わに。

「まったく育児を手伝ってくれないので、『なんで?』と聞いたら、『僕は一度やり始めるとやめられなくなる。結果的にずっとその“任務”に就かされるのが嫌だ。そもそも家事・育児は女の仕事だろ?』と言われたんです」

その7年後には次男を授かったが、やはり夫が育児に参加することはなかった。

「旦那には精神疾患を抱えた母親がいて、『次男の育児を手伝ってくれるから』とウチで預かったのですが、そのときは地獄でした。
義母は被害妄想に取りつかれて、毎朝4時にリビングで壁を叩きながらお経を唱えるんです。『邪教信徒の嫁から赤子を守る』と言って、私から次男を引き離そうともした。旦那は私を都合のいい介護要員にしたんだと気づいて、離婚することを決意しました」

妻が考えるモラハラ夫死別計画

そんな千佳さんは10年後の離婚を計画しているという。

「自衛官は役職によって定年退職の年齢が変わるのですが、おそらく旦那の定年は55~60歳の間。少なく見積もっても退職金は3000万円を超えます。また、公務員だから年金が手厚い。私はパート勤務で収入が少ないので、なるべく多くの財産分与と年金分割を受けられるようにしたいんです。それで、弁護士に相談したところ、可能な限り我慢して婚姻関係を維持して、離婚時に得られるお金を最大化したほうがいいだろうと」

旦那が自衛官であるがゆえに「待てる」のだという。

「旦那は基地を転々として、家を留守にすることが多いのです。熟年離婚される女性は離婚に向けてまず別居して、婚姻費用(結婚生活を続けるのに必要な生活費、教育費、医療費など)を夫からもらいながら蓄えを増やすというケースが多いようですが、高齢女性ともなると住居をなかなか借りられません。その点、私の場合は旦那の転勤が多いので別居を選択しなくても、生活費をもらいながら旦那と距離を取りやすい。実は中国の高名な占い師に見てもらったところ、旦那は60代で死ぬ確率が高いとも言われたので死別できる期待もある。
そうしたら財産分与することなく家を相続できるので……10年ぐらい待ちます」

熟年離婚か死別かの2択を突きつけられている旦那はほかにもいるかもしれない……。

「娘が成人したら離婚します」港区のタワマンに暮らす46歳専業主婦が“離婚計画”を企てるワケ
千佳さんは自衛官の夫が定年退職するタイミングを見計らって熟年離婚する計画。遅くとも下の子が社会人になる66歳の年に離婚へ
※2026年3月10日号より

取材・文/週刊SPA!編集部 

―[夫は見てはいけない 妻たちの[熟年離婚]計画]―
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