1億円は、一発逆転ではなく“小さな勝ち”の積み重ねで届く――。そう実感させるのが、年収900万円のメーカー勤務会社員・大野さんだ。
新卒時代に買ったトヨタ株を皮切りに、下落局面で拾い、上昇局面で一部を利確する堅実な投資を25年継続。預金は最小限に抑え、株式、投資信託、外貨建て保険、貸株サービスまで駆使して資産を1億円へと育て上げた。派手な勝負に頼らず、家計管理と長期運用で“いつの間にか富裕層”になった59歳会社員のリアルを追った。

小さな“勝ち”を積み重ねて資産1億円を達成

年収900万円の59歳会社員が資産1億円を達成した“地味すぎ...の画像はこちら >>
大野さんの1か月の家計簿
4人家族(大野夫妻、大学生の娘2人)

家のローン 20万円
水道光熱費.2万5000円
(電気・ガス2万円、水道5000円)
通信費 3万7000円
(大野さんは格安SIM、妻と娘2人はドコモ)
教育費 6万円
食料品 3万~5万円
(外食は月2~3回程度)
日用品 1万円
医療費 3000円
交際費 2万円

「大手銀行の普通預金金利は年0.3%程度。今のインフレ率を考えたら毎年2%ずつ減らしていっているのと同じ。銀行に預けっぱなしのお金は文字通り“死に金”なんです」

そう断言するのは、都内メーカー勤務で年収900万円の大野太さん(仮名59歳)。資産全体に対する流動性預金はわずか5~6%で、残りはすべて運用に回している。将来性のある株を見極めて先行投資し、長期保有するのが大野さんのスタイルだ。

デビュー戦は新卒1年目の冬のボーナスで買ったトヨタ株。下落局面での100株ずつのナンピン買いと、大きな上昇局面での一部売却……。小さな“勝ち”を積み重ねて約25年。ついに資産1億円を達成した。

「保有している間もただ配当利益をもらっているだけで寝かせておくのはもったいない。
保有株を証券会社に貸し出して金利を得る『貸株サービス』を活用すれば、投資の効果を最大化できるんです」

資産形成を下支えする工夫

リスクを分散しながら投資効率を最大化させる。大野さんの着実な資産形成を下支えする工夫はほかにもある。

「自宅を購入した際には返済を見越して株の利益で外貨建ての養老保険にいくつか加入しました。円安のタイミングで解約すれば、住宅ローンの返済資金に充てられますし、健康リスクに対するカバーもできる。仮に満期まで持っても銀行に預金口座に入れておくよりは全然いいですから」

運用の“核”には強気な選択

年収900万円の59歳会社員が資産1億円を達成した“地味すぎる”家計術。「銀行預金は死に金」と断言
写真はイメージ
リスクを抑える仕組みを整えた上で、大野さんは運用の“核”には強気な選択をする。保有する株式の5分の2を占める投資信託は意外にも運用コストの高いアクティブファンドを中心に選定しているのだ。

「テスラがかつて赤字企業だったときから株式を保有しているのですが、仮に財務指標が悪くても、成長の方向性が正しければ必ず成果が出るもの。そうした生の情報を見極めるプロのファンドマネージャーに信頼を置いています」

投資リサーチに生成AIをフル活用

投資の効率化を求める大野さんらしく日常の消費行動は極めて質素。愛車は10年落ちのコンパクトカーで、趣味のテニスでは、他人がコートに置き忘れたボールを再利用する倹約ぶりだが「私は格安スマホなのに、妻と大学生の娘2人はドコモのハイエンドスマホ」と、どうやら家庭内での資産の流動性は高いようだ。

現在は投資リサーチに生成AIをフル活用し、さらなる効率化を画策しているという。

「X(旧Twitter)で株価を左右しかねない企業の不祥事などの予兆を収集しています。課金は一切せず、プロンプトはGemini相手に壁打ちし、練り上げています」

大胆なリスクを取らずとも、お金を賢く回せば1億円も射程圏内なのだ。

※2026年6月23・30日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部

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