確定申告で忙しい時期、Xでこんな投稿をしている人物がいた。
うちの税理士事務所では夜職の確定申告のご相談まだ受け付けておりますのでお気軽にご相談ください

投稿主は、“夜職税理士”の夜野仁さん。
『夜職税理士』(主婦の友社)の著者だ。いったい、何者……!?

初めての依頼は「ニューハーフバーの立て直し」


「確定申告しろ」と言われ2日後に国税が…ホスト業界で増える税...の画像はこちら >>
夜野さんは税理士でありながら、歌舞伎町でホストとしても働き、ナンバーワンになった経験もあるという。

「僕は元々プロ野球選手を目指していたのですが、ひょんなことから中学時代の恩師に税理士になることをすすめられて……今に至ります。その恩師のもとで働くはずが、仲違いをして税理士として独立しました。最初に担当したのがニューハーフバーのオーナーでした」

夜野さんはニューハーフバーの立て直しを担うことになり、「これだ!」とピンときたようだ。

「水商売の案件どころか、個人で案件を受けたことすらありませんでしたが、当時はインボイス制度が始まり、個人事業主の確定申告への関心も高まり始めていた時期でした。

そのため、水商売だけでなく今まで無申告だったフリーランスの人たちが確定申告を始めるのではないかと、僕は踏んでいたのです」

実際にその読みは当たり、紹介が紹介を呼び、夜野さんは夜職専門の税理士として名が知れ渡るようになった。

そして「もっと内部に入って夜職の無申告をなくす」という目標を掲げて、ホストを兼業することになったんだとか。

「皆さんが思っている以上に税務調査は入っています。年々増えていっています。特に夜職、ホスト業界はここ数年でものすごい件数ではないでしょうか」

「確定申告をするように」と店から言われた2日後に…


「確定申告しろ」と言われ2日後に国税が…ホスト業界で増える税務調査の実態
夜野さんは、ホストとして働き始めた初日の売り上げが「4000万円」だったという
著書の中でも数年間にわたり、年間1億円以上売り上げていたホストの自宅に突然国税がやってきた、という背筋が凍るようなエピソードもあった。

「彼は、所属しているホストクラブに税務調査が入り、上層部から『確定申告をするように』と指示があった2日後に税務調査が入りました。これはあり得ない話ではありませんが、あまりにスピード感が早く狙い撃ちされた可能性が高いです」

この国税のスピード感以外にも、先生は夜職界隈の「あまりに税金に関して無知な人が多いことに驚いた」と話す。

「2~3年前は、この彼以外にも数億円売ったホストやキャバ嬢でも『確定申告を個人でする必要があると思わなかった』『確定申告が何なのか知らなかった』という人がものすごく多かった。
税務調査を逃れた人もいれば、あと一歩のところで間に合わなかった人もいます。ただ一つ言えることは、確定申告は国民の義務。する以外の選択肢はありません。

しかし、なぜ雇う側は稼ぎ方は教えるのに、その後のお金の残し方を教えないのか不思議でなりません」

夜職に限らず個人事業主の人は「年収500万円以上なら税理士に頼むべき」と夜野さんはいう。

「顧問料や確定申告の代行が『高い』というイメージを持っている方が多いですが、確かに安くはありません。ただこの料金ももちろん経費に入ります。そう考えると不安なまま自身で確定申告をするのと、しっかり経費として支払うのであれば後者の方が精神的にもいいと思います」

夜野さんの事務所には他の税理士事務所に任せている人からの相談も多いようだ。その理由として、税理士に頼めば節税になるとは限らないからだ。

担当税理士を変えて税金が3分の1になることも…


「確定申告しろ」と言われ2日後に国税が…ホスト業界で増える税務調査の実態
シャンパン
「夜職の人に限らず、確定申告が必要な人の多くが “何が経費になるのか”ということがわかっていない。さらに税理士によっては強い業種もあれば、そんなに詳しくない業種もある。業種によって経費になるものが違うので、自分の職業をあまり理解していない税理士に頼んだ場合、あまり節税にならないこともあります。

ゲイバーのママで、税金が前年の3分の1になったケースもあります。収益が億以上なのにもかかわらず、前年の税理士が業種に詳しくなかったようで、ほとんど経費にしていなかった。
だからとんでもない税金を納めていました。事務所を変更した後、納税額を見て本人も驚いていました」

税理士に頼むというと、何か難しいことがあるのでは?と身構えてしまう人も多いが、夜野さんは「顧問税理士がいれば、毎月領収書を送るだけです」と笑う。

「担当者と打ち合わせがあって、後は毎月か1年分の領収証やレシートを事務所に送るだけです。本当に他にすることは基本的にありません」

実際に確定申告をしたホストやキャバ嬢からは喜びの声を聞くことが多いそうだ。

「これで歌舞伎町を堂々と歩ける!」


「みんな『確定申告しなきゃ』『バレたらやばい』という気持ちはあるけど『税理士に怒られたらどうしよう』という気持ちもあるのか、あとは純粋に面倒臭いのか(笑)。なかなか一歩に踏み出せない。でも、納税した後に『これで歌舞伎町を堂々と歩ける!』『空気が美味しい!』『3月が怖くない!』と笑顔を見せてくれる人も多いんです。大袈裟じゃなくて本当にです!彼らの笑顔が僕の仕事のやりがいでもありますね」

最後に「税金からは誰も逃れられません」と真顔でいう。

「借金と違って納税の義務は残ってしまうし、極論死んだとしても親族に引き継がれてしまいます。実際に夜職だけではなく、高額な追徴課税に絶望して自死を選んでしまう……選ぶしかなかった人も少なくないでしょう。お金は人を豊かにしますが、人を殺すこともできる。もう確定申告の期限が迫っていますが、まだ間に合います。
きちんと納税して堂々と生きていきましょう」

<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
編集部おすすめ