結婚、転勤、進学…… 新天地での生活をスタートしようとした矢先、思わぬトラブルに巻き込まれた経験はあるだろうか?
 引っ越し先はどんな地域なのか、住民はどんな人が多いのかなど、事前に調べるとしても限界はあるため、住んでみないとわからないことが多いというのが実情だろう。

 今回は、転勤を機に引っ越した先で、中年ヤンキーと一触即発のトラブルになったことがあるというタケルさん(36歳・仮名)が、そのエピソードについて語ってくれた。


深夜2時まで騒ぐ隣室の“金髪坊主の中年ヤンキー”を黙らせた一...の画像はこちら >>

毎日深夜まで続く“どんちゃん騒ぎ”に疲労困憊

 3年前、大手ゼネコンに勤めていたタケルさんは、青森県への転勤を命じられた。

 タケルさんはこれまで関東圏以外には住んだことがなかったそうで、新天地での生活に期待を膨らませていたという。

 マンションへの引っ越し作業を済ませ、タケルさんは隣室などご近所さんへ挨拶回りをしたそう。

「初勤務の前日が休日だったので、引っ越しの挨拶回りをしました。そのとき、隣の部屋の方とお会いしたのですが、年齢は40代後半くらい、大柄な体格で、耳には大きなピアス、金髪坊主という、かなりイカつい見た目の人だったんです。

 現場作業着のような服装だったので、おそらく工事現場などで働いている人だと思いました。

 こちらが『隣に越してきました。よろしくお願いします』と挨拶したところ、『ああ、ウッス』とひとことだけ言われ、軽く挨拶して終わりました。感じいい人だとは正直思わなかったですね。ですが、これきり関わることもないだろうと思っていたので、その時点では特に不安は感じませんでした」

 しかし、タケルさんが赴任先での初勤務を終えたその日の夜、さっそく問題が発生。

「夜8時ごろから何やら隣の金髪坊主の人の部屋から騒がしい声が聞こえてきました。複数人の男性が大声で話している様子で、おそらくお酒を飲みながら騒いでいたのではないかと思います。壁越しに大きな笑い声や瓶が転がるような音まで聞こえてきました」

 その日だけなら我慢もできただろうが、平日は毎日のように隣宅の“どんちゃん騒ぎ”が続いたというから最悪だ。


「ひどいときにはカラオケしている様子で歌声なんかが聞こえてきて……。それが毎回深夜2時ごろまで続くので、私は眠れない日々が続き、仕事にも目の下にクマをつくって行ってましたね(苦笑)」

意を決してドアをノック。まさかの展開に!?

 寝不足続きで2ヶ月が経った。耐えていればそのうち終わるはずだと思い込んでいたタケルさんは、徐々に心身ともに疲労困憊状態となっていった。

「最初の挨拶のときにぶっきらぼうな対応をされたこともあって、注意したり、クレームをいれたりしてヘタに刺激したら、面倒なことになりそうだと感じていました。

 自分に“もうすぐこの騒ぎも終わるはずだ”と言い聞かせて、耳栓をして布団に潜るという日々を送っていましたが、とうとう限界を感じ、ある日の夜、突撃しようと試みたんです」

 タケルさんは意を決して隣の部屋のインターホンを鳴らす。しかし騒ぎのなかでその音はかき消され、聞こえていない様子だった。そこでタケルさんは思いっきりドアをノックしたという。

「夜9時ごろでしたね。怒りも込み上げていたので、私は隣の部屋のドアを“ドンドンドンッ”と、激しめに叩いたんです。するとドアが開いて、例のあの金髪坊主男が出てきました。奥にはほかに男たちが4、5人いる姿も見えました。
金髪坊主男からは酒のにおいがプンプンしてきて、酔っ払って目が据わっていましたね」

 タケルさんは男に「少し静かにしていただけませんか」と、努めて冷静かつ丁寧な態度で騒音に対して抗議したという。しかしその瞬間、男の表情は一変……!

「男の眉は吊り上がり、険しい表情になって『あ? なんか文句あんのか?』と、周囲に響き渡るような大声で怒鳴られたんです。それから私の胸ぐらをいきなり掴んできて、今にも殴りかかってきそうな様子でした」

金髪坊主の中年ヤンキーがビビった“ある言葉”

 胸ぐらを掴まれながらも「ここで怯んだら終わりだ」と思ったタケルさん。

「続けて私は『これ以上騒音が続くようなら警察呼びますよ』と言ったんです。すると数秒沈黙が続いた後、男は私からゆっくりと手を離して、無言で部屋の中に戻っていきました。その夜はそれきり静かでした」

 そしてタケルさんが抗議して以来、騒音はパッタリとおさまったそう。

「抗議した次の日から、拍子抜けするくらい静かになりました。後日管理人さんに話を聞いてみたところ、その男は以前にも近隣トラブルを起こしていて、そのとき駆けつけた警察官に対しても粗暴な振る舞いをしたとかで、一度逮捕されかけたそうです。

 それ以来警察からマークされているようで、私が放った『警察を呼ぶ』という言葉が彼に効いたみたいでした(笑)」

――他人への迷惑もかえりみずに非常識な振る舞いをするなど、40代になってもイキッている中年ヤンキーとのトラブル。人は見かけで判断してはいけないとは言うが、初見で感じた印象や違和感は案外当たるのかもしれない。

(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)

【瑠璃光丸凪】
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。興味のあるジャンルは、アングラ・音楽・ファッションなどサブカルチャー全般と、ジェンダー問題、政治経済問題について。
趣味はレコード集め。
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