ドジャースの大谷翔平に第2子が誕生。昨年誕生した第1子に続くうれしい知らせに、日米のファンから祝福のメッセージが殺到した。

 大谷も産休明けの復帰戦で“祝砲アーチ”を放ち、その期待に応えるような活躍を見せた。ところが、この祝福ムードの裏でSNSでは思わぬ論争が広がっていた。

祝福ムードの裏で広がった“年子=モラハラ論争”

大谷翔平に第2子誕生で“まさかの炎上”…「真美子さんがかわい...の画像はこちら >>
 発端となったのは、第1子誕生から約1年余りというタイミングだった。

「おめでたいけど、年子はさすがに大変そう」
「産後1年以内にまた妊娠するのは負担が大きいのでは」

 SNS上では、大谷の妻・真美子さんを心配する意見が散見された。実際、世界保健機関(WHO)などでは、出産後の妊娠間隔について一定期間空けることを推奨していることもあり、純粋に母体への負担を懸念する声も少なくなかった。

 ただ、その懸念がいつしか当事者不在の断定へと変わっていった。

「産後すぐに妊娠させるのはモラハラではないか」
「女性側の負担を考えているのだろうか」

 このような極端な主張まで飛び出し、大谷を「モラハラ夫」のように扱う投稿が見られたのだ。

 もちろん、妊娠・出産が女性に大きな負荷を与えることは医学的にも広く知られており、出産や育児に伴う女性の身体的負担を心配する声そのものは理解できる。

 一方で、問題となったのは、その心配がいつの間にか「本人たちの事情を知らない第三者による断定」に変わっていった点だろう。

著名人も疑問視した“勝手な代弁”への違和感

 こうした流れに対し、著名人も反応した。

 漫画家の倉田真由美氏は、「真美子さんかわいそう」「私なら絶対に嫌」といった意見について、「勝手に憶測して代弁するのはいかがなものか」と疑問を呈した。

 また、お笑いタレントのエハラマサヒロ氏も、「年子だからダメだとかモラハラ確定とか言う、人類滅ばせたい人たちがいるらしい」と苦笑交じりにコメント。自身が子だくさんの父親であることにも触れながら、過剰な決めつけに違和感を示した。

 もっとも、こうした議論の中で忘れられがちなのは、当事者の考えがほとんど見えていないという事実だ。


 真美子さんがどのような思いで第2子を迎えたのか。夫婦でどんな将来設計を描いているのか。あるいは何人の子供を望んでいるのか。その答えを知るのは、当然ながら当事者だけである。にもかかわらず、「女性がかわいそうに違いない」と断定してしまうことには、別の意味で危うさもあるのではないか。本人の意思を尊重しているようで、実は本人の意思を無視している可能性があると言えるだろう。

「モラハラ」の安易な乱用が招く“本当の問題”

 さらに、この騒動で興味深かったのは、「モラハラ」という言葉の使われ方だ。近年のSNSでは、誰かの行動に違和感を覚えると、すぐに「ハラスメント」というラベルが貼られるケースが少なくない。

 様々なハラスメント問題の専門家として知られる新田龍氏も今回の件について、「『自分が気に入らない』ことを『ハラスメント』と都合よく言い換えるのは、実際にハラスメント被害で苦しんでいる当事者にとって迷惑でしかないんで、本当に止めて頂きたい」と苦言を呈している。

 この指摘には一理ある。もちろん、実際に支配的な関係性や強制が存在するなら深刻な問題だ。しかし今回については、当事者からそうした情報は一切出ていない。それにもかかわらず、「年子だからモラハラ」と結論づけてしまうのは、論理が飛躍していると言わざるを得ないだろう。


年子出産を巡る価値観の違い

 一方で、年子出産に対する価値観そのものは、国や文化によって異なるのも事実だ。

 大谷夫妻が居住するアメリカでは、日本よりも年齢差の近いきょうだいを持つ家庭が比較的多く、育児をまとめて終えたいという考え方も一定数存在する。

 もちろん、これが正解という話ではなく、子供同士の年齢差を空けようと考える家庭もあれば、年子を望む家庭もある。どちらにもメリットとデメリットが存在する。

 重要なのは、「自分ならこうする」と「相手もそうあるべき」は別物だということだ。SNSではしばしば、この境界線が曖昧になるのは今に始まったことではないだろう。

 第2子誕生という祝福のニュースが、いつしか「年子出産は是か非か」という価値観のぶつかり合いへと変わった今回の騒動。その熱量の大きさこそが、SNS時代を象徴する光景だったのかもしれない。

文/日刊SPA!編集部
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